童話「とびくらべ」のあらすじと結末を全編解説

童話「とびくらべ」

【ネタバレ有り】とびくらべ のあらすじを起承転結で紹介

イワンのおばけたいじの主要登場人物

とび人形(とびにんぎょう)
触ると跳び上がる仕掛けの無口な玩具。誰が一番高く跳び上がれるか、ノミとバッタと競う事になった。

ノミ(のみ)
礼儀正しいノミ。小さすぎて見えない。

バッタ(ばった)
口達者なバッタ。自分を偉く見せるために嘘をつく。

王様(おうさま)
一番高く跳び上がれた者に、褒美としてお姫様をやると約束した。

お姫様(おひめさま)
王様の娘。

とびくらべ の簡単なあらすじ

お姫様を巡り、とび人形・ノミ・バッタが高跳び競争をしました。一番高く跳べた者が勝者です。王様が勝者に選んだのは、誰よりも高く飛べたものの誰にも見えなかったノミや、王様の機嫌を損ねたバッタではなく、王様の期待通りに動けたとび人形でした。

とびくらべ の起承転結

【起】とびくらべ のあらすじ①

高跳び競争

とび人形・ノミ・バッタが、誰が一番高く飛べるか競い合う事になりました。

三人は世界中の人々に招待状を送りました。

高跳び競争を観戦したい人なら誰でも来ていい事にしたのです。

高跳び競争の日、王様など大勢の観客がやってきました。

高跳び競争が始まる前に、王様が提案します。

競い合うのに褒美がないのは可哀想だ、折角だから一番高く飛んだ者にお姫様をやろう、と。

こうして、とび人形・ノミ・バッタは、お姫様を巡って争う事になりました。

【承】とびくらべ のあらすじ②

選手紹介

競技の前に、三人は観客に自己紹介をしました。

一番目はノミです。

ノミは礼儀正しく観客たちへお辞儀をしました。

普段から人間の血を吸っているノミは、人付き合いの仕方を心得ていました。

二番目はバッタです。

バッタは自分が由緒正しい生まれである事や、皆から尊敬されている事などを説明しました。

ですが、これらは全て自分を偉く見せるための嘘でした。

言葉を尽くして自己紹介をするノミ・バッタと違い、とび人形は無口で何も話しません。

黙ったままのとび人形を見て、人々はとび人形は思慮深く優れた者なのだと解釈しました。

【転】とびくらべ のあらすじ③

勝者はとび人形

最初に跳んだノミは、小さな体で高く跳び上がりました。

ですが、どれだけ跳んだのか観客には見えなかったため、観客は全然跳んでいなかったと言い張りました。

次に跳んだバッタは王様の顔にぶつかってしまい、王様の機嫌を損ねてしまいました。

最後のとび人形ですが、黙り込んだまま動こうとしません。

とび人形は誰かに触れてもらわないと跳び上がれないのです。

跳べないのか、と失望され始めた時、心配して寄ってきた観客のおかげで、とび人形は跳び上がる事ができました。

低くしか跳べませんでしたが、お姫様の膝の上に乗れたので、王様は喜び、とび人形にお姫様をやりました。

【結】とびくらべ のあらすじ④

王様の考える一番高く跳ぶという事

王様は言います。

一番高く跳ぶという事は、褒美であるお姫様のところまで跳び上がるという事。

そこに気付くためには知恵が必要で、とび人形はそれを証明する事ができたのだ、と。

ノミは、数値上一番高く跳べたのは自分なのに、認めてもらうためには、誰にでも見える体が必要なのだと思いました。

その後、外国の軍隊に入隊したものの、死んでしまいました。

バッタも嘆きの歌を歌いました。

この高跳び競争の話はバッタの歌が元になっているそうですが、バッタは嘘つきなので、本当かどうかはわかりません。

とびくらべ を読んだ読書感想

まさに沈黙は金。

とび人形は無口だからこそ、周囲から人柄や行動を良い様に解釈され、成功を収めます。

多弁で嘘つきなバッタとは対照的です。

そして、人から評価されるためには人に見てもらえなければいけません。

世渡り上手なとび人形と、世渡り下手なノミ、少し理不尽な王様。

非情ではありますが、逆に、自分の頑張りが認められずとも、それは自分の力不足ではなく周囲の取り方の問題なのだと、この作品は教えてくれているように思えます。

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