「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん—幸せの背景は不幸」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|入間人間

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん—幸せの背景は不幸(入間人間)

【ネタバレ有り】嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん—幸せの背景は不幸 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:入間人間 2007年6月にメディアワークスから出版

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃんの主要登場人物

御園マユ(みそのまゆ)
ヒロイン。8年前の誘拐事件の被害者で現在では女子高生。愛称は「まーちゃん」。

僕(ぼく)
物語の語り手。8年ぶりにマユの前に現れて「みーくん」を名乗る。

菅原道真(すがわらみちざね)
マユの通う高校の生徒会長。

坂下恋日(さかしたこいび)
マユの主治医。

上社奈月(かみやしろなつき)
坂下の高校の頃の同級生。刑事。

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん の簡単なあらすじ

8年前の凄惨な事件を生き延びた御園マユは、大好きだった「みーくん」と巡り合うことだけを信じて高校に通っています。遂に「みーくん」と名乗る少年と再会してマンションで同棲生活を始めますが、小学生の男の子と女の子も一緒です。幼い兄妹は現在行方不明となって警察が必死で行方を追っている、誘拐事件の被害者なのでした。

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん の起承転結

【起】嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん のあらすじ①

8年ぶりの再会と再び起こった誘拐事件

御園マユが通っているのはごく普通の田舎町にある高校で、校長先生の名前が藤原基経で生徒会長が菅原道真である他はこれと言って特徴はありません。

最近になってこの街が全国ネットで取り上げられるようになったのは、2名が犠牲となった連続殺人事件と小学4年生の男子児童と2年生の妹が誘拐される事件が発生したからです。

学校の授業にもクラブ活動にも興味を示すことのないマユは、放課後のホームルームが終わると同時に自宅マンションへと向かいます。

僕はそんなマユを密かに尾行して、彼女が玄関の鍵を開けた瞬間を狙って強引に家の中に侵入しました。

ペン型のスタンガンで侵入者を撃退しようとしていたマユに投げかけたのは、「まーちゃん」という彼女のニックネームです。

この言葉を聞いた途端に、マユは涙を流して再会を喜びます。

みーくんとまーちゃんは8年前にこの街で起きた誘拐事件の生き残りであり、高校生に成長したマユはふたりの小学生を誘拐した犯人です。

【承】嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん のあらすじ②

マユの診察と刑事の疑惑の眼差し

行方不明になっていた池田浩太と妹の杏子は、食事を与えられていて命に別条はありません。

僕はマユが独り暮らしを送っているマンションに住みながら、2人の面倒を見ることにしました。

同棲生活に大喜びのマユでしたが、兄妹の話では深夜に叫び声をあげたりと奇行を繰り返しているようです。

嫌がるマユをデートと称して、8年前から彼女を診察している精神科医・坂下恋日のもとへ連れていきます。

坂下先生の見立てでは当分は服薬を続けながら、様子を見るしかありません。

更には先生の高校時代の同級生であり、現在では刑事となっている上社奈月が誘拐事件とマユの関連を疑っていることを忠告しました。

上社からの呼び出しを受けて、僕はマユに内緒でデパートの中にある喫茶店で待ち合わせをします。

上社は8年前の誘拐事件の顛末も調べ上げているようでしたが、僕はのらりくらりと彼女の誘導尋問をやり過ごすだけです。

密かに僕の後を付けてきたマユは、僕と上社が浮気をしていると勘違いして掴みかかります。

デパートの屋上に追い詰められた僕は、突発的に飛び降りてしまいました。

【転】嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん のあらすじ③

過去と現在のふたつの誘拐事件の決着

幸いにして雨宿り用の屋根の上に落下したため大事には至らなかったようで、マユの実家は裕福なために修繕費や入院費用の心配もありません。

3日ぶりにマユのマンションに戻ると、浩太くんと杏子ちゃんが駆け寄ってきました。

すっかり僕のことを信頼してなついているふたりを見て、街を騒がせている誘拐事件と連続殺人事件を纏めて解決する名案を思い付きます。

監禁場所は目隠しされていたために分からなかったこと、犯人に外に連れ出された時に連続殺人事件の犯人と遭遇したためその隙に逃げ出したこと。

兄妹と入念な口裏合わせをして彼らを解放した後に、僕が手紙で呼び出しのは菅原道真です。

彼こそが連続殺人鬼であり、8年前にマユと一緒に誘拐された「みーくん」でした。

マユの部屋から持ち出したスタンガンで菅原を気絶させて上社に電話をかけましたが、僕もナイフで反撃を喰らってしまいます。

薄れていく意識の中で僕の脳裏に鮮やかに蘇ったのは、8年前の誘拐事件の真相です。

【結】嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん のあらすじ④

これからも「みーくん」として生きるのか

事件の犯人は僕の父親で、誘拐してきたマユと菅原に日常的に虐待を繰り返していました。

菅原が自分自身が助かるために選んだのは、僕の父と一緒になって加害者の側に回ることです。

大好きだった幼馴染みの「みーくん」に裏切られたマユは精神的なショックから、それ以来誘拐犯の息子に当たる僕のことを「みーくん」として認識するようになります。

誘拐犯を殺害して8年前の事件を終わらせたことを、今ではマユは覚えていません。

駆け付けた上社によって菅原が逮捕され、病院に搬送された僕はまたもや奇跡的に助かります。

浩太くんと杏子ちゃんは打ち合わせ通りに警察に証言したために、全ての事件に幕が降りることになりました。

お見舞いに来てくれた上社は全てをお見通しのようでしたが、僕に対して「これからもみーくんとして生きるんですか?」と問いかけるだけです。

すぐには答えをさせそうもないために、僕は「考え中です。」

とだけ返事をしておくことにするのでした。

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん を読んだ読書感想

幼い頃の誘拐事件によって心に傷を負ったまま生きてきた、孤独なヒロイン・御園マユの美しくも儚げな佇まいが痛切です。

突然の「みーくん」との再会によって、女子高校生らしい笑顔とつかの間の安らぎを取り戻していく様子には心温まるものがありました。

時を同じくして発生した連続殺人事件と、児童誘拐事件との意外な繋がりに引き込まれていきます。

自分自身の本当の名前を捨て去ってまで、「みーくん」になりきろうとする僕の決意が感動的です。

過去の苦しみや辛い記憶を何とか乗り越えたふたりの、今後の関係性からも目が離せません。

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