「傾物語」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|西尾維新

「傾物語」

【ネタバレ有り】傾物語 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:西尾維新 2010年12月に講談社から出版

傾物語の主要登場人物

阿良々木暦(あららぎこよみ)
本作の主人公。友人の真宵を救うべく行動する

忍野忍(おしのしのぶ)
本作のヒロイン。吸血鬼の力を使いタイムスリップの手助けをする。

八九寺真宵(はちくじまよい)
本作のもう一人のヒロイン。小学生の頃に死んでしまったが別の世界線では暦に救われ生存していた。

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傾物語 の簡単なあらすじ

夏休みも残り1日となり、宿題をしていなかった事に気が付く暦。忍の力を借りて1日前にワープしようとしたが、ワープ先は何と11年前。11年前、つまり蝸牛の怪異の少女が死んで日。そんな少女を救うべく行動する暦だったが予期せぬ結末になる。

傾物語 の起承転結

【起】傾物語 のあらすじ①

タイムスリップ

高校3年生の夏休みも残り1日となった日、阿良々木暦は忍野忍に指摘され、宿題を済ませていない事に気が付きました。

夏休み中、怪異がらみの事件に遭遇していたため、全く時間を取れなかったのでした。

弱った暦は、忍に対して、「助けて忍〜。

タイムマシン出してよ」と某国民的アニメを彷彿とさせるさせるやり取りを繰り広げ頼み込みました。

宿題をしていなかったのはお主のせいじゃと言って聞き入れない忍でしたが、あまりにもしつこい暦に対して折れてしまいました。

吸血鬼の本来の力を持ってすればタイムスリップも容易なそうです。

しかし今の幼女化した忍にはその力は無いらしいが、どうやら北白蛇神社に集まった良くない物の力を使えば可能だと忍は言います。

そこに一抹の不安を抱える暦でしたが、背に腹は代えられず、1日前に戻るべく忍とともに神社へと向かうのでした。

神社についた忍は「これならいけるぞ」と言って、タイムスリップするための準備をします。

準備が整い、手順を踏んでいると神々しい光が現れ2人を呑み込んでいきました。

【承】傾物語 のあらすじ②

暦の決断

暦たちが目を覚ますと、そこは北白蛇神社でありタイムスリップは失敗したのではないかと暦は言います。

しかし、よくよく見ると神社が綺麗になっていたのです。

それを見て、過去に戻り過ぎたのではないかという懸念の中、山道を下っていき町の様子を確認しに行きました。

金髪幼女と一緒にいる暦はたいそう目立ち、忍にもう少し大人に変身するようにと言います。

それを受けた忍は学生服に身を包み眼鏡をかけた三つ編みの中学生に変身しました。

そんな2人は、今がいつなのかを知るべく、道行く女子中学生に尋ねます。

不審がりながらも答えてくれた女生徒の発言に耳を疑います。

なんと11年前にタイムスリップしてしまったようです。

それに驚き、忍ともめる暦でしたが、ふと八九寺真宵の事を思い出します。

彼女は11年前の母の日の前日に亡くなったという事を記憶していた暦は、今の正確な日付を教えてもらい、まだ間に合うと確信し真宵を交通事故から救うべく行動する事を決心しました。

しかし、真宵を救うという事は現代での彼女との関係が消えるという事でもあり、それに対して葛藤も抱く暦でした。

【転】傾物語 のあらすじ③

過去は変えられる

この時代にタイムスリップしたのは運命的な事であると躍起になる暦は、真宵を探し出します。

しかし、彼女の正確な住まいは知らなかったため、行き詰ります。

その矢先に、目の前から本を読みながら歩いてくる少女を見かけました。

よくよく見ると少女は、幼き日の羽川翼でした。

それを見た暦は、一目散に彼女めがけて走り出しセクハラまがいのスキンシップを取ります。

それを見ていた忍が「警察に捕まっては元も子もないぞ」といい、それを聞いた暦は「警察に聞けばいいんだ!」と思いつき、翼を解放し交番に向かうのでした。

今の時代と違い、個人情報の管理が甘かったことに加え、「八九寺」という珍しい苗字も相まっていとも簡単に真宵の住まいを発見しました。

そこで暦は、一晩中張り込み、彼女が出かけた後をつけて、助けるという作戦を考案しました。

張り込んでいる暦たちでしたが、一向に真宵は出てきません。

不審に思った暦は意を決して自宅のチャイムを鳴らし、接触を図ろうとすると、既に真宵は出かけてしまっていたようです。

焦った暦たちは急いで、真宵を探し回り何とかして彼女が事故に遭う前に見つけられ彼女を救うことが出来ました。

【結】傾物語 のあらすじ④

予期せぬ未来

真宵を救い、今度こそ1日前に戻るべく同じ過程を踏む暦達でしたが、またしても町の様子がおかしいのです。

町にはゾンビが群がっており生存者が確認できないのです。

こうなってしまった原因を考える2人でしたが、忍がある可能性を思いつきます。

6月14日に忍が家出をした際に、真宵の助言の元で彼女を発見できたことが有りました。

つまり、真宵が怪異化してなかった事に因りそれが叶わず、忍を見つけられなかった世界線になったようです。

あの日、忍は見つけてもらえなければ世界を滅ぼすつもりでいたそうです。

つまりはそういう事で、別の世界線の忍によって人類は吸血鬼化してしまったようです。

最初は2人だけでこの世界で暮らそうとしますが、やはり現代に戻らねばと奮起します。

そこで、あの日救った八九寺真宵(21歳)と出会い、名乗ると忍野メメからの手紙をもらいます。

手紙には、この現状がどういう事かと、まるですべてを見ていたかのように綴られており元の世界に戻る方法も記されていました。

それを受け、真宵と別れを告げた暦たちは、神社に向かいます。

そこには瀕死のキスショットがいました。

彼女は暦と忍の様子に嫉妬しますが、殺してくれることを引き換えに元の世界に帰す力をくれると約束してくれます。

かくして現代に戻った暦は、真宵が忘れていったリュックサックを片手に彼女を探し、再開する事に成功しました。

傾物語 を読んだ読書感想

夏休み最終日にまだ宿題が残っているという、なじみ深い状況から始まり、そこから実際に過去に戻るというなかなかない展開にできるところが西尾維新らしさが出ていてよかったと思います。

良かれと思ってやったことでも、過去が変わってしまい予期せぬ展開になる場面からは、私たちの生活でも一つの判断が今後の未来を大きく変え得る可能性があるのだと思い知らされました。

結果として別の世界線ではありましたが、世界を救う事にもなったという結末からは、暦のやったことも決して間違いではないのだと思いました。

自分の事よりも他人の事を推し量れる彼の人の良さが現れた作品だと思います。

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