敵(筒井康隆)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

敵

【ネタバレ有り】敵 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:筒井康隆 1998年1月に新潮社から出版

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敵の主要登場人物

渡辺儀助(わたなべぎすけ)
元大学教授で75歳。

渡辺信子(わたなべのぶこ)
儀助の妻。故人。

鷹司靖子(たかつかさやすこ)
儀助のかつての教え子。現在は記者。

敵 の簡単なあらすじ

渡辺儀助はかつては有名大学で演劇学部の教授を務めていましたが、現在では退職して隠居生活を送っています。儀助は残り少ない人生を男やもめなりに謳歌しつつ、あるひとりの女性との来訪を楽しみにしているのでした。

敵 の起承転結

【起】敵 のあらすじ①

儀助のこれまでの人生

渡辺儀助は製薬会社に勤務する明治生まれの頑固な父親に反抗して、大学教授の道へと進みます。

その実直な人柄と洗練された知性によって多くの学生たちからは慕われていましたが、大学構内で繰り広げられるドロドロの権力闘争にはまるでついていけません。

如何なる派閥にも所属していなかったために、定年で退職することになりました。

再就職を紹介されることもなく引き立ててくれる知人もいなかったので、65歳で早々と隠居を決め込みます。

お見合いで結婚した美しく聡明な妻の信子は、20年前に50代の若さでこの世を去っていて儀助は独り暮らしです。

炊事洗濯から家事全般をそつなくこなしながら、自らの最期の瞬間について想いを巡らせているのでした。

【承】敵 のあらすじ②

儀助の幕の下ろし方

退職直後には3000万円を上回るほどあった儀助の預貯金額も、妻の医療費とお葬式の費用が思いの外に嵩んだために2000万円にまで落ち込んでしまいました。

今では年に数回程度の講演依頼と2ヶ月に1度銀行に振り込まれる年金だけが、儀助にとっては経済的な頼りになっています。

1年間に260万円を超える赤字を出していましたが、切り詰めた質素な暮らしを送るつもりは毛頭ありません。

このままのペースでいくとあと6年から7年程で貯金が300万円を切りますが、その時には自らの葬式費用を残して命を絶つ心構えです。

親戚一同とは長らく疎遠になっていましたが、自宅と土地は以前から可愛がっていた従兄弟の息子に遺贈することを遺言書に認めていました。

【転】敵 のあらすじ③

儀助の老いらくの恋

鷹司靖子は儀助の講義を1番前の席に座って、熱心に聴講していたあどけない女子大学生でした。

大学卒業後に女性雑誌の編集部に就職が決まり映画や演劇などの芸能一般を担当する記者になり、原稿依頼のためにしばしば恩師の自宅を訪れるようになります。

出版社を退社後は高齢の父親に代わって画廊の経営を任され、現在では鎌倉在住です。

靖子が10年前に離婚した時に結婚を申し込まなかったことだけが、儀助にとっては心残りでした。

年に2〜3回程度彼女は手土産を片手にやって来て、儀助が振る舞う手作りの料理に舌鼓を打ちます。

最終電車に乗り遅れてしまうからと慌てて帰っていく靖子に対して、儀助は「泊まっていきなさい」の一言がどうしても言えません。

【結】敵 のあらすじ④

儀助にとっての敵

インターネットには1日に1度は必ず接続して、お気に入りのサイトをチェックすることが儀助の日課です。

いつものようにネットの会議室「ときめき遊歩道」を閲覧していると、「北の方から敵が来る」という不可解な書き込みを見つけました。

他愛のないデマと一笑に付しますが、幾度となくアクセスし続けていくうちに儀助の心の奥底に言い知れぬ不吉な予感が高まっていきます。

誰もいないはずの部屋の中から声が聴こえてきたり、死んだはずの信子まで出現する始末です。

雨が音もなく静かに舞い落ちる中で、儀助は独りで食堂の縁側に座布団を敷いて庭先を眺めています。

やがて雨が上がり春が訪れた時の、懐かしい人たちとの再会を心待ちにしているのでした。

敵 を読んだ読書感想

1934年に大阪で生まれた著者が63歳の時に執筆した小説で、75歳の男性の日常生活の風景が淡々としたタッチから映し出されていて共感できました。

高齢化社会や無縁社会を始めとする数多くの社会問題への鋭いメッセージや批判と共に、誰しもに訪れることになる老いについての深い哲学も込められています。

年齢を重ねることからは逃れられないとしても、自分らしい最期を選ぶことはできるかもしれません。

クライマックスで儀助が見た「敵」の正体と、全てを受け入れていく確かな決意が感動的です。

老後に漠然とした不安を覚えている中高年の方たちばかりではなく、青春時代をエンジョイする若い世代の皆さんも是非ともこの小説を手に取ってみてください。

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