「レキシントンの幽霊」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|村上春樹

レキシントンの幽霊(村上春樹)

【ネタバレ有り】レキシントンの幽霊 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:村上春樹 1996年11月に文藝春秋から出版

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レキシントンの幽霊の主要登場人物

僕(ぼく)
作家。物語の語り手。

ケイシー(けいしー)
僕の友人。建築家。

ジェレミー(じぇれみー)
ケイシーのパートナー。ピアノの調律師。

レキシントンの幽霊 の簡単なあらすじ

小説家として活躍していた「僕」は、レキシントンに住んでいる建築家のケイシーと友だちになります。ある時に彼の古いお屋敷に泊まることになり、期間は1週間ほどです。貴重なジャズレコードのコレクションの数々に、買い置きの高級ワインとチーズ。快適な留守番になるはずでしたが、僕は不思議な体験をすることになるのでした。

レキシントンの幽霊 の起承転結

【起】レキシントンの幽霊 のあらすじ①

レキシントンの友人とちょっとした頼まれごと

小説家として幾つかの短編作品を発表していた僕のもとに、ある時にひとりの建築家からのファンレターが舞い込んできました。

ケイシーという名前の50代の男性になり、マサチューセッツ州のレキシントンに住んでいます。

僕が間借りしているケンブリッジのアパートメントからは、車で30分程度でアクセス可能です。

何よりも彼が古いジャズ・レコードを大量に集めているという話に心惹かれて、彼のお屋敷をしばしば訪れるようになりました。

ケイシーは同性のパートナー・ジェレミーと暮らしていて、彼の奏でるピアノを聴いたり犬のマイルズと遊んだりと悠々自適の日々を送っています。

彼らとすっかり仲良くなって半年ほどたった時に、ケイシーのロンドンへの出張が決まりました。

いつもであればジェレミーが家に残るはずでしたが、ウェスト・ヴァージニア州にいる母親の具合が悪いようで実家に帰らなければなりません。

僕はジェレミーの代わりに1週間ほど留守番を引き受けます。

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【承】レキシントンの幽霊 のあらすじ②

静かなお屋敷で優雅なお留守番

留守番と言ってもマイルズに1日2回食事を与えるくらいで、後は何も難しいことはありません。

僕はケイシーの貴重なレコードのコレクションを楽しんだり、持ち込んできたノートパソコンを使って小説を書いたり本を読んでいました。

ケンブリッジの住まいは大学から近いために夜遅くになると学生たちが騒ぎ出し、近所では四六時中改修工事が行われています。

それに比べるとレキシントンの高級住宅街は実に静かな環境で、執筆活動や読書には持って来いです。

仕事の合間にはケイシーが用意してくれたモンテプルチアーノの赤ワインを飲んだりフランス産の高級チーズを頂いたりと、至れり尽くせりでした。

午後11時過ぎには僕は眠くなってしまう体質なために、纏わりついてくる寂しがりやのマイルズを宥めつつ何とか寝かしつけます。

2階にある客室用の寝室も小奇麗で快適な部屋になっていて、パジャマに着替えてベッドに潜り込んだ僕はたちまち眠りについてしまいました。

【転】レキシントンの幽霊 のあらすじ③

真夜中のパーティー

目が覚めた僕は一瞬自分が何処にいるのか分かりませんでしたが、ケイシーの家に泊まっていたことを思い出しました。

枕元に置いてあった腕時計のバックライトを点灯させると、ディスプレイに表示されている時刻は午前1時15分です。

その時に階下から聞こえてきたのは誰かの話し声と微かな音楽で、人の気配も1人や2人ではありません。

パジャマを脱いでTシャツとズボンに着替えると、足音を立てないように廊下を歩いて階段を降りていきます。

如何やら泥棒ではなくパーティーのようで、シャンパングラスの触れ合う音や古いレコードに合わせて踊っているリズミカルな床の軋みまで聞こえてきました。

玄関ホールには火掻き棒も野球のバッドも置いていないために、武器になるようなものは見当たりません。

そもそも不審者が侵入した時点でマイルズが吠え出すはずでしたが、寝床にはおらずに何処かへ行ってしまったようです。

その時に初めて僕は、「あれ」が幽霊であることに気が付きます。

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【結】レキシントンの幽霊 のあらすじ④

全ては夢か幻か

気がつくと僕は寝室に戻って寝直していたようで、時計の針は午前9時前を指しています。

マイルズは何事もなかったかのように丸まっていて、昨夜にパーティーが開かれていたはずの居間には何ら痕跡がありません。

ケイシーが1週間後に帰ってきた時に留守の間に変わったことはなかったか訪ねられましたが、僕はあの出来事について上手く話すことが出来ませんでした。

ケイシーからお土産のウイスキーを受け取ると、そそくさとその場を後にします。

それから暫くは長編小説の仕上げに追われていたため、ケイシーとは疎遠になっていきました。

再び彼と再会したのは半年近く経った後で、場所はチャールズ河の畔にあるカフェテラスです。

ジェレミーの母親が亡くなったこと、すっかり彼が変わり果ててレキシントンを去っていったこと。

近況を報告するケイシー自身も、僅か半年ですっかり老け込んでしまったようです。

今でも僕はふとした瞬間に、あの夜のレキシントンの幽霊を思い出すのでした。

レキシントンの幽霊 を読んだ読書感想

著者自身を彷彿とさせるような主人公と、建築家のケイシーやピアノ調律師のジェレミーとの交流には心温まるものがありました。

大きなお屋敷に住みながら自分の好きな仕事をして、ジャズレコードのコレクションに没頭する優雅な暮らしぶりが羨ましいです。

ストーリー前半の静かな展開の余韻を残したまま、不思議な世界へと誘われていくような後半パートが圧巻でした。

幽霊でありながら決しておどろおどろしいイメージはなく、音楽とダンスを愛するところには親しみさえ抱いてしまいます。

夢のような時間の終わりと共に、それぞれの別れを予感させるようなラストが哀愁たっぷりです。

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