【ネタバレ有り】気のいい火山弾 のあらすじを起承転結で紹介
さるのキモの主要登場人物
ベゴ石(べごいし)
死火山の噴火で野原に落ちた、大きな黒い石。表面がつるっとしていて、気性もおだやか。
稜石(かどいし)
ベゴ石の周りにいる、稜のごつごつした石。こちらも死火山の噴火の時に一緒に落ちた石。
こけ(こけ)
ベゴ石の上に生えているこけ。
かしわ(かしわ)
ベゴ石のそばに立っているかしわの木。
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気のいい火山弾 の簡単なあらすじ
ある野原に、火山弾が散らばっていました。ほとんどの石はゴツゴツでしたが、ベゴ石だけは大きくてツルツルなので、野原中の植物は、くる日もくる日も下に見て、ばかにしておりました。気のいいベゴ石はニコニコと笑うばかりです。ですがある時、火山弾の調査にきた研究者たちがベゴ石を見つけ、「これは最高に素晴らしい貴重な火山弾だ!」と大喜び。野原のものたちを残して、ベゴ石だけを持ち帰るのでした。
気のいい火山弾 の起承転結
【起】気のいい火山弾 のあらすじ①
あるところに、死火山がそびえていました。
周りの野原には、以前大噴火をした時に飛んできた、たくさんの火山弾が落ちていました。
ほとんどの石はゴツゴツと稜(かど)がとがっていましたが、ひとつだけ黒くて大きくてツルツルな石がおり、野原のみんなはベゴ石とあだなをつけて呼んでいました。
ベゴ石は噴火して山から飛び出した時に、くるくると回ったことで表面が滑らかになり、帯の柄が入っていました。
稜石は、ベゴ石だけが丸いことをあげつらえて、みっともないとか臆病者だとか言って、毎日毎日ばかにしていました。
ベゴ石はとても気性のおだやかな石で、どんなにばかにされても、「そうかもしれないねえ。」
と、怒りもせずにニコニコ受け流すだけです。
【承】気のいい火山弾 のあらすじ②
ベゴ石のことをばかにしたのは、稜石だけではありませんでした。
ベゴ石のそばに立っているかしわの木は、「火山の時は大きく見えたけど。」
と、自分より低いところにいるベゴ石を下に見て、自分が凄い存在だと思う材料にしていました。
悲観的なおみなえしの花は、ベゴ石にはこけのかんむりがついているとばかにしましたが、心の中は自分が傷つかないようにすることでいっぱいです。
飛び回る蚊は役に立たない無駄な石だと言いました。
そしてそれを聞いたベゴ石の上に生えているこけたちは、自分たちもベゴ石のことをばかにした歌を歌い始めました。
ベゴ石もこけのために歌を作りましたが、無視をされてしまいます。
みんなが、自分と違う形のベゴ石のことを、あたりまえのようにばかにしていたのです。
ですがベゴ石は、ニコニコと笑って「そうかもしれないねえ。」
と言うだけなのでした。
【転】気のいい火山弾 のあらすじ③
そんな日々を過ごしていたある日、どこからか、すごい機械を持った研究者らしき人間たちがやってきて、ベゴ石のそばに集まりました。
そして、「この火山弾はキレイで素晴らしい。
こんなすごいものは大英博物館にもないだろう!」と大絶賛したのです。
それを聞いて稜石たちは、黙ってしまいました。
ばかにされているだけだった表面の柄は、火山の噴火の具合がわかる最高の標本だと、ほめられました。
村の人々もベゴ石の周りに集まりました。
そして大切につつまれて、荷馬車にのせられたのでした。
【結】気のいい火山弾 のあらすじ④
集まった研究者たちは、東京帝国大学校地質学教室の面々でした。
ベゴ石は、火山の噴火を研究するための、非常に貴重な標本だったのでした。
ベゴ石は丁寧にむしろにくるまれ、こけは、「いらない。」
とむしり取られてしまいました。
それでもベゴ石は、変わらずおだやかに笑うだけです。
そして最後に、「みなさん、お世話になりました。
私の作った歌を、一度でも歌ってくださいね。」
と言います。
そして「私の行くところは、ここのように明るく楽しいところではないかもしれないけれど、私は私にできることをしようと思います。」
と伝えて、去ってゆくのでした。
気のいい火山弾 を読んだ読書感想
「気のいい火山弾」は、岩手の文豪・宮沢賢治が書いた童話です。
宮沢賢治の作品は圧倒的な数がありますが、「ばかにされる」などの人間関係を描いたものも多くあります。
めずらしい火山弾のお話のようでいて、現代の社会でもさまざまな形で根強く残る、人間の残酷な一面を、切り取っていると思います。
ベゴ石は、本当に野原にいるのが楽しかったのでしょうか?それとも傷つけないように配慮しているのでしょうか。
少なからず、明るい野原は好きだったのではないかと感じます。
どちらにしても、圧倒的に自分が優位になっても一言も相手をおとしめようとしない、そして自分のやるべきことを黙ってこなしていく、そのベゴ石の姿は正しく美しいと感じます。
童話ながらに、思わず自分の毎日を振り返ってしまうような、お話です。
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