童話「千匹皮」のあらすじと結末を全編解説

童話「千匹皮」

【ネタバレ有り】千匹皮 のあらすじを起承転結で紹介

よだかの星の主要登場人物

千匹皮(せんびきがわ)
お后と王様の実子。お后に生き写し。父である王に結婚を申し込まれ、回避しようと無理難題を結婚の条件に提示したが、王様が頑張ったおかげでクリアされてしまう。最終的に城から逃げ出し、千匹皮として別の国の王宮の台所で働くこととなる。

王様(おうさま)
お后が亡くなってからふさぎ込む。相談役たちの勧めで再婚相手を探すも条件に合う女性は見つからなかった。が、娘がお后に生き写しだということことに気付いてからは妻にしようと結婚を宣言する。

お后(おきさき)
金髪の美女。自分と同じぐらい美人で金の髪でない人とは再婚しないでほしいと夫である王様に遺言して息を引き取る。

王様2(おうさま2)
別の国の王様。狩りの途中で千匹皮を見つけ、王宮へ連れて行く。後に城の舞踏会で本来の姿になった千匹皮とそうとは知らずに踊り、最終的に結婚した。

千匹皮 の簡単なあらすじ

后の遺言のせいで実の父と結婚させられそうになった娘は、千の獣の毛皮で作られた衣を纏い城から逃げ出す。逃げた先で猟師に捕らえられ、千匹皮と名付けられ王宮で働くことに。

千匹皮 の起承転結

【起】千匹皮 のあらすじ①

后の遺言と王の乱心

とある国のお后が病床で「自分と同じぐらい美人で、綺麗な金髪の持ち主とでなければ再婚しないで」と、夫である王に言い残してこの世を去りました。

王様はお后様が亡くなったことでひどくふさぎ込んでしまい、そんな様子に相談役たちは「王様に再婚して頂かねば」と考えます。

世界中に使者を送り、后の遺言通りの女性を探すも、そんな人は一向に見つかりません。

ある日ふと、王様は自分の娘が亡き后に生き写しであることに気づき、娘と結婚することを宣言してしまいます。

これには相談役たちも娘もショックを受けてしまいます。

娘はなんとか結婚を回避しようと、作ることが困難であろうそれぞれ「太陽、月、星」のような美しいドレス三着と、千種の獣の毛皮で作った衣を要求します。

が、王様が頑張って全て実現させてしまいます。

【承】千匹皮 のあらすじ②

逃亡と、千匹皮として

結婚の条件をクリアされてしまった娘はもう逃げるしか道はないと、太陽、月、星のドレスをしまったクルミの殻、金の指輪、金の紬車、金の糸巻きを持ち、千種の毛皮の衣を纏い、顔と手を煤で真っ黒に汚して城から逃げ出します。

一晩中歩いた彼女は大きな森で木の洞に入り眠ってしまいます。

彼女が眠っていると、そこにたまたまその森でで狩りをしていた別の国の王様が通りがかります。

王様は連れていた猟犬が騒ぐので、お供の猟師に木の洞の中を調べさせると「千種の毛皮を持つ不思議な獣がいる」というのでそのまま捕まえさせました。

すると娘が驚いて目を覚まし、「私は捨てられた孤児です。

一緒に連れて行って下さい」と叫ぶので、彼女を城に連れて行き、台所で働かせることにしました。

彼女は見つかった時の恰好から、千匹皮と呼ばれるようになります。

【転】千匹皮 のあらすじ③

舞踏会での変身とスープ

あらゆる台所での仕事をしながら長いこと惨めに暮らしていた千匹皮。

ある日城で舞踏会が開かれ、彼女はコックから30分だけ舞踏会を見に行く許可をもらいます。

すると彼女は自分の小部屋で顔と手を洗い、太陽のドレスに着替えて美しい姿で舞踏会へと参加します。

誰も彼女が千匹皮と気付かず、彼女は王様と一緒に踊ります。

が、一曲終わると彼女はすぐさま姿をくらまし、元の煤で汚れた千匹皮の姿になり持ち場に戻ります。

と、コックが彼女に自分の代わりに王に出すスープを作るように言いつけます。

彼女はスープを作ると金の指輪をその中に入れました。

そのスープを飲んだ王様はそのおいしさに舌鼓を打つも、皿の底から金の指輪が出てきたことに首を捻ります。

王様がスープを作った千匹皮を呼び出し、お前は誰で、何をし、何故金の指輪を持っていたのかと聞くも、千匹皮は知らぬ存ぜぬを通します。

【結】千匹皮 のあらすじ④

千匹皮、正体がバレる

そのうちまた舞踏会が催され、千匹皮は前と同じように今度は月のドレスで踊り、スープに金の紬車を入れました。

そしてまた王様に呼ばれるのですが知らぬ存ぜぬを通します。

三度目の舞踏会も同じく、今度は星のドレスで参加します。

が、このとき王様が周囲に踊りをいつもより長くさせ、こっそり千匹皮の指に金の指輪を目印にはめてしまいました。

お陰で時間が無くなった彼女は大急ぎで毛皮をドレスの上から羽織り、顔と手を煤で汚さねばなりませんでした。

が、急いだせいで指輪が嵌った指だけ白く残っていたのです。

そうしてまたスープを作り、今度は糸巻きを入りのスープを飲んだ王様から呼び出されます。

またしても知らぬ存ぜぬを通そうとする彼女ですが、白く残った指と指輪が王様に見つかってしまいます。

王様が彼女の手を取り毛皮をはぎ取ると星のドレスが、煤を落とせば美しい顔が現れます。

王様は彼女を花嫁にし、二人は死ぬまで幸せに暮らしました。

千匹皮 を読んだ読書感想

グリム童話の「千匹皮」ですが、不思議なことに初版に近い形のものだと、逃げ出した父王の元に戻って結婚する話になっています。

最初に私が読んだ千匹皮が初版タイプのものだったので、展開と結末になんで?となったのが懐かしいです。

今回参考にしたお話の形の方がその部分の矛盾がなくすっきり読めます。

ただ、どちらのタイプの話にせよ、遺言に振り回されるのは勘弁願いたいなぁ、と思ってしまいました。

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