童話「オツベルと象」のあらすじと結末を全編解説

童話「オツベルと象」

【ネタバレ有り】オツベルと象 のあらすじを起承転結で紹介

よだかの星の主要登場人物

オツベル(おつべる)
本作の主人公・百姓たちの雇い主・頭の回転が速くずるがしこい・象を自分のものにしてこき使うが、最後は助けに来た仲間の象たちの下敷きになって潰される。

白象(はくぞう)
体中が真っ白な美しい象・好奇心が旺盛で素直・突然オツベルの仕事場に来て楽しく働き始めるも、辛い仕打ちを受け、ついには仲間に助けを求めて救出される。

百姓たち(ひゃくしょうたち)
オツベルに雇われている・オツベルを怖がっているが信用はしていない。

月(つき)
白象が毎晩語り掛ける相手・辛くて泣き出した象に向かって、手紙を書けと助言する。

童子(どうじ)
泣いている象に紙とすずりを渡し、書いた手紙を仲間の象たちへ届ける

オツベルと象 の簡単なあらすじ

オツベルは、百姓たちを働かせ楽をしている、ずる賢い男です。訪れた白象も手なずけ、こき使います。白象は次第に辛くなり、仲間に助けを求めます。オツベルは怒った象たちに押しつぶされ白象は救い出されました。

オツベルと象 の起承転結

【起】オツベルと象 のあらすじ①

やってきた白象

オツベルときたら大したものです。

6台もの新しい稲こき機を使って、16人もの百姓を働かせているのですから。

大きく頑丈な小屋でも、のんのんのんのんと震えるほど、迫力のある仕事場なのです。

しかしオッペルときたらパイプをくわえ、ぶらぶらしているだけです。

そこへなぜか白象がやって来ました。

百姓たちはぎょっとしましたが、仕事を続けました。

オツベルはチラッと象を見たあと、知らんぷりをしました。

象は小屋に上がり込み、中を歩き始めました。

稲のもみ殻がバチバチあたります。

象はうるさいらしく眼を細めていましたが、笑ってもいましたオツベルは度胸を据えてこう言いました。

「面白いかい」 「面白いねえ」象は返事をしました。

「ずうっとこっちに居たらどうだい」百姓たちはハッとし、オツベルはがたがた震えだしました。

ところが象は「居てもいいよ」と答えたのです。

「それではそうしよう」オツベルは大喜びしながら言いました。

【承】オツベルと象 のあらすじ②

楽しい仕事

オツベルは白象に、時計や靴は要らないかと聞きます。

象は断るのですがオツベルは、良いものだからと無理矢理にブリキの大時計を首にぶら下げ紙の靴をはめてしまうのです。

更には100キロの鎖と400キロの分銅までも上手いこと言って、象に取り付けてしまいました。

でも象は嬉しそうでした。

時計と靴は壊れてしまいましたが鎖と分銅を付けた象はごきげんでした。

オツベルから「水を汲んでくれ」と頼まれるとよろこんで50回汲んで来ました。

象は夕方、10把のわらを食べながら月を見て、「稼ぐのは愉快だねえ、」と言いました。

  「たきぎを運んでくれ」と頼まれれば愉快な様子で、900把も運びました。

象は8把のわらを食べながら月を見て「せいせいした。

サンタマリア」と言いました。

「炭火を吹いてくれないか」と頼まれた時も半日炭を吹きました。

象は7把のわらを食べながら月を見て「つかれたな、うれしいな、サンタマリア」と言いました。

【転】オツベルと象 のあらすじ③

笑わなくなった白象

一ヶ月が過ぎたころ、象は笑わなくなりました。

オツベルはやり過ぎたのです。

象はたった3把のわらを食べながら月を仰ぎ見て「苦しいです。

サンタマリア」と言いました。

これを聞いたオツベルは、 さらに象に辛くあたるようになりました。

ある晩ついに象は倒れ、ものも食べずに月を見て「さようなら、サンタマリア」と言いました。

それを聞いた月は、仲間に手紙を書けば良いと象をけしかけますが筆も紙も無いと、象は泣き出します。

その時、象の目の間にすずりと紙を持った赤い着物の童子が現れました。

象は早速、仲間に助けを求める手紙を書きました。

童子はすぐに手紙を持って歩きだし、山の象たちに届けました。

手紙を読んだ仲間の象たちは怒りのあまり、立ち上がりました。

「オツベルをやっつけよう」象たちは走って、走って、とうとうオツベルの家の屋根を見つけるといっせいにグララアガと吠えだしました。

【結】オツベルと象 のあらすじ④

オツベルの最期

仲間の象が押し寄せてきたことを知ったオツベルは象小屋の戸に丸太を縛り付けて閉めろ、門にかんぬきをかけろと百姓たちに命令します。

しかしもうみんなは、降参する様子です。

象たちは屋敷を取り囲みますが塀は丈夫で、象でもなかなか壊せません。

いよいよ、塀を越えようと動き出します。

ついにオツベルは、ピストルを撃ち始めました。

ところが、象には弾丸が通りません。

牙に当たっても跳ね返ってしまうのです。

そのうちに5匹の象が塀の上からどっと落ちて来てオツベルは、くしゃくしゃに潰れていました。

門も開き、象たちがどしどしなだれ込みます。

「牢はどこだ」みんなは小屋に押し寄せ丸太はまるでマッチのようにヘし析られました。

白象は小屋を出ることができました。

「まあ良かった。

痩せちゃったねえ」みんなは静かにそばにより、鎖と分銅を外してあげました。

「ああ、ありがとう。

ほんとに僕は助かったよ」白象はさびしく笑って、そう言いました。

オツベルと象 を読んだ読書感想

「オツベルと象」は、宮沢賢治の作品です。

非常に有名な物語ですので、国語の授業で習った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

労働者を過酷な条件下で働かせ、私腹を肥やす悪徳経営者の会社。

そこに、高い能力と魅力的な容姿を持った世間知らずの新人さんが好奇心に誘われ、入社してしまった話…と捉えると近年よく目にするブラック企業の話題にも通じるもように感じます。

最後に助け出された白象は、さびしく笑います。

人間を軽々しく信じた自分を、浅はかだったと笑ったのでしょうか。

それとも、人間への惜別の現れだったのでしょうか。

読む人によって新たな解釈をもたらしてくれる、時代を超えた不朽の名作です。

コメント