夜行観覧車(湊かなえ)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

夜行観覧車

【ネタバレ有り】夜行観覧車 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:湊かなえ 2010年6月に双葉社から出版

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夜行観覧車の主要登場人物

遠藤真弓(えんどうまゆみ)
一軒家や家を買うことに憧れていた。家を立ててから家庭がギクシャクしている。

遠藤彩花(えんどうあやか)
真弓の娘。受験に失敗してからかんしゃくがひどく家庭内暴力一歩手前。

高橋淳子(たかはしじゅんこ)
真弓の向かいの家に住んでいる。夫を殴り殺した。

高橋慎司(たかはししんじ)
淳子の息子。高橋家の次男。淳子が捕まったあとしばらく行方不明だった。

小島さと子(こじまさとこ)
海外に住む息子夫婦に執拗に電話をし疎遠にされている。近隣住民の様子を伺うのが趣味。

夜行観覧車 の簡単なあらすじ

高級住宅地ひばりヶ丘で妻が夫を殺す事件が起こります。近隣住民が最後に聞いたのはその家の息子と母親が揉める声でした。事件直後いなくなる息子。高級住宅街で幸せそうな家を持つあまり幸せそうでない家族たちは、どうしたら幸せになれるのでしょうか。2013年ドラマ化もされた家族サスペンスです。

夜行観覧車 の起承転結

【起】夜行観覧車 のあらすじ①

憧れのひばりヶ丘

市内でも羨望を集める坂の上の住宅地ひばりヶ丘に待望の家を立てた遠藤真弓。

娘の彩花は家庭内暴力と言ってもいいほどの癇癪で真弓に毎晩当たり散らします。

高級住宅街で響き渡る彩花の癇癪と騒ぎが真弓は恥ずかしくてなりません。

そのうえ、彩花が騒ぎ出すと近所の小島さと子は必ず遠藤家の様子を伺いに来るのです。

息子夫婦に疎遠にされるものの、姑根性の強い小島さと子は野次馬根性が強く、このひばりヶ丘を高級住宅地にしたという意識が強いのです。

いつものように彩花の騒がしさがおさまると、珍しく向かいの高橋家から大声が聞こえてきます。

高橋家の次男息子慎司とその母親淳子がもめているようでした。

しばらく騒ぐと収まった様子でした。

何の問題もなさそうな高橋家が揉めるとは不思議でした。

真夜中に彩花がわがままを言い出し、真弓はコンビニまで買い物に出かけることになりました。

するとそこには高橋家の次男、慎司も買い物に来ていました。

そこで真弓にお金を貸して欲しいと頼んできます。

自分の娘と同い年なのに全く違う礼儀正しい様子に真弓は気持ちよくお金を貸してあげるのでした。

翌日、真弓は向かいの家のご主人である高橋弘幸が妻に殴られて死亡したとニュースで知るのでした。

そして慎司は真弓と会ったのを最後に行方不明になっているというのです。

警察は慎司に疑いを持っている様子も見られました。

慎司の姉、比奈子は友達の家に泊まりに行っていて、事件のことを後から知るのでした。

翌日、叔母が比奈子を迎えにきてくれます。

一旦は叔母の家に行く比奈子でしたが、叔父は高橋家の事件をよく思っておらず、比奈子と関わり避けていました。

学校は忌引きもあり休みなりましたが、友達から心配する連絡もなく、家族は誰もおらず比奈子は心が折れそうでした。

比奈子は、すでに家を出て大阪で大学生をしている兄に連絡を取るのでした。

【承】夜行観覧車 のあらすじ②

坂道を転げ落ちる

彩花は中学受験を失敗して、ひばりヶ丘の住宅街から坂道を下り公立中学校に通っています。

憧れのひばりヶ丘に家を立てた母親は舞い上がり、近所のS女学院を彩花に受験させました。

受験も失敗し、中学に上がるタイミングで引っ越ししたため公立中には友達はいません。

ひばりヶ丘がお金持ちが多く、公立に通う子もいません。

クラスメートたちは彩花の家がひばりヶ丘の住宅地の中で一番小さな家であることをからかってきます。

今では保健室の常連です。

その日も保健室へ向かいましたが、彩花はそのまま早退するのでした。

帰り道、行方不明のはずの慎司が道をふらついているのに遭遇します。

無視しようとする慎司に声をかけますが、慎司は彩花に冷たいままです。

彩花は面白くありませんでした。

一方高橋家の長男良幸は大阪で医大生をしていました良幸は母親を2歳の時に亡くし、淳子とは血が繋がっていません。

しかし淳子とも弟とも妹とも血の繋がりに関するわだかまりは一切ありませんでした。

良幸は忙しくニュースのことは知りませんでしたが、家に帰ると彼女の明里が待っておりヒステリーを起こしていました。

なにかと思えば事件のことでした。

彼氏の実家で殺人があったことで自分が不安がっているのに良幸には優しさがないと主張する明里に良幸はうんざりします。

翌日、良幸は事件の詳細を知ります。

ネットで検索すると、口さがないネット掲示板で家族が面白おかしく書き込みがされているのを見つけました。

弟が行方不明なこと、妹からのメールを受けて良幸は心配します。

一方兄がいる大阪へ向かおうと思った比奈子がバス乗り場へ向かうと、弟の慎司がフラつ浮いているのが目に入りました。

比奈子は慎司を大阪へ誘いますが、慎司は兄は自分たちとは母親が違うから悪いと言います。

比奈子と慎司が話し合っていると、大阪からバスが到着し良幸が降りてくるのでした。

【転】夜行観覧車 のあらすじ③

例)捨てられない過去

事件現場となった高橋家には、誰がやったのかわからない誹謗中傷の落書きや投げつけられた石のせいで窓ガラスが割れていました。

彩花はそれを見て自分もやろうと考えます。

それを真弓から見とがめられ、彩花は反発します。

そんな彩花の様子に真弓が呆れると彩花はまた癇癪を起こすのでした。

彩花の父親で、工務店で働く啓介は壁紙の貼り変えをしながら娘のことを考えていました。

ひばりヶ丘に越してきたがよくなかったような気がしていました。

彩花はそれからおかしくなったように思うのです。

しかし妻の真弓は家に情熱をかけているタイプで、ひばりヶ丘の土地に執着しました。

分不相応な場所に家を建てて舞い上がり、彩花の受験も思いついたのです。

啓介はどちらも止めることはできませんでした。

口数が少なく争いを避けてきた部分もありました。

帰宅すると荒んだ高橋家に石を投げる小島さと子の姿がありました。

声をかけるとさと子は当然の怒りだと自己弁護を滔々を始めます。

ひばりヶ丘の品位を落とす住人たちには出て行ってもらいたいと言うのでした。

嫌悪感が顔に出る啓介に、彩花の癇癪を止められない父親のくせにと揶揄ってきます。

さと子は事件の日に啓介が高橋家の前で様子を伺っていたことを知っていました。

啓介は高橋家の騒ぎを自分の家の騒ぎだと思っていたのでした。

しかし、今まさに聞こえてきた住宅地に響き渡る彩花の大声から啓介は逃げ出します。

高橋家の兄弟は3人で話し合いを始めます。

比奈子と良幸は慎司が父を殺し、母がかばったのではないかと疑っていました。

実際に勉強のことで揉めていたのは母と慎司でした。

事件の日、母は成績が学年で34位だった慎司にバスケをやめさせると言い、そこで慎司が切れました。

二人がもめていると父親が現れ、父と母は二人で話し合うため階下へ向かったのです。

その後母は慎司の部屋に戻ってきて謝ると、散歩してくるようにと言ったのでした。

【結】夜行観覧車 のあらすじ④

家族として生きていく

癇癪が凄まじく暴れる彩花に家を傷つけないでと真弓は懇願します。

鉢植えを投げつけてきた彩花に真弓は飛びかかり、鉢植えからこぼれた土と植物を怒り狂う娘の口に突っ込みました。

怯んだ彩花に真弓またがります。

あまりの騒ぎにさと子が遠藤家へやってくると、返事がありません。

庭へ回ると割れた窓ガラスから、首を閉めようとしている真弓の姿が見えました。

さと子は持っていた防犯ブザーを鳴らし割れた窓ガラスから投げ込みます。

真弓が我に帰りますが、さと子の前でも彩花の真弓への罵り合いは止みません。

さと子がどちらも悪いと言うと二人に追い出されます。

さと子遠藤家を後にすると、高橋家を掃除する人々姿が見えました。

逃げ出したはずの啓介と、比奈子の友達の歩美とその弟でした。

さと子は啓介に自分たちの主張を勝手に片付けるなと言うが、啓介はこんなことはよくないとさと子に言い返します。

そこへ高橋家の兄弟たちが帰ってきます。

良幸はさと子に比奈子と慎司が大きくなるまではここにいさせてほしいと頭を下げるのでした。

兄弟たちは啓介が両親の事件の前の会話を聞いていたと知り、その話をしてほしいと頼むのでした。

啓介の聞いた話はこうでした。

弘幸は淳子が慎司に勉強に対する圧をかけるのを良しとしませんでした。

淳子は、弘幸が、前妻と自分の子の賢さに差異があると思っていると感じ取ったのでした。

兄弟はその話を聞き落ち込みました。

それでも母親を支えていこうと思うのでした。

事件は弘幸が息子の慎司を勉強のことで虐待していたのを母親が止めたということで決着がついたのでした。

夜行観覧車 を読んだ読書感想

隣の芝生は青い、というのと、持ち家幻想が混じったミステリーです。

医者の父親、高級住宅街に大きな家に住む家族、そして進学校に入った子供達、という高橋家。

そこで父親が死んだとなれば、まず父親の教育熱心さを誰しもが考えてしまいます。

家族にしかわからない空気、ニュアンス、そしてコンプレックス、小さな積み重ねであり、お互いの歩み寄りを丁寧にしないために事件は生じます。

比奈子は母親が慎司を溺愛していたと感じていたし、良幸は淳子をきちんとした母親だと感じていました。

そして比奈子と慎司は父親が一番兄を得意に思っていたと感じていました。

父親は言葉では、自分とは関係なく良幸の才能を誇りに思っていたようですが、その心の奥底まではわかりません。

それがにじみ出ていたと感じるからこそ、淳子は凶行に走りました。

どちらが正しいわけでもなく、おそらくどちらも事実です。

感じ方はどちらかが正しいわけではなく、本来ならば会話をして解きほぐさなければなりません。

家族だからお互いが分かるわけではないのです。

それが浮き彫りになっているのが遠藤家です。

妻の暴走を止めなかった夫は、娘と向き合おうとはしませんでした。

妻も娘に理想ばかりを押し付けていました。

彩花はめちゃくちゃですが、夫婦がきちんとしていなかった犠牲者とも言えます。

しかしある程度で親のことは諦めないといけません。

必ずしも親になれる親ばかりではないのです。

それでも家族でいるしかない、という遠藤家の結論は諦めのようにも聞こえます。

父親を母親が殺すという大事件になるまで関係性の悪くなかった高橋家の兄弟たちでさえ、お互いの胸の内をきちんと話し合うこともさらけ出すこともしていませんでした。

彼らはこれをきっかけにお互いを支え合っていくようですが、遠藤家はどのような未来が待っているのか気になるところです。

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