童話「パンを踏んだ娘」のあらすじと結末を全編解説

パンを踏んだ娘

【ネタバレ有り】パンを踏んだ娘 のあらすじを起承転結で紹介

ごんぎつねの主要登場人物

インゲル(いんげる)
主人公。自分の美しさを鼻にかけており、いつもうわべばかりを気にしている。汚い道を避ける為にパンを踏んだ事で地獄に落ちてしまう。

奉公先の主人(ほうこうさきのしゅじん)
インゲルが奉公をしている裕福な家の主人。心優しい主人で、インゲルを思いやってに何度も里帰りを促す。

母(はは)
インゲルの母親。貧しい生活を送っている。

少女(しょうじょ)
心優しい少女。地獄に落ちたインゲルの話を聞いて、彼女の為に祈りを捧げ続けた。

パンを踏んだ娘 の簡単なあらすじ

心の貧しい少女「インゲル」は、汚い道を避ける為にパンを踏んだ事から地獄へ落ちてしまいます。けれどある少女が神へ祈ってくれた事で小鳥に転生。以降神様の言う事を聞き続けた彼女は無事天国へ召されたのでした。

パンを踏んだ娘 の起承転結

【起】パンを踏んだ娘 のあらすじ①

うわべばかりを気にする心の貧しい少女インゲル

昔、ある村に「インゲル」という名の美しい少女がいました。

インゲルは貧しい家の娘でした。

しかし自分の美しさを鼻に掛けるところがある少女だった為、家だけではなく心も貧しい少女でした。

いつもうわべばかりを気にして暮らしていました。

奉公に出る年になったインゲルは、裕福な家で働くようになりました。

1年が経ったある日、インゲルは奉公先の主人に言われ、里帰りをすることになりました。

インゲルは貧乏な家には帰りたくないと思いましたが、1年前よりもさらに美しくなった自分を見せるのもいいかもしれない、と思い直し、家へ帰ることにします。

けれど、そこでインゲルが見たのは、家の近くでたきぎ拾いをしている母親の姿でした。

貧乏くさい母親の姿を見たインゲルは「まぁ、汚らしい!」と声をあげて母親から顔をそむけました。

そうして家に帰ることはなく、奉公先に戻ってきてしまったのでした。

【承】パンを踏んだ娘 のあらすじ②

パンを踏んだことで地獄に落ちたインゲル

それからさらに1年がたった頃のことです。

インゲルは再び奉公先の主人から里帰りを促されることになりました。

主人はインゲルに大きなパンをお土産に持たせてくれました。

さらに新しい服と靴も買い与えてくれ、インゲルはとても喜びました。

着飾った事でいつもよりもっと美しくなった自分を見せびらかす為、インゲルは家に帰ることを決めました。

インゲルが家への道を歩いていると、途中、雨により溢れた沼の水で、ぬかるんでしまった道が現れます。

その光景を見たインゲルは、服や靴を汚したくなかった為、パンを踏んで渡ろうと考えました。

そうしてパンをぬかるんだ道に放り投げ、その上に飛び乗りました。

すると途端、パンはインゲルを乗せたままぬかるみの中へ沈み始めました。

インゲルはそのままパンと共にぬかるみの底へ沈んでしまいます。

ぬかるみの底は地獄でした。

インゲルはどうして自分が地獄に落ちなければいけないのかと悲しみました。

【転】パンを踏んだ娘 のあらすじ③

心優しい少女による祈り

その頃、世間ではインゲルに関する噂が広まっていました。

インゲルぬかるみに落ちていくところを見た者がいたからです。

しかし普段から高慢な態度であったインゲルをよく言う者はおらず、「パンを踏むなんて罰当たりなことをしたから、こうなったんだ」と皆口を揃えて言いました。

その声は地獄にいるインゲルにも届き、インゲルは増々悲しみにくれることとなりました。

けれどそのなかでたった1人だけ、インゲルの為に悲しむ者がいました。

それは1人の少女でした。

少女は会ったこともないインゲルが地獄に落ちてしまった事を憐れみ、毎日神様にインゲルが天国へ行けるようにと祈りを捧げ続けました。

やがて少女は年を取り、おばあさんになり、その生に終わりを迎えることとなります。

少女はその死の瀬戸際まで、インゲルの話を忘れることはなく、インゲルの為に涙を流しながら天に召されました。

【結】パンを踏んだ娘 のあらすじ④

灰色の小鳥に生まれ変わったインゲル

少女の優しさに感動した神様は、少女の祈りを聞き届け、インゲルを灰色の小鳥に生まれ変わらせました。

そうして他の小鳥達にパン屑をわけ与え、そのパン屑の量が踏んだパンと同じ量になった時、天国へ迎えることをインゲルに告げました。

優しい少女の心に救われたインゲルは、神様に言われた通り、小鳥達にパン屑を分け与え続けました。

そうして自分が踏んだパンとパン屑の量が同じになったある日、インゲルの罪は許され、天国へと召されることができたのでした。

パンを踏んだ娘 を読んだ読書感想

「パンを踏んだ娘」はアンデルセン童話の1つです。

最後はハッピーエンドで終わりますが、途中のパンを踏んだ事で地獄に落ちるシーンはとても恐ろしい光景で、この童話を初めて知った幼い私は、その物語の展開に恐怖し震えたものです。

悪いことをしていはいけない、悪いことをすると痛い目に合う、ということを説いたような童話は数多く存在していると思いますが、この作品以上に「怖い」と思う説き方をしてくる童話はないと思います。

たかがパン、されどパン。

自分に自惚れ過ぎ、周囲を見下げる事がいかに悪いことであるかを恐怖で説かれる展開は、大人になっても忘れられない怖さがある作品です。

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