夏目漱石「野分」のあらすじ&ネタバレと結末を徹底解説

「野分」

【ネタバレ有り】野分 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:夏目漱石 2017年3月にクリーク・アンド・リバー社から出版

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野分の主要登場人物

白井道也(しらいどうや)
主人公。英語教師を辞職した後に職を転々とする。

中野輝一(なかのきいち)
文学部を出た後に「中野春台」のペンネームで執筆を続ける。

高柳周作(たかやなぎしゅうさく)
中野の親友。道也の元教え子。

足立(あだち)
道也の同級生。大学教授。

野分 の簡単なあらすじ

白井道也は大学を卒業した後に田舎の学校に教師として就職が決まりますが、不器用な性格からいずれの赴任地でも長続きしません。現在では文芸雑誌の編集を手掛けつつ、文学者として成功するために執筆活動を続けています。ある時に若手の作家・中野輝一に原稿を依頼したことがきっかけで、かつての教え子との思わぬ再会を果たすのでした。

野分 の起承転結

【起】野分 のあらすじ①

世渡り下手な道也

白井道也は大学を卒業した後に、越後の中学校に教師として就職しました。

油田の名所として有名なこの地方で権力を握っているのは、当然ながら石油会社の役員たちです。

あるときの演説会で道也は企業と学校の癒着構造を批判したために、辞職に追い込まれてしまいます。

その後も九州や中国地方を転々としますが、いずれも頑固な性格が災いしてか長続きしません。

7年間に3度の転職を経験した末に東京に戻ってきた道也は、大学時代の同級生で今現在は教授として成功している足立を訪ねて仕事を紹介してもらいました。

「江湖」という雑誌の編集が1カ月で20円、英和辞書の編集が1回で15円。

当面の間はこれだけが道也の確かな収入源で、後は新聞でも文芸誌でも頼まれれば何でも書かなければなりません。

いつものように江湖に載せるための記事を集めていた道也は、若手の文学者として成功している中野輝一の自宅を訪ねます。

中野には高等学校の頃から親しくしている高柳周作がいましたが、彼は道也のかつての教え子です。

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【承】野分 のあらすじ②

中野と高柳の変わらぬ友情

日比谷公園を散歩していた中野は高柳とばったり会ったために、園内にある西洋料理のお店に誘ってふたりで一緒に昼食をとることにしました。

中野は実家が裕福で友達が多く大らかな性格、高柳は貧しい家庭に生まれ育って無口で人付き合いの悪い皮肉屋。

まるっきり正反対な人生を歩んできたふたりは同じ寄宿舎の同じ窓に机を並べて生活を送り、同じ文科で同じ教授の講義を受けます。

今年の夏に卒業してからも、中野と高柳の友情は変わることはありません。

道也が受け持っていた生徒の中にはやたらと問題児が多くて、中学時代の高柳もそのうちのひとりです。

ある日の夜に悪友たちを15〜6人くらい引き連れて、道也の家の前まで行って大声で騒ぎ立てて石を投げつけてしまいました。

それから間もなく道也は学校を去っていき、大人になった今でも高柳は自分が先生を追い出してしまったと後悔しています。

再会を果たした際は、当時の失礼な振る舞いを謝罪する覚悟です。

【転】野分 のあらすじ③

血に怯える高柳

道也が留守にしている間に、妻と兄はいまだに文学に未練たらたらな彼を教師に復帰させる手筈を整えていました。

兄は道也に100円を無利子で借用書も作らずに貸していましたが、突如として道也に返済を迫ります。

支払日は4日後の15日、もしも1日でも支払いが遅れた場合は文学者への道を諦めて教師として全うに生きる。

当の本人は一向に気にした様子もなく、いつものように労働者が集まる集会に出掛けて演説中です。

たまたま観客席にいた高柳は会の終わりに道也に過去の過ちを打ち明けようとしましたが、体調が急変してしまい声をかけることができません。

自宅に帰った後も症状はひどくなる一方で、ついには血をはいてしまいます。

彼の父親は郵便局の役人として働いている時に横領で逮捕されて留置場で亡くなりましたが、直線的な死因は肺病です。

高柳は肺病の遺伝ばかりではなく、犯罪者の血を受け継いでいる自分自身に対してすっかり嫌気がさしてしまいました。

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【結】野分 のあらすじ④

過去の借りを今こそ返す

しばらく姿を見かけない友を心配して、中野は高柳のもとを訪ねてきました。

間借りしているのは6畳ひと間の寒くて埃っぽい下宿で、これでは体調が回復するはずはありません。

熱海へ転地して療養することをアドバイスする中野は、その費用を全て負担するつもりです。

財布から100円もの大金を取り出して無造作に手渡そうとしますが、無条件で人の世話になるのが嫌な高柳は受け取ろうとしません。 中野はあくまでもビジネスだと言い張り、健康になったら小説を書いてもらうと約束を交わします。

ようやく100円を受け取った高柳は、その足で道也の家に向かいました。

借金のせいで夢に破れそうだという道也の話を聞いて、高柳は100円を差し出して彼が執筆した小説と取り換えてもらいます。

100円は高すぎると言う道也に、高柳が明かしたのは自らの過去です。

かつては道也の教え子だったこと、自分の軽はずみな行動が道也を学校から追い出すきっかけになったこと。

立ち尽くす道也を残して、高柳は夜の闇へと消えていくのでした。

野分 を読んだ読書感想

いかなる権力者にも追従しない孤高の主人公・白井道也には、 著者の代表作「坊っちゃん」に登場する正義感の溢れる教師を思い出してしまいました。

妻からは文句ばかりを言われて、兄からは借金を理由に就職を要求されてしまうシーンには笑わされます。

経済的にも恵まれて作家としても成功した中野輝一と、病弱でさえない毎日を送っている高柳周作の間に芽生える不思議な友情も印象的でした。

若気の至りで犯した過ちを長らく引き摺っていた高柳が、 過去と向き合いながら小さな一歩を踏み出していくクライマックスがすがすがしかったです。

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