アフターダーク(村上春樹)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

アフターダーク(村上春樹)

【ネタバレ有り】アフターダーク のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:村上春樹 2004年9月に講談社から出版

アフターダークの主要登場人物

マリ
19歳の少女。深夜のファミレスで読書をしていた。

エリ
マリの姉。2ヶ月間眠り続けている。

高橋
ファミレスでマリに話しかけてきた。エリとマリに一度会ったことがある。バンドをやっている。

カオル
ラブホテルの経営者。高橋と知り合い。マリにある依頼をした。

アフターダーク の簡単なあらすじ

深夜のファミレスで読書をしていた19歳の少女、マリ。そこにどこからともなく高橋という青年が現れ、マリのお姉さんと会った時に君もいたよね、と話しかけてきます。ふたりは少しの間、マリの姉であるエリについて話します。別れた後、マリはある頼みごとをされ、ラブホテルで人助けをします。その後、マリとエリの周りの世界を、視点を変えながら「私たち」は観察をします。

アフターダーク の起承転結

【起】アフターダーク のあらすじ①

夜の始まり

ある都市の深夜のデニーズは、ほぼ満席でした。

そこにいるのは、1人の少女。

高校生か大学生くらいの年齢で、ブルージーンズにグレーのパーカー、履き古した黄色いスニーカーを履いていました。

彼女は時折コーヒーを口に運びながら、煙草を吸い、読書をしています。

そこに、1人の青年がやってきました。

「君はエリの妹だよね?たしか、ユリ」と話しかけます。

少女は「マリ」と答え、ふたりは相席することになりました。

青年はチキンサラダとカリカリのトーストを食べながら、マリの美人な姉との思い出、ハワイにまつわる話などをマリに向かって一方的に話し続けます。

マリは、気のない相槌をうったり少し質問をしたりしました。

やがて青年は「また朝5時に来るから会えるかな」と言い残して去っていきます。

一方エリは、部屋で深い眠りについています。

しかし、何かがおかしいのです。

エリの部屋の、コンセントが抜かれたテレビに、謎の部屋の様子が写っています。

そこには、部屋の真ん中の椅子に座る男性が映っています。

【承】アフターダーク のあらすじ②

深夜

マリが読書をしているところに、突然大柄な女性が相席をしてきました。

中国語が喋れる人を探していたところ、タカハシから教えてもらったとのことでした。

タカハシは、先ほどの青年の名前でした。

そしてマリはそのカオルという女性と共に、現場に向かいます。

現場はカオルが経営するラブホテルで、男に乱暴された女性がけがをしていました。

マリは少し中国語で話して女性を落ち着かせ、その後責任者がその女性を迎えに来ました。

その後、マリとカオルは2人でバーに向かいます。

マリは外国語大学の学生で、通訳を目指して中国語を専攻しているとのことでした。

その後、マリはすかいらーくに送り届けられます。

その後カオルは、コムギとコオロギと共に防犯カメラをチェックし、女に乱暴をした男を突き止めます。

そして先ほどの男にもう一度連絡をとり、写真を渡しました。

その頃、ある会社では、犯人の男が残業をしているところでした。

妻からの電話に応答し、今夜も帰りが遅くなると伝えています。

そして、タカハシは某コンビニでりんごと牛乳を買い、飲み、食べた後にどこかへ向かいました。

【転】アフターダーク のあらすじ③

丑三つ時

視点はエリの部屋に変わります。

さっきまでベッドで眠っていたエリは、いません。

しかし、テレビ画面の中に、ベッドに眠るエリがいます。

すかいらーくの店内では、マリが読書をしています。

そこに、高橋が訪れました。

カオルから場所を聞いたのだと言います。

高橋は司法試験合格を目指すということ、その理由、また、映画の話や家庭の話などをマリにしました。

やがて2人は外に出て話しながら通りを歩きます。

浅井エリが、目を覚ましました。

自分がどこにいるのか、なぜそこにいるのかもわかっていない様子です。

マリと高橋は公園のベンチにいます。

エリについて語り合います。

マリは「エリは目を覚まそうとしない」と言います。

視点は会社に移ります。

犯人の男である白川は、仕事を終えるとヨガマットの上で運動を始めます。

それをすませると、カバンから中国女の持ち物を全て取り出し、処分の準備をしました。

そして、セブンイレブンに中国女の携帯電話をそっと置き、タクシーで家へ向かいます。

一方マリと高橋は、高橋の家族の話を聞きながら、もう一度あのラブホテル「アルファヴィル」に向かおうとします。

【結】アフターダーク のあらすじ④

夜の終わり

アルファヴィルの前で、マリと高橋は別れます。

マリはアルファヴィルに入っていきました。

エリは、画面の向こう側からこちら側に向かって何かを伝えようとしています。

大声を出すのも疲れたようでした。

向こうからこちらは見えているようです。

また、マリはコオロギと一緒に「深海の生物たち」という番組を観ています。

そして、マリはコオロギの生い立ちを尋ねます。

コオロギは何かから逃げ続けて全国のラブホテルで働いているようでした。

それに応えるように、マリは、エリのことを話し出します。

「しばらく眠る」と宣言して以来、2ヶ月間眠り続け、しかし生存に必要な最低限のことはしているようでした。

お医者さんにもみてもらいましたが、原因不明でした。

コオロギは、きっとなんとかなる、とマリにひと声かけます。

マリはコオロギと話し終わったあと、いつぶりかわからないくらい久しぶりに、安心して眠りにつきました。

そして、練習が終わった高橋はマリに電話をします。

2人は落ち合い、これからデートをする約束をします。

家に帰り、マリはエリのベッドに潜り込んで眠りました。

そして、闇が終わり、また新しい朝がやってきます。

アフターダーク を読んだ読書感想

全ては、都心である一晩のうちに起こった物語です。

全体が群像劇のようなつくりで構成され、視点が主人公ではなく第三者であること、神のような視点で物語を見下ろしているというところが、よりいっそう不思議さをかもしだしていました。

「マリ」をとりまく世界のあれこれ、それぞれの登場人物が知らないところで自分に関わる物事が進行している様が、妙に現実味を帯びていました。

夜だからこそ活動できる人々が、夜の世界でどのように生きているのか、それは昼間の世界からは想像もつかないのかもしれません。

「夜」が私たちにもたらす不思議な「あの感覚」を、文章化してくれているところに感動を覚えました。

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