わたしのグランパ(筒井康隆)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

わたしのグランパ(筒井康隆)

【ネタバレ有り】わたしのグランパ のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:筒井康隆 1999年8月に文藝春秋から出版

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わたしのグランパの主要登場人物

五代珠子(ごだいたまこ)
女子中学生。

五代謙三(ごだいけんぞう)
珠子の祖父。

五代恵一(ごだいけいいち)
珠子の父。電気会社の課長。

五代千恵子(ごだいちえこ)
珠子の母。主婦。

五代操(ごだいみさお)
珠子の祖母。

わたしのグランパ の簡単なあらすじ

中学1年生の五代珠子の祖父・謙三が、15年の刑期を務めて家族の元へと帰ってきます。破天荒極まりない祖父に戸惑いを隠せない両親や祖母でしたが、不思議と珠子とは波長が合うようです。学校でのいじめ問題や近所を騒がせている地上げ屋たちまで、次から次へと舞い込んでくるトラブルにふたりは力を合わせて立ち向かっていくのでした。

わたしのグランパ の起承転結

【起】わたしのグランパ のあらすじ①

帰ってきたグランパ

五代珠子が自分の祖父が服役していることに初めて気が付いたのは、父親・恵一の日記を盗み見た時です。

「囹圄の人」という聞きなれない言葉を国語辞典で調べてみて、ようやく父や母親の千恵子の口が重たい理由について納得しました。

珠子は幼い頃から大好きだった祖母の操も、祖父の刑期満了が決まった途端に家を出ていってしまいます。

中学校で陰湿ないじめに遭っている珠子は、祖父の出所日であるその日も放課後の校門前で男子生徒たちから絡まれていました。

そんな珠子の窮地を救ったのが、和服の着流し姿に五分刈りの祖父・謙三です。

謙三のただ者ではない雰囲気に威圧された不良たちは、蜘蛛の子を散らすように逃げていきます。

次の日の朝には謙三に纏わる様々な武勇伝が学校中に広がっていて、珠子に手出しをしようなどといった不届き者はいません。

珠子は祖母を「グランマ」と呼んでいたことに倣って、以後は謙三のことを「グランパ」と親しみを込めて呼びかけるのでした。

【承】わたしのグランパ のあらすじ②

グランパの秘密と息子夫婦へのプレゼント

恵一と千恵子の仲は以前から余り上手くいっていなく、近頃では悪質な地上げ屋が自宅にまで押しかけてきて心配事が絶えません。

謙三は地上げ屋のバックについている暴力団の事務所へ乗り込んで、見事に話をつけました。

年末年始には息子夫婦に草津への温泉旅行をプレゼントして、珠子のことは都内で開催されている高級ホテルでの年越しパーティーへ招待してくれます。

旅行から帰ってきた両親はすっかり仲良くなっていたためにひと安心な珠子でしたが、無職の身で何故か羽振りの良い謙三のことが不思議で仕方ありません。

そんな孫娘だけにコッソリと打ち明けたのが、自宅の屋根裏部屋に隠されている2億円にも上る大金です。

かつては謙三も堅気として会社を経営していたこと、悪徳業者と取引をしたために倒産してしまったこと、憎き相手の隠し財産をそっくりそのまま盗み出したこと。

若き日の逸話を告白した謙三は、自分が亡くなった後にこのお金を珠子に譲ることを誓いました。

【転】わたしのグランパ のあらすじ③

グランパと機関銃

もう少しで夏休みを迎えようとしていたある日の放課後、珠子は帰宅途中に見知らぬ男たちに捕まり黒塗りのベンツの社内へと押し込められてしまいました。

明らかに反社会的勢力の構成員らしき粗暴な男たちは、珠子を人質にして祖父からお金をせしめる魂胆のようです。

地元住民から鉄甲山と呼ばれるスクラップ置き場の隠れ家に連れていかれた珠子は、ガムテープでぐるぐる巻きにされて椅子に縛り上げられています。

誘拐現場に居合わせた珠子の同級生からの知らせを受けて、謙三は仲間たちを引き連れて自動車に乗り込み監禁場所へと駆けつけました。

いつものように着流し姿の謙三の片手には機関銃が握られていて、一斉射撃によってたちまちその場を制圧します。

二度と珠子には近づかないこと、謙三の隠し持っている大金のことも機関銃のことも綺麗サッパリと忘れること。

有無を言わさず敵と休戦協定を結んだ謙三は、車の後部座席に珠子を乗せてその場を立ち去りました。

【結】わたしのグランパ のあらすじ④

さよならグランパ

夏休みに入ってからも美術部の活動のために登校していた珠子は、午後3時ごろに帰宅しました。

自宅付近に野次馬が詰めかけていて五代家の門が開けっ放しになっているのを見た途端に、ただならぬ気配を察知して家の中に駆け込みます。

床の間には布団が敷かれていて、家族と友人たちに囲まれながら横たわっている謙三は既に息がありません。

昨日の台風によって水かさが増している土手の付近で、4歳の女の子が溺れる事件が午前11時過ぎに発生しました。

たまたまその場を通りかかった謙三は、着物を脱ぐ暇も惜しんで川に飛び込んだとのことです。

幸いにして女の子の生命に別条はありませんでしたが、謙三は帰らぬ人となってしまいました。

町内の会館で行われた謙三のお葬式には、70歳を過ぎた前科者とは思えないくらいの沢山の人が訪れてその死を悼みます。

珠子は祖父が残してくれた巨額の資金を元にして、いずれは事業を起こしてこの町のために役立てようと決意するのでした。

わたしのグランパ を読んだ読書感想

老いてなお矍鑠とした佇まいの五代謙三と、好奇心旺盛な女子中学生・珠子との交流が微笑ましかったです。

愛する孫娘の危機を救うために着流し姿で機関銃を撃ちまくる場面は、ある世代以上の方は赤川次郎の「セーラー服と機関銃」を思い浮かべてしまうかもしれません。

単純な善悪二元論では捉えきることが出来ない、謙三の奥深いキャラクターが魅力的でした。

過去に犯した罪のせいで謂れのない差別を受けたり、時折周囲の人たちから冷たい眼差しを浴びせられるシーンには胸が痛みます。

権力にも媚びることなく悪にも染まることのない、孤高のグランパとの別れにはホロリとさせられました。

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