童話「よだかの星」のあらすじと結末を全編解説

よだかの星

【ネタバレ有り】よだかの星 のあらすじを起承転結で紹介

よだかの星の主要登場人物

よだか(よだか)
本作の主人公・姿は醜いが心優しい鳥・周囲から嫌われている

鷹(たか)
特によだかを嫌い、名前を変えさせようと強く迫る

川せみ(かわせみ)
よだかの理解者・弟(のような存在)

お日様(おひさま)
よだかを哀れに思い、星に向かって飛ぶよう助言する

よだかの星 の簡単なあらすじ

よだかは心優しい鳥ですが、醜かったので嫌われていました。名前を変えなければ殺すと鷹に脅されたよだかは絶望し、星に向って空へと飛び立ちました。気付くとよだかは美しい星になり、今も静かに燃えています。

よだかの星 の起承転結

【起】よだかの星 のあらすじ①

みにくい鳥

よだかは、羽虫を食べる心優しい鳥です。

決して他の鳥を襲うようなことはしません。

鷹の身内に思われがちですが美しい川せみや、宝石のような蜂すずめの兄さんでした。

羽根が強く、飛んでいると鷹のように見えたこと鳴き声がするどく、鷹に似ていたことから「たか」と名前が付けられましたが姿がとても醜かったので周りから忌み嫌われ、バカにされてきました。

特に鷹が嫌がり、早く名前を変えろとよだかに強く迫るのでした。

ついにある夕方、鷹がよだかの巣を訪れました。

「鷹」という字を返せ、名前を「市蔵」に改めろと言うのです。

よだかは懸命に抵抗するのですが、鷹は一切聞き入れません。

明後日の朝までに、首に「市蔵」と書いた札をぶらさげ、みんなのところへおじきをしながら、改名したと言い回らないと殺す、と脅し鷹は帰っていきました。

【承】よだかの星 のあらすじ②

悲しみのあまり

鷹が帰った後、よだかは目をつぶって考えます。

「なぜみんなに嫌がられるのだろう」「僕の顔はみそを付けたようにまだらで醜く、口は耳まで裂けているからなぁ」「めじろの赤ん坊を助けたときも、お礼を言われるどころかすぐさま引き離され、ひどく笑われたし」「そのうえ、今度は市蔵と書いた札を下げて回るなんて、つらいはなしだなぁ」よだかは思わず巣を飛び出し山焼けの火だけが赤くうつる暗い雲の下を音もなく飛び回りました。

大きく口を開いて飛ぶよだかの喉に一匹また一匹と虫が吸い込まれていきます。

よだかは虫を飲み混みながら、大声を上げて泣き出しました。

泣きながら空をぐるぐる巡りました。

「あぁ、たくさんの虫が僕に殺される」「そして今度は、ただひとつの僕が鷹に殺される」「あぁ、つらい。

僕はもう虫を食べないで餓えて死のう」「いや、その前にもう鷹が僕を殺すだろう」「いや、その前に遠くの遠くの空の向こうに行ってしまおう」

【転】よだかの星 のあらすじ③

よだかの決意

よだかは弟の川せみのところへ行きました。

そして、自分は遠いところへ行くこと。

どうしても捕らなければならない時以外、いたずらに魚を捕らないでほしいことなどを告げました。

川せみは驚いて引き止めますが、よだかは、さようならと言い泣きながら自分の巣に帰っていきました。

ちょうどお日様が東の空にのぼりだしたころよだかは巣の中を片付け、羽根を整えてから飛び出しました。

よだかはまぶしいのをこらえて、お日様に向かって飛びながら焼け死んでもかまわないから、どうぞあなたのところに連れて行って欲しい。

私のような醜いものでも、焼けるときには小さな光を出すでしょうからそばに置いて欲しいと訴えます。

しかしどれだけ飛んでもお日様は近づきません。

どんどん遠ざかっていくお日様はよだかを哀れに思いお前は昼の鳥ではないのだから、今夜星に頼んでごらんと助言します。

よだかはおじぎをした後、ぐらぐらと草の上に落ちてしまいました。

【結】よだかの星 のあらすじ④

星になったよだか

夜になり、よだかは西のオリオン星へ飛び立ちながら、あなたのところに連れて行ってほしいと叫びましたが相手にもされませんでした。

よだかはよろよろと落ちましたが、踏みとどまり南の大犬座の方へ飛び焼け死んでも構わないと叫びましたが大犬はそっぽを向き、たかが鳥が来るには億兆年かかると言い放ちました。

よだかはがっかりしましたが北の大熊座に向かいました。

しかし、余計な事を考えずに頭を冷やせと諭されます。

よだかは東の鷲の星にも叫びました。

だが、身分も金もないのでは話にならないと突っぱねられます。

ついによだかは地に落ちていきましたが地面に付くというところでやおら天に向かって飛び立ちます。

涙ぐんだ眼で空を見上げたのがよだかの最後でした。

血まみれのくちばしは確かに少し笑っていました。

しばらくして、よだかは自分がカシオペア座の隣で美しい青い光になって燃えているのを見ました。

よだかの星は今でも燃え続けています。

よだかの星 を読んだ読書感想

よだかの星は、宮沢賢治の作品です。

よだかはヨタカ属に分類される鳥類で、画像を確認してもさほど醜いとは感じません。

しかし作中ではなぜか、その姿形をさげすまれ、不当な扱いを受ける様子が書かれています。

読むだけで心が苦しくなりますがカシオペア座の横で美しい星になりいつまでも輝き続ける、という結末に救われます。

よだか自身は「遠くの空に行ってしまいたい」という願いしか抱いておりませんでしたので美しい姿に変わった自分を見て、さぞや驚き嬉しかったことでしょう。

全ての命には意味があり、美しく、敬意を払うべき存在なのだという作者の思いが込められた素晴らしい作品です。

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