「蒼路の旅人」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|上橋菜穂子

「蒼路の旅人」

【ネタバレ有り】蒼路の旅人 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:上橋菜穂子 2005年5月に偕成社から出版

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蒼路の旅人の主要登場人物

チャグム(ちゃぐむ)
旅人シリーズの主人公。新ヨゴ皇国の皇太子。国内には敵も味方も多い。

ジン(じん)
新ヨゴ皇国の狩人と呼ばれる裏の仕事をこなす武人。かつてチャグム暗殺を命じられたこともあればチャグムを守って戦ったこともある。

アラユタン・ヒュウゴ(あらゆたん・ひゅうご)
元ヨゴ皇国出身のタルシュ帝国密偵。第2王子ラウルに仕えている。

ハルスアン・トーサ(はるすあん・とーさ)
新ヨゴ皇国の海軍大提督。チャグムの母方の祖父であり、チャグムの後ろ盾となりことある事に守ってくれている。

ラウル(らうる)
タルシュ帝国の第2王子。兄のハザールと次期王位を争い、他国侵略で功績を競っている。

蒼路の旅人 の簡単なあらすじ

新ヨゴ皇国はタルシュ帝国からの侵略の危機に晒されていました。南のサンガル王国がタルシュに攻められ援軍を求めてきていますが、チャグムは既にサンガルが敵の手に落ちている事を知ります。しかし、帝はチャグムと海軍大提督トーサにサンガルへの援軍を任せることとし、罠だと知りながらチャグムはサンガルへと向かいます。捕虜となった後でヒュウゴというタルシュの密偵に助けられ、チャグムはかつて先祖が住んでいた南の大陸の地を踏むこととなります。

蒼路の旅人 の起承転結

【起】蒼路の旅人 のあらすじ①

タルシュ帝国の魔の手

新ヨゴ皇国の皇太子チャグムは頭脳明晰な若者へと成長しており、国内には早く帝になって欲しいと願う者が出てくる程の人気になっていました。

しかし、帝はこれを面白く思わず、チャグムを疎ましく思う気持ちが強くなっていきます。

チャグムの教育係で聖導師見習いの星読博士シュガは、聖導師候補の3人に選ばれますが、聖導師になるということは現帝に味方する事だと聖導師に諭されます。

すなわち、場合によってはチャグムを切り捨てる冷酷さを見せよという命令であり、これを成し遂げねば聖導師になれないという脅しでもありました。

新ヨゴ皇国へサンガル王国から、タルシュ帝国に攻められ苦戦している為援軍を送って欲しいという手紙が届きました。

新ヨゴ皇国では大軍を送るか、既にサンガルが敵の手に落ちている事を考えて少数にするかで意見が分かれます。

帝は海軍大提督トーサに三割の兵士を率いて援軍に向かうよう命じます。

軍が出た後、チャグムの元へサルーナ王女からの手紙が届き、既にサンガルは敵の手に落ちていることが知らされます。

チャグムは引き返させるべきだと帝に進言しますが、帝は罠の可能性も考えて少数の兵を送っているしトーサの判断に任せると聞き入れません。

チャグムの後ろ盾となっているトーサを葬りたい帝の意志が透けて見え、チャグムは怒りに任せて帝を叱責します。

帝はそれならばとチャグムにもトーサの後を追わせることにします。

トーサは追いついてきたチャグムを見ると愕然としますが、来てしまったものは仕方ない為出来る限りの知識を伝えようとします。

トーサは最初からサンガルが罠を張っていると気づいており、自分が犠牲となり残りの者は出来る限り逃がす予定でした。

帝の狩人であるジンやユンが戦に紛れてチャグムを暗殺するように随行しており、自身の孫であり皇太子でもあるチャグムを愛しているトーサは何とかチャグムを守ろうとします。

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【承】蒼路の旅人 のあらすじ②

タルシュの密偵

トーサはサンガル軍が罠を張っている海域に近づくとチャグムを一般兵に化けさせ、旗艦一隻で投降します。

兵士は全てサンガル軍の捕虜となりますが、トーサは一人船に残り旗艦と共に海に沈みます。

チャグムは何もできずに祖父を死なせてしまったことに涙を流します。

捕虜となった後、チャグムはユンに暗殺されそうになりますがジンに助けられます。

ジンは実はチャグム暗殺を阻止するようにシュガから依頼されて付いてきており、現帝を裏切ってでも将来の帝チャグムを守ることを選んでいました。

ジンは捕虜となった兵士の中から精鋭2名を選び、チャグムを連れて脱走を図ります。

漁民の船を奪い逃げようとしますが、ユンが目を覚ましてサンガル兵に脱走を伝えた為追っ手が迫ります。

ジンはチャグムを逃がすためにたった一人で多数のサンガル兵に立ち向かい、鬼神のごとき戦いを見せますが最後には捕らえられてしまいます。

チャグム達の船が進みだすと一隻の帆船が近づいてきます。

帆船からヨゴ人が出てきて怪我をしたチャグムを助けたたくば言うことを聞けと言われます。

2名の脱走を手伝った兵士は再びサンガル軍に引き渡され、チャグムのみが連れていかれます。

チャグムをさらったのはタルシュ帝国の密偵であるアラユタン・ヒュウゴであり、ヒュウゴは数年前から新ヨゴ皇国に潜入して情報を探っておりサルーナからの手紙をかすめとって先の展開を読んで近くに潜んでいたと話します。

ヒュウゴは元ヨゴ皇国の出身であり、タルシュの属国となってからは密偵として仕えていると話します。

タルシュは他国を占領し飴と鞭で上手く力を伸ばしていくことにより領土を拡大している大帝国であり、新ヨゴは攻められれば勝ち目はなく、ヒュウゴはチャグムが帝になると共にタルシュに降伏すれば新ヨゴを戦火に巻き込むことだけは避けられると考えていました。

【転】蒼路の旅人 のあらすじ③

遥かなる南の大陸へ

チャグムは今までは多くの人に救われ守られていたことを痛感し、一人重荷を背負わされたことで悩みます。

船の船長セナは生まれた時から幸運の子と言われ、船長になるべく育てられたと話し、チャグムはそれを重荷に感じることは無いのかと尋ねますがセナは仲間が幸せになってくれるなら誇りを持てると答えます。

タルシュへ向かう長い道中、ヒュウゴと色々な話をしているとタルシュ帝国という大きな国でも完全に属国を治めきれているわけではないと感じます。

ヒュウゴも何か狙いがあって動いているようですが、何を考えているのかまでは分かりません。

チャグムは重荷に押しつぶされて異界へと逃げかけますが、ヒュウゴに逃げてはいけないと諭されます。

多くの民を助けることができても、チャグムは父殺しをしてまで民を救い帝になどなりたくないと考えていました。

チャグムは落ち込み食欲も無くなりますが、セナやサンガル人達と共に体を動かしたり海に潜ったりしながら過ごすうちに元気を取り戻していきます。

ヒュウゴは寄り道になるものの、ヨゴ枝国をチャグムに見てもらおうと考えます。

タルシュ帝国の枝国になるということがどういうことなのか、民の生活がどう変わるのかを見てもらえばチャグムの考えが固まると思い、チャグムも祖先が生まれた国を見てみたいと考えます。

船にはかつてチャグムと呪術で戦ったラスグの弟であるソドクが乗っており、チャグムと会うとヒュウゴが肩入れしたくなる何か大きな力を感じます。

船が大陸に近づくと新ヨゴの初代皇帝トルガルが住んでいた館が見えてきて、チャグムは感慨深い思いを感じます。

しかしソドクが告げ口をしたため港にラウル王子の兵士が迎えに来ており、ヒュウゴはチャグムにヨゴを見せられなくなったと謝ります。

チャグムはセナに幸運を祈っていてくれと頼み別れを告げます。

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【結】蒼路の旅人 のあらすじ④

チャグムの選択

帝都ラハーンへと向かう道中、オルム枝国の宿で食事中にヒュウゴが毒を盛られたことに気づき、チャグムは南翼のハザール王子陣営から命を狙われていることを聞かされます。

チャグムは道中、オルム枝国の民が仲間の戦士を悲しんでいる姿を見て枝国になるということはこのような未来が待っているのだと痛感します。

帝都に着くと王子は出かけておりクールズ宰相に迎えられます。

ここでヒュウゴは褒美と共に任を解かれ、チャグムに近づくことができなくなり、チャグムは王子を待つ不安な時間を一人で過ごすこととなります。

ラウル王子が帰館しチャグムは面会することとなり、ラウルは力の違いや枝国支配の仕方などを丁寧に説明しチャグムを納得させようとします。

新ヨゴを枝国にするための手順まで説明され、帝を廃しチャグムが帝になるのは難しくなさそうに聞こえますが、ラウルが弟までも殺せと話すのを聞いてそれだけは嫌だと感じます。

チャグムは弟を帝にするという提案をし、弟が大きくなるまでは自分が代わりに執政権を得て国を動かし、その後は国を去るという決断をします。

チャグムはサンガルに戻り捕虜となっていた海士達を連れて新ヨゴへと帰ることとなりますが、このまま帰ったとしてもタルシュに滅ぼされるか枝国になってカンバルやロタへ攻め込むかしか無く暗い未来しか待っていないと悩みます。

近習のルィンと話していてある考えが閃いたチャグムは、サルーナから送られた金貨などを身に付けジンとシュガに宛てた手紙を残して海へと飛び込みます。

チャグムは一人旅をしてタルシュから攻められる前にロタ王を説得して援軍を頼むことにし、ジンには自分が死んだと報告させてラウルの目をも欺こうと考えたのでした。

成功する可能性は低いものの、タルシュと戦う唯一の道だと考え、チャグムは孤独な旅に向かうのでした。

蒼路の旅人 を読んだ読書感想

本作は守り人・旅人シリーズの第6作目であり、これまでの作品では所々に見え隠れする程度であったタルシュ帝国に対してチャグムが直面することとなります。

タルシュ帝国の密偵であるヒュウゴにさらわれ、ラウル王子と対面して戦わずして屈するように圧力をかけられます。

また、道中で圧倒的な軍事力と街の規模を見せつけられ、さらには自分が生きてきた新ヨゴ皇国の小ささと世界の広さを知ることとなります。

ラウル王子にとっては周囲で攻めるべき目標が少なく感じていますが、チャグムにとっては世界はこんなにも広かったのかと驚くばかりでその考え方の違いもはっきりとしています。

チャグムはとても敵わないということは認識するものの、何とか国を救う手だてはないかと必死に考え、最終的に自分は死んだことにして相手の目を欺き大逆転に賭けることにします。

次の第7作目がシリーズ最終作となりますが、チャグムの賭けが勝つか負けるか、新ヨゴはタルシュに打ち勝つことができるのかが最大のみどころになっていくと思います。

ここまで長く続いてきたシリーズの中で大きな分岐点を迎え、クライマックスに向けて盛り上がって行く作品となっています。

タルシュ帝国の大きな力をまざまざと見せつけられ、どうやっても勝ち目は無いように思いますが、チャグムは最後まで諦めずに戦い抜くことを決意します。

幼い少年だったチャグムが国の運命を変えることのできる青年へと成長しており、タルシュと一人立ち向かう姿はとても頼もしく見えます。

バルサやシュガなど多くの人に守られ成長を助けられてきたチャグムの冒険が最後にどのような結末を迎えるのか見ものです。

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