世界はゴ冗談(筒井康隆)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

世界はゴ冗談

【ネタバレ有り】世界はゴ冗談 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:筒井康隆 2015年4月に新潮社から出版

世界はゴ冗談の主要登場人物

台長(だいちょう)
天文台の責任者。

機長(きちょう)
アメリカン航空パイロット。

ジュディ(じゅでぃ)
アメリカン航空客室乗務員。

おれ(おれ)
都内在住のサラリーマン。

世界はゴ冗談 の簡単なあらすじ

ある日突然に太陽の表面上に、原因不明の巨大な黒点が観測されます。宇宙空間で発生した巨大磁場の乱れによって地球上のありとあらゆる精密機械はコントロール不能となり、世界各地はパニック状態へと突入していくのでした。

世界はゴ冗談 の起承転結

【起】世界はゴ冗談 のあらすじ①

太陽の怒り

天文台で観測任務に就いていた台長は、部下から太陽黒点の大量発生に関する報告を受けました。

スミソニアンやNANAを始めとする、関連機関へ問い合わせてみますが詳細は分かりません。

1つ1つの黒点は地球の直径を上回るほどの巨大な規模のものあり、破壊的な威力の磁場が地球まで届きます。

慌てた台長は政府の関係者に連絡しようとしますが、黒点から放出される荷電粒子によって妨害されているために携帯電話は使用不可能です。

通信衛星のショートによる航空機の墜落、人工衛星経由のカーナビを頼りに走っている車の暴走。

各国の首脳たちは戒厳令を発して一般市民への夜間外出禁止を呼び掛けますが、陸・海・空で予想外の事態が巻き起こっていくのでした。

【承】世界はゴ冗談 のあらすじ②

海の生き物たちの逆襲

環境保護団体・シーシェパードは南極海沖のパトロールを続けながら、ハーグの司法裁判所に禁止された後も密かに活動しているという調査捕鯨船を捜索していました。

彼らが突如として南西の方海域で遭遇したのは、巨大な海洋生物の群れです。

ミンクジラからニタリクジラにイワシクジラ、果ては絶滅危惧種に指定されているはずのマッコウクジラやシロナガスクジラまで。

本来であれば種族の異なるクジラは群れをなして泳ぐことは決してなく、人間が載っている船に危害を加えることもありません。

巨大磁場の影響で狂暴化したクジラの大群は、通信システムのシャットダウンによって周辺の海上を彷徨っていたシーシェパードの船へと突っ込んでいくのでした。

【転】世界はゴ冗談 のあらすじ③

9・11の恐怖が甦る

アメリカン航空の機長は客室乗務員・ジュディと道ならぬ関係を続けていました。

今回のフライトでも勤務の合間を縫って束の間の逢瀬を楽しんでいると、副操縦士が駆け込んできます。

通信機器の不具合により、インド洋を飛行中だったこの機と地上管制塔との交信が途絶えたようです。

騒ぎ始めた280人の乗客たちを宥めつつ近隣の飛行場への不時着を試みますが、オートパイロットシステムのために手動に切り替えることは出来ません。遥か前方に見えてきたのは世界一高い建物であり、現代イスラム社会の象徴でもあるブルジュ・カリファです。機体がビルに衝突する直前に機長の脳裏に過ったのは、2001年9月11日に世界貿易センターに激突した飛行機の映像でした。

【結】世界はゴ冗談 のあらすじ④

ひと言かけるだけで

いつものように女性の上役からたっぷり嫌みを言われて帰宅したおれを出迎えたのは、自宅の音声案内システムです。警備から調理に湯沸しまで音声だけで管理出来ますが、会社のあの女上司の声に似ていることに気が付きました。

思わず自動音声に向かって怒鳴りつけてみると、上司をやり込めたような不思議な快感が涌いてきます。

次の日に愛車のアクセラ20Cに乗り込んで向かったのは、出張先の群馬県です。練馬インターチェンジを過ぎた辺りで、おれはカーナビの故障に気が付きます。

更にはブレーキもアクセルも効かずに、車は同じスピードを保ったまま走り続けるばかりです。クーラーの効かない車内の中で意識が朦朧としたおれは、あの女の声を聞くのでした。

世界はゴ冗談 を読んだ読書感想

著者は1934年生まれになり本書発表当時は既に80才を超えてながらも、その飽くなき探求心と未だに衰えることのない自由奔放な想像力に圧倒されました。「予測するつもりなく面白半分に書いたことがのちに実現してしまう」というセリフも印象的です。

テクノロジーの目覚ましい発達によって、現実の世界が物語を追い越していくスピード感が伝わってきます。

その一方では本作の太陽が巻き起こすパニックのように、最先端の技術に依存しすぎることへの危機感についても感じました。

最後の最後にはコンピューターは答えを出してはくれずに、人間が決定を下さなければならないはずです。

最悪の未来に思いを巡らすことによって、今現在何をすべきなのか考えさせられます。

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