モナドの領域(筒井康隆)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

モナドの領域

【ネタバレ有り】モナドの領域 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:筒井康隆 2015年12月に新潮社から出版

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モナドの領域の主要登場人物

上代真一(かみだいしんいち)
殺人事件の捜査を担当する二班の警部。

栗本健人(くりもとけんと)
「アート・ベーカリー」のアルバイト店員。美大生。

結野楯夫(ゆいのたてお)
美大で西洋美術史を教える教授。

伊藤治子(いとうはるこ)
主婦。GODのマネージャー。

高須美禰子(たかすみねこ)
女子大学生。GODの付き人。

モナドの領域 の簡単なあらすじ

河川敷で人間の腕が発見された数日後に、町中では腕の形をしたパンが売り出されるようになります。パンを焼いた学生の行方を追う美しき刑事は、近隣の公園内で発生した不可解な事件との恐るべき繋がりに気付くのでした。

モナドの領域 の起承転結

【起】モナドの領域 のあらすじ①

禁断のバゲット

上代警部は切断された女性の右腕が発見された、河川敷にたどり着きます。

50歳を迎えながら未だに衰えることのない彼の美しさは、殺伐とした現場には似つかわしくありません。

状況からしてバラバラ殺人事件かと思われますが、死体の片腕だけを遺棄するのはおかしな話です。

事件から数日ほどたった頃、駅前の商店街に店を構える「アート・ベーカリー」で販売されている、不思議なパンが話題を集めていました。

人間の片腕の形をしたバゲットは、グロテスクな外見とは裏腹に絶妙な味わいです。

作ったのは栗本健人という美大の学生で、180センチを超えた身体と髭を蓄えた面長な顔立ちは何処と無く聖人を思わせるものがあります。

お店の常連である大学教授の結野楯夫は、2000円という高額にも関わらずに衝動買いしてしまいました。

自身が新聞の文化欄に連載しているコラムにこのパンについて書いたことで、河川敷のバラバラ遺体とアート・ベーカリーとの関連に疑惑が浮上します。

上代警部は栗本に話を聞こうしましたが、彼はバイト代でパリに行っていて既に日本にはいません。

【承】モナドの領域 のあらすじ②

公園に舞い降りた神

4年前に妻に先立たれた結野教授は、午前11時頃にアート・ベーカリーで遅めの朝食をとるのが日課になっていました。

食べ終わって店を出ると、駅前の大通りとは逆方向にある公園に向かいます。

ベンチに腰掛けた結野教授が呼び止めたのは、偶然に側を通りかかった買い物帰りの主婦です。

初対面にも関わらずに彼女の名前「伊藤治子」から、3週間と4日前に空き巣に入られたことまでを言い当てました。

たちまち結野教授の周りには人だかりが出来て、紛失したダイヤモンドの在処から進学・就職先までを質問攻めにします。

騒ぎを聞いて駆けつけたのは、突然の休講を不審に思って教授の行方を探していた受講生の高須美禰子です。

いつもとは違う結野教授に戸惑いながらも、高須はマスコミを追い払い何とかこの場を静めようとしました。

遂には警察が出動する騒ぎとなり、上代警部も応援のために駆り出されます。

結野教授の異様な瞳の輝きを見た上代は、栗本健人との同一性を疑うのでした。

【転】モナドの領域 のあらすじ③

神をも畏れぬ法廷

騒ぎを起こした結野教授は警察に逮捕されてしまい、裁判にかけられることになりました。

すっかり結野教授に心酔した伊藤治子と高須美禰子はふたりで力を合わせて、彼の無実を証明するために奔走していきます。

裁判当日には大勢の傍聴人やマスコミ関係者が詰めかけて、通常の法廷では開廷できません。

大法廷と呼ばれている特殊な部屋に現れたのは、手錠を嵌められて腰縄姿ながらも眼に輝きを宿した結野教授です。

裁判長に名前を聞かれた途端に、「結野楯夫」ではなく「GOD」と宣言しました。

検察側の激しい追及や挑発行為にも、GODは動じることはありません。

法廷に遅れて入ってきた新聞記者の到着時刻をピッタリと予言して、更には遠く離れたサウジアラビアでの自爆テロについても言い当てていきます。

法廷中がGODの実在を信じ切った中で、裁判長が出した判決は執行猶予2年です。とりあえず実刑だけは免れたGODは裁判を傍聴していた治子をマネージャー、美禰子を付き人に任命して次の計画を打ち明けます。

【結】モナドの領域 のあらすじ④

神なき世界に生きる人々

雑誌のインタビューは治子を通して断っていたGODでしたが、2時間の生放送番組に1000万円のギャラで出演を承諾しました。

文化人から主婦代表にサラリーマンまでの質問に答えたGODは、最後にカメラに向かって無限の世界の存在を宣言します。

テレビ出演を終えたGODが上代警部との密会場所に選んだのは、滞在中の美禰子のマンションです。

河川敷で発見された片腕は、本来この世界には存在しなかったはずの女性のものでした。

栗本健人に憑依して腕型のバゲットを作ったのも結野楯夫の肉体を借りて公園や裁判で人間と対話したのも、ふたつの世界の間に生じた綻びを繕うためです。

全てが元通りになった今、GODは自らの存在を人間たちの記憶から消し去ります。

気が付くと美禰子はキャンパスに居て、栗本とすれ違っていました。

栗本は前々からの念願だったパリ旅行が、近々実現しそうな期待を抱いています。

伊藤治子は買い物帰りに導かれるかのように公園に立ち寄っていて、上代警部は本署の屋外喫煙所で勝利感に満ちた表情です。

アート・ベーカリーでいつもの席に座った結野教授は、何故貯金が1000万円も増えているのかどうしても思い出せません。

モナドの領域 を読んだ読書感想

河原沿いで発生したバラバラ殺人事件から幕を開けていく、推理小説テイストのオープニングには騙されてしまいました。

単なる犯人探しや美しき刑事の謎解きゲームに終わることなく、「神」の存在に迫っていくスリリングな展開に引き込まれていきます。

イエスキリストを思わせる青年が焼き上げる人間の手をモチーフにしたパンが、何とも不気味でもあり不謹慎にも美味しそうです。

公園でのGODと群衆の対話や、法廷で繰り広げられる激しい舌戦が迫力満点でした。

数多くの謎を残しながら消え失せていく、GODとの別れには名残惜しいものがあります。

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