夏目漱石「こころ」のあらすじ&ネタバレ

こころ

【ネタバレ有り】こころ のあらすじを起承転結で解説!

著者:夏目漱石 平成17年5月30日に株式会社新潮社から出版

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こころ の簡単なあらすじ

この物語は、若々しい書生が先生に出会うところから始まる。

先生といっても、単に主人公がそう呼んでいるだけであり、実際は海で偶然にであった無職の男である。

最初は出会った海で世間話をする程度の仲ではあったものの、徐々に先生だけではなく先生の奥さんとも交流を深めていくのであった。

先生との交流を図っていく過程で、主人公は先生に対して違和感を覚えていく。

先生と奥さんは一見仲の良い夫婦のように見えたが、先生がどことなく奥さんに対して何かしらわだかまりを抱いているようなのである。

そのことを主人公は先生に問い詰めるが、「話すべき時が来れば話します」と濁されてしまった。

そして来る明治天皇の崩御。

直後、主人公は先生から長い書簡を受け取る。

その書簡には、先生が今まで抱えてきた過去や苦悩が事細かに記されているのであった。

学生時代、先生にはKという友人がおり、Kは先生の奥さんとなる娘に惹かれていた。

結果、Kは恋に破れ、それを苦に自殺を図ってしまう。

先生はKの死をずっと悔やんで自殺を考えながらも、奥さんと結婚し生活を営んでいた。

最期に先生は、主人公に自分の過去をさらけ出して逝ったのである。

こころ の起承転結

【起】こころ のあらすじ①

先生との出会い

私と先生が出会ったのは海水浴場であった。

先生は非常に平凡な男性であったが、当時は珍しかった外国人と連れだって、西洋風な水着を着て海水浴を楽しんでいたために、人で溢れかえっている海水浴場でも非常に目立った。

海水浴場で毎日思い切って先生に話しかけてはみるものの、先生はというといつも素気のない感じであった。

交流を深められたと感じれば、またすぐ軽く突き放されるの繰り返しで、主人公はよく先生に失望させられていた。

自分のことを迷惑に思っているのかとも考えたが、どうやら、先生は自分自信のことを交流するに値しない人間であると感じているようである。

主人公は、先生の奥さんとも交流を深めていくが、先生は奥さんに対してもそのような態度をとっていた。

疑問を抱き、主人公は先生に問い詰めるものの先生の返事はやはり素気のないものであり、主人公は心に小さなわだかまりを抱えて過ごしていくのであった。

【承】こころ のあらすじ②

先生からの手紙

先生との交流は細々とながら続いてはいたものの、主人公の父親が重い病気にかかったため、主人公はいったん先生から距離をとって実家に赴くことになる。

そんな最中、夏の暑い盛りに明治天皇の崩御があった。

直後に主人公は先生から長い書簡を受け取る。

「あなたがこの手紙を手に取るころには、私はこの世にはいないでしょう。」

文頭にそう記されており、主人公の胸にざわめきが生じた。

先生はおそらく本当に亡くなっている、愛する奥さんと自由気ままに暮らしていたにもかかわらずなぜなのか、と主人公は感じ手紙を読み進めていった。

そこには先生がなぜ自分自身のことを価値のない人間に思うに至ったのかという経緯が記されているのであった。

【転】こころ のあらすじ③

先生の苦悩

先生は学生時代、友人Kと共にとある裕福な家に下宿をしていた。

Kは非常に優秀な男であったが、同時に純粋な男でもあった。

もともと先生とKは同郷の知り合いで、親友とも呼べる間柄である。

しかし、二人の仲は一人の女性により引き裂かれることになる。

下宿先には一人の美しい娘がいたのである。

彼女は恋愛において二人よりも一枚上手といえる人物であった。

彼女は、先生の気に留まるように、Kに気のあるふりをしていたのである。

もちろん二人はそんなこと知る由もない。

しかし、Kは彼女の策略通りに彼女に恋に落ちていくのであった。

先生も彼女に恋をしていた。

先に腹を割って話したのはKである。

「お嬢さんに気があるので応援してくれないか。」

先生は親友のKが言うことであるので、表面上は承諾したものの、実際の心境は異なっていた。

結果、先生は親友のKを裏切って彼女の恋人の座を射止めることになる。

そのことを知ったKは、祝福の言葉を述べるものの、数日後に自ら命を絶ってしまったのであった。

彼女はなぜKが死んでしまったのか思い当たらないが、先生にははっきりと動機が分かっていた。

自分がKを裏切ってしまったから、Kは死んでしまったのだ。

先生は、ずっと苦悩を抱えながらも彼女と結婚して生活を営んでいった。

しかし、愛する人との結婚生活も、親友を死に追いやってしまった罪悪感から心から幸福を感じることはなかったのである。

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【結】こころ のあらすじ④

先生の最期

先生はひっそりと死んでいった。

妻が思い悩むことのないように、血の色を見せないように、そして自分の過去を妻に包み隠して。

先生は奥さんと結婚して自殺を考えないわけでもなかったが、実行に至ることはなかった。

しかしそんなところに明治天皇崩御の知らせ。

明治の象徴がなくなってもなお、生きながらえていくことは時代遅れのように感じ、そのことを妻と話し合った。

妻はというと、それでは殉死すればいいじゃないですか、といつもの軽い調子で返すのであった。

そのやりとりで、先生の気持ちは自殺の実行に傾いていく。

どんどん自殺観念に飲み込まれて行って、明治天皇のあとを追って自死を選ぶものの思いをつづった文章を手にとり、自死の覚悟を固めていったのである。

こころ を読んだ読書感想

この本自体は、半分が主人公目線のお話、残りの半分が先生から主人公に宛てた書簡という構成になっています。

鎌倉の海岸で出会った先生の不思議な魅力にとりつかれた主人公と、自分には人から関心をもたれるほどの価値がないと考えている先生。

この二人が交流を持っていくことにより、先生の心が徐々に紐解かれていきます。

親友Kは純粋すぎる男であったように、私には感じられました。

下宿先の娘に恋心を抱き、しかし結果的には親友に裏切られて、娘への恋心は打ち砕かれます。

もちろん誰しも傷つくこととは思いますが、自死までするとは先生も予想だにしていなかったのではないでしょうか。

先生だけがKの自死の原因を知って生きていくことになります。

そんな先生の心の動きを繊細に記している作品であると感じました。

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