「囮物語」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|西尾維新

「囮物語」

【ネタバレ有り】囮物語 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:西尾維新 2011年6月に講談社から出版

囮物語の主要登場人物

千石撫子(せんごくなでこ)
本作の主人公。暦にひそかに恋心を抱いている。

阿良々木暦(あらららぎこよみ)
春休みの事件依頼吸血鬼もどきとなっている

クチナワ(くちなわ)
蛇の怪異。撫子を騙し、彼女を神にしようとする

戦場ヶ原ひたぎ(せんじょうがはらひたぎ)
暦の彼女。暦を救う為、賭けに出る

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囮物語 の簡単なあらすじ

かつて蛇の怪異に魅入られた少女「千石撫子」はまたしても怪異に魅入られる。「クチナワ」と名乗る白蛇は撫子にしか見えていない様で、自身の亡骸を見つける手助けをして欲しいと頼む。断ることが出来なかった撫子はクチナワに利用されてしまう。クチナワの目的とは、撫子は何を選択するのか!?

囮物語 の起承転結

【起】囮物語 のあらすじ①

怪異再び

10月31日、いつもと変わらず公立七百一中学に向かう撫子は忍野扇と出会います。

2人に面識は無いにも関わらず、撫子の事を詳しく知っている扇に対して不信感を抱きましたが、忍野メメの姪であるという説明に、一応の納得を見せる撫子でした。

思いのほか時間が過ぎており、急いで学校に向かいましたが奇妙な事が続きます。

まず、げた箱から靴を取り出そうとした際に白い蛇が靴の中にいました。

驚く撫子ですがすぐに消えたので見間違いかと思います。

それから、鞄の中・体操袋の中・用具入れの中とありとあらゆる所に白蛇が現れ、撫子に絡みついてきます。

その姿は撫子にしか見えていない様です。

ただ、かつて貝木の流したおまじないの影響でもはや修復不可能なところまで崩壊したクラスに於いて、たとえ撫子に白蛇が絡みついていても誰も見向きもしなかったのだろうと寂しくなる撫子でした。

取りあえず暦に相談しようと決めた撫子は公衆電話から電話を掛けます。

忍が目覚めてからの方がいいとの事だったので夜に合う事を約束します。

【承】囮物語 のあらすじ②

贖罪

夜まで時間もあるので家に帰ろうとする撫子でしたが、その公衆電話から大量の白蛇が現れ、どこからともなく「北白蛇神社に来い」との声が聞こえてきます。

不気味に思いつつも声に従い神社へ向かうと、そこにはかつて撫子が惨殺した蛇の亡骸が大量にありました。

狼狽する撫子の前に再び白い蛇が現れ語りかけます。

白蛇は自身を「クチナワ」と名乗り、かつて撫子がした事について是非を問います。

自責の念に駆られる撫子は「どうしたら償えるのか」と聞きます。

それに対して、「逃げるか償うか自分で決めろ。

償う意思があるなら俺に協力しろ。

そうすれば許してやる」と言います。

どうやらクチナワは自身の亡骸、ご神体を探しているようでそれを撫子に手伝って欲しかったようです。

これは自分自身で解決しなければいけない事だと思った撫子は、その夜電話をかけてきた暦に「やっぱり何でもなかったの」と言い、本当のことは隠しました。

翌日、学校へ着き教室に向かっていると、担任の笹藪から声を掛けられます。

「『クラスの雰囲気をどうにかしろ』と頼んでいた件はどうなったんだ?」と、言います。

本来ならば担任が対処すべき問題なのですが、撫子を無理やり学級委員長に祭り上げあろうことか、責任を全て押し付けていたのです。

気の弱い撫子は「すみません」としか言うことが出来ず、笹藪はその態度に深いため息をつき「お前は学級委員なんだからなんとかしろよ」とくぎを刺すのでした。

【転】囮物語 のあらすじ③

避けてきた真実

そんなストレスのたまる学校も終り、本格的にクチナワの体探しを始めます。

夜にこっそりと家を抜け出し、ダウジングの要領で探していましたがご神体は見つからず、代わりに暦に見つかります。

どうやら娘がいない事に気が付いた撫子の両親が阿良々木家(月火)に電話をしそれを聞きつけた暦が、死に物狂いで探していたようです。

暦に見つかり阿良々木家に連行された撫子は、暦の尋問を受けますが、何とか誤魔化す事に成功しました。

一難去ってまた一難、尋問を終えた暦は撫子と同じベッドで寝ようとします。

まんざらでもない撫子でしたが、さすがに不味いと判断し出てきた忍の吸血鬼パンチをくらい、暦を部屋から引きずりだしました。

部屋を出る際、忍は「よかったのぅ。

たまたま可愛くて」と今まで甘やかされて育ってきた撫子を卑下するようなセリフを吐いて出ていきます。

翌朝目覚めると今度は、月火が隣で寝ていました。

兄妹揃って本当に仕方ないんだからと思ってみていると月火も目を覚ましました。

そこで撫子は以前から気になっていた暦の彼女の話を月火に聞きますが、自分の恋が叶わない事実を突きつけられてしまいます。

薄々暦に彼女がいる事を察していた撫子ですが、それを認めたくないあまり気が付かないふりをしていたのです。

すぐさま諦めようとする撫子をみて、「そんなに好きなら奪っちゃえばいいでしょ」と言い放ち撫子の前髪を切ります。

撫子も珍しく逆上し喧嘩別れをする2人でした。

【結】囮物語 のあらすじ④

残酷な現実

ひとまず、家に戻り学校へ向かった撫子でしたが再び担任から「クラスの件」について叱責を受けます。

しかし、今朝の件で吹っ切れた撫子は逆ギレし「それはお前(先生)の責任だろ」と言わんばかりの罵声を浴びせます。

あっけにとられる担任を尻目に撫子は教室に向かいドアを蹴飛ばして、クラスメイトにもキレます。

言いたいことを言った撫子は、早退します。

家に帰り何であんな事言ったのだろうと、うなだれる撫子でしたが、クチナワから「ご神体は阿良々木家にある」と聞かされ向かいます。

暦の部屋に侵入した撫子は、ベッドの下にあるエロ本に目を付けます。

そんなところにあるわけないだろうと冷めた目で見るクチナワを横目にエロ本を見ていると、栞が出てきました。

あろうことかそれがご神体でした。

ひょんな事で願いを叶えたクチナワは、お礼に願いを叶えてやるといいます。

撫子は「大好きな暦お兄ちゃんと両思いになりたい。

こんな願い事でも叶うのかなぁ」とつぶやきますが、「そいつは叶わないな、千石」と暦の声が聞こえてきました。

危険なものだから僕に返してくれという暦でしたが、大好きなお兄ちゃんの彼女になれないと分かった撫子は、クチナワにそそのかされたこともあり、ご神体を呑み込み怪異と化します。

暦と忍も応戦しますが、本来の力を失っている忍では歯が立ちませんでした。

まさにトドメをさそうとしたしたその時、ひたぎから電話がかかってきました。

全ての事情を知っていたひたぎは撫子と交渉し、卒業式が終わるまで待ってもらう約束をこぎつけます。

斯くして、猶予をもらったひたぎは、暦たちを救うべくとある人物との接触を図るのでした。

囮物語 を読んだ読書感想

物語の語り手が撫子という事もあり、柔らかい物腰で、文中にも漢字を多用しないというキャラに合わせた作品の作り方に西尾維新らしさを感じました。

撫子がブチキレるシーンでは、今までと180℃違う彼女の魅力を感じられここは是非とも、映像作品も見てほしいと思ったシーンです。

なんだかんだ言って、撫子の事を甘やかしたりと彼女の事が大好きだった暦ですが、彼女が間違った事をした時には、厳しい口調でしっかりと叱る事も出来る男なのだと、暦の認識が変わった作品でした。

決して叶わぬ恋と分かっていても、どこかで叶うと信じている気持ちも分かりますし、それが潰える悲しさも共感できるので、何とも言えない感情にさせられました。

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