夏目漱石「坑夫」のあらすじ&ネタバレと結末を徹底解説

坑夫 夏目漱石

【ネタバレ有り】坑夫 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:夏目漱石 2004年9月に新潮社から出版

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坑夫の主要登場人物

僕(ぼく)
物語の語り手。19歳になるまで親元で育ち就職経験はない。

長蔵(ちょうぞう)
街道沿いで周旋業を営む。僕に鉱山の仕事を紹介する。

原駒吉(はらこまきち)
僕の上司。労働者たちのまとめ役。

安(やす)
肉体労働を転々とする。元は学生。

坑夫 の簡単なあらすじ

裕福な家庭で生まれ育った「僕」でしたが、ふたりの女性とのトラブルや父親への反発心から家を出てしまいます。当て所なくさ迷い歩いていた時に声をかけてくれたのは、怪しげな仕事の手引きをする長蔵です。長蔵に連れられてたどり着いた先は山奥にある鉱山の町で、ここで僕は坑夫として働く人たちの過酷な現場を目の当たりにするのでした。

坑夫 の起承転結

【起】坑夫 のあらすじ①

僕の出奔と周旋屋の長蔵さん

かなりの社会的な地位を持った父親のもとで生まれ育った僕は、19歳になるまで働いたことがありません。

何不自由なく恵まれた生活を送っていた僕でしたが、ある時に澄江と艶子という女性の両方から愛されてしました。

ふたりの両親ばかりではなく実の父親からも責め立てられた僕は、全てが嫌になって家出を決行します。

千住大橋を出発して北へ北へとひたすらに東京を離れたのは、ある5月の夕暮れ時のことです。

松原を抜けた先の街道沿いに茶屋を見つけた僕は、お茶と揚げ饅頭で休憩することにしました。

お店の中には女主人と、彼女の知り合いらしき長蔵という名前の男性がいるだけです。

長蔵から仕事をするつもりはないかと問いかけられた僕は、誘われるままに彼についていきます。

険しい山道を抜けて停留所で汽車に乗り込み、満員の車内に揺られた挙げ句にたどり着いた先は銅山です。

長蔵が紹介してくれたのは、 世の中で最も苦しくて最も蔑まれているという肉体労働者「坑夫」でした。

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【承】坑夫 のあらすじ②

みんなと打ち解けられない僕

長蔵の正体は道行く人に手当たり次第に声をかけて、雇用や商品取引の仲立ちをして小銭を稼ぐ周旋屋です。

要求されるままに持ち金を財布ごと手渡した僕を、 独身の坑夫たちが共同生活をしている宿舎まで案内してくれました。

鉱山の敷地内は「シキ」と呼ばれていて、10000人以上が組に分けられて暮らしています。

僕が割り当てられた組を取り仕切り所属する作業員たちの世話をするのは、原駒吉という40歳前後かと思われる屈強な男性です。

小綺麗な身なりをして明らかに上品な階級の出身である僕と、無学で粗野な男たちがうまくいくはずはありません。

来て早々に手荒い歓迎を受けることになった僕を、原だけは何かにつけて心配してくれました。

困ったことがあったらいつでも相談に乗り東京へ戻る旅費も負担してくれるという原でしたが、当分の間は辞めるつもりはありません。

次の日の朝にはシキの中を案内人と一緒に見学するために、僕は早めに寝ることにします。

【転】坑夫 のあらすじ③

過酷な労働と搾取

シキの内部には、実に多種多様な顔ぶれが働いていました。

大工として雇われているシチョウ、坑夫の下働きをしている堀子、さらにその下で堀子の手伝いをする山市、男たちの相手をする芸者。

シチョウは請け負い業のために1日に換算すると1〜2円と高額の報酬をもらえますが、堀子は日当で30銭くらいにしかなりません。

給料のうちの5パーセントは、所属先の親方にピンはねされてしまいます。

布団のレンタル料が1枚3銭、食事代が1日14銭。

ケガをしたり急に病気にかかったりした場合にも手当金はなく、治療にかかる費用は全てが自己負担です。

国産のお米しか食べたことがなかった僕は、この宿場で生まれて初めて南京米という輸入米の味を知りました。

壁の土のような味には一向に慣れませんが、食べない限りはここで生き抜くことは不可能なために無理やり口の中に流し込みます。

加えて僕を悩ますのは、不衛生な環境から布団に発生する蚤や虱です。

寝不足と空腹を抱えているうちに、 僕は次第に実家の快適な暮らしが恋しくなってしまいました。

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【結】坑夫 のあらすじ④

鉱山に打ち捨てられた人たち

シキの中には料理屋や遊び場の他にも、銀行や郵便局まで用意されていました。

作業に入る前に健康診断を受けることが義務づけられているために、僕は宿舎を出た2丁(約200メートル)ほど先にある診療所に向かいます。

医師の検査により気管支炎が見つかった僕は、現場に出ることができません。

代わりに宿舎の帳簿をつける仕事を、月に4円で引き受けることにします。

今まで僕を軽蔑していたはずの同僚たちも、 会計係になった途端にお世辞を並べ立てる始末です。

ある時に「スノコ」と名付けられた鉱石のクズ捨て場で迷子になってしまった僕は、安という作業員と親しくなりました。

所属しているのは山中組で原組の僕とは接点がありませんが、その会話からは高い教育を受けていることが分かります。

順風満帆だった安の人生に転落が訪れたのは、とある女性に深入りして罪を犯してしまった23歳の時です。

「ここは人間のクズが放り込まれる所」という安の言葉を聞いた僕は、東京へ帰ることを決意するのでした。

坑夫 を読んだ読書感想

「もう少しで地獄の三丁目へ来る」という、 案内人が主人公に投げ掛けるセリフが印象深かったです。

搾取や暴力がまかり通り、ひとりひとりの人間性が押し潰されていく鉱山の非情さには胸が傷みます。

明治時代の危険な労働環境を描いた本作品には、昭和の時代にプロレタリア文学によって資本主義を告発をした小林多喜二や葉山嘉樹にも通じるものがありました。

21世紀のブラック企業に苦しめられている、 現代人にとっても決して無関係ではないでしょう。

次第に無感動になっていた主人公を、ラストで外の世界へと導いていくインテリ坑夫・安の言葉が心に残ります。

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