監督：今泉力哉 2023年2月にアスミックエースから配給
ちひろさんの主要登場人物
ちひろ（有村架純）
お弁当屋さんで働く、元風俗嬢。
内海 （リリー・フランキー）
ちひろが風俗嬢をしていた時の店長。父子のような関係性。
オカジ （豊嶋花）
ちひろに憧れている。家に居場所が無くちひろと出会い、変わっていく。
ちひろさん の簡単なあらすじ
お弁当屋さんで働く元風俗嬢のちひろ。
お弁当屋の常連客は、みんなそのことを知っていて、ちひろは隠す気もありませんでした。
小学生にいじめられているホームレスのおじいさん。
ちひろに憧れを抱く女子高校生。
生意気な小学生。
ちひろは、街の人と分け隔てなく付き合います。
飄々として明るいちひろですが、幼い頃の経験から孤独を抱えているのでした。
ちひろさん の起承転結
【起】ちひろさん のあらすじ①
港町のお弁当屋さんで働くちひろさんは、気さくで明るく自由奔放で人気者でした。
お弁当屋の店長さんは、ちひろが元風俗嬢ということを隠していましたが、ちひろさんは気にする様子もなく常連客はそのことをみんな知っていました。
ある日、ちひろは小学生にいじめられていたホームレスを助けます。
一緒にお弁当を食べたあと、ホームレスを家に連れてお風呂で洗ってあげるのでした。
また、いつも同調し笑ってなければならない女友達と一緒にいることと、神経質な父親に対して完璧主義の母親に、女子高生のオカジは疲れていました。
オカジは、ちひろのファンで、いつもちひろを隠し撮りしています。
ちひろのお弁当屋によったオカジは隠し撮りのことが、ちひろにバレていて焦ります。
ちひろは、ホームレスにおしえてもらった空きビルの一室でお弁当を一緒に食べたり、お弁当屋さんの下ごしらえの作業が好きでした。
しかし、ホームレスのおじさんの姿が見えなくなってしまいました。
同じくビルの一室を隠し部屋として使用していた女子高生・べっちんと出会い、漫画の話で盛り上がります。
【承】ちひろさん のあらすじ②
ある日、久しぶりにちひろの風俗嬢時代の先輩・バジルがちひろに会いにきます。
バジルは、男に開店資金を持ち逃げされて参ってました。
ちひろは、そんなバジルを慰めます。
ある日、小学生のマコトのいたずらと暴言を強めに叱ったちひろ。
マコトは、反撃しコンパスでちひろを刺してしまいます。
しかしちひろは、マコトにお弁当をおごってさらにこのことを許すのでした。
マコトの母は、シングルマザーで夜のお仕事をしているのです。
夕暮れの海辺でまどろむちひろを見つけたオカジは、思い切って声をかけます。
自分について何も聞いてこないちひろは、目を見ればその人がわかるとオカジを嫌いじゃないと言ってくれるのでした。
その後オカジは思い切って、友達に同調せずに自分の意見をぶつけてみると案の定独りぼっちになってしまいます。
ちひろは仕事の合間に、入院している目の見えない多恵の元へお見舞いに行ったり、ホームレスのおじさんを探して歩きました。
やっと見つけたおじさんは、人目のつかないところで倒れていました。
ちひろは、おじさんを夜中に埋めるました。
【転】ちひろさん のあらすじ③
ちひろはバシルと縁日に行くと、懐かしい人と再会しました。
風俗嬢をしていた時の店長が金魚すくいを出店していました。
店長は今、熱帯魚屋を営業しています。
いつしか、オカジとマコトも仲良くなりお弁当屋さんのバッグヤードで勉強します。
オカジが家庭環境をちひろに話すと、ちひろはオカジに変わってオカジの母を悪く言うのでした。
帰り際、ちひろはオカジに宝の地図を渡します。
ある日、ちひろの弟から母が亡くなったと連絡が入ります。
ちひろは弟からの電話を素っ気なく切るのでした。
そんな時、マコトの母がちひろがマコトにおにぎりを食べさせていることを不快に思い、お弁当屋に怒鳴り込みます。
ちひろは誠意を持って謝るとマコトの母は帰っていきました。
ちひろがオカジに渡した宝の地図は、ビルの一室でした。
オカジは、そこでべっちんと同じ高校だとわかり仲良くなります。
ちひろは、幼少期に夜中則巻を外で食べていると、ある女性に話しかけられます。
その女性は、夜は私たちの味方だといい、手をつないで歩いてくれました。
別れ際にドングリを渡したちひろに、その女性はお店の名刺をくれました。
その名刺には「ちひろ」と書かれていました。
また、ラーメン屋に入ったちひろは、弁当屋の常連客・谷口がケンカしているところに遭遇します。
谷口が訳アリだと勘付いたちひろは、体で慰めるのでした。
バジルは、ちゃんとした恋愛をしないちひろを不思議に思いましたが、ちひろは性欲と恋愛感情は伴わないと答えます。
元風俗店の店長が現在営業している熱帯魚屋で働くことにしたバジル。
母の死から元気が出ないちひろをオカジとマコトは心配し、やっと復活したちひろは元風俗店の店長とお墓参りに行きます。
ちひろにとって元店長は父のような存在でしたが、元店長を好きなバジルにはそれが理解できずに、嫉妬心からケンカ別れしてしまうのでした。
【結】ちひろさん のあらすじ④
カギを無くして家に入れなくなったマコトは、オカジに助けを求めます。
オカジは、母の嫌味を押し切ってマコトのためにおにぎりを作って出かけます。
ちひろは、病院から多恵を連れ出します。
多恵は弁当屋の店長の妻でした。
綾という娘が多恵を連れ出したと聞いた店長は、ちひろが連れ出したと気が付きます。
ちひろの本名は綾でした。
ちひろが風俗店で働くことになった時、靴はボロボロで今にも消えそうだったと元店長は思い出します。
そんなちひろの事情を元店長は何も聞かないのでした。
ちひろは車の中で、雨の日に外出するのが好きな多恵と出会った頃の思い出話をし、自分と多恵は同じ星の人間だと思っていると伝えます。
そしてその一人目は、子どもの頃に出会ったちひろさんだと言います。
マコトの母が帰って来て、作ってくれた焼そばをオカジはご馳走になります。
焼きそばを食べながらオカジは涙を流すのでした。
ちひろは多恵に母が亡くなったけど感情が何もないと話します。
多恵はそんなちひろを肯定し、抱きしめてくれます。
そんな多恵も自分の娘とはあまり上手く行っていませんでした。
ちひろは、お弁当屋の店長さんと多恵を巻き込んで、ちひろの仲間とお月見パーティーをします。
パーティーから先に帰ったちひろに多恵から電話が入ります。
目が見えない多恵は、ちひろの寂しい気配が消えたのですぐに気が付いたのでした。
孤独を忘れずにいるために放浪しようとするちひろを多恵は止めます。
多恵にまた明日といいながら、ちひろは町から出ていってしまうのでした。
多恵は、夫である店長になぜちひろを雇ったのかと聞くと、あえてお弁当を渡してその食べる様子をのぞき見したら、とても美味しそうに食べたから悪い人じゃないと思ったと答えました。
ちひろの次の働き先は、富士山の見える牧場です。
ちひろは、元風俗嬢ではなく、元お弁当屋さんになったのでした。
ちひろさん を観た感想
港町の香りや風を感じられる作品です。
ちひろの抱える闇は深いのですが、見てるこちら側は少ししか知らされず、勝手に感じ取らなければなりません。
わかることは、子どもの頃に出会ったちひろとお弁当屋の夫婦、元店長によってちひろは最悪な結果にならなかったということです。
また、自分がされたことと同じことをホームレスやオカジやマコトにしてあげています。
ちひろが出て行く理由を多恵は、孤独を持って生きるためだと解釈していましたが、元風俗嬢の自分から元お弁当屋として自立したら、またあの港町にもどってくるような気がしました。
そして、元風俗嬢のちひろがホームレスを洗ってあげるシーンがシュールで好きです。
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