【ネタバレ有り】電波女と青春男 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:入間人間 2009年1月にアスキーメディアワークスから出版
電波女と青春男の主要登場人物
丹羽真(にわまこと)
主人公。高校2年生。
藤和女々(とうわめめ)
真の叔母。
藤和エリオ(とうわえりお)
女々の娘。高校を中退して現在では引きこもり中。
御船流子(みふねりゅうこ)
真のクラスメイト。ニックネームは「リュウシ」。
前川(まえかわ)
真のクラスメイト。美術部に所属する。
電波女と青春男 の簡単なあらすじ
突如として田舎の高校から都会へと転向した丹羽真は、叔母さんの家に居候することになります。新しくスタートした学園生活の方は順風満帆でしたが、ただひとり気掛かりなのは自らの体に布団を巻き付けた従姉妹の存在です。宇宙人マニアの彼女との共同生活に戸惑いながらも、忘れ難い青春の1ページを刻むことになるのでした。
電波女と青春男 の起承転結
【起】電波女と青春男 のあらすじ①
田舎暮らしを送っていた丹羽真は、高校1年生の春休みに両親の転勤によって都会の学校へと引っ越すことになりました。
駅まで真の父親の妹に当たる藤和女々が迎えに来てくれていて、これからお世話になる彼女の自宅へとタクシーで向かいます。
女々の家の玄関を上がってすぐのカーペットで真が見つけた物体は、菖蒲柄の羽毛布団で簀巻きになった女子高校生らしき女の子です。
彼女の名前は藤和エリオで、真に挨拶することもなく食事の時にも布団の中から出てこようとはしません。
次の日に真が転校先の学校へ自転車に乗って登校すると、エリオと同じ制服を身に付けた女子学生の姿を目撃します。
ホームルームで教壇の前に立って自己紹介、全校集会に出て午前中で解散。
誰とも会話することなく帰宅しようとしていた真に声をかけてくれたのは、教室で見かけた女子生徒の御船流子です。
ふたりで一緒に下校して帰り道ではジュースを奢ってもらったりと、上々の転校初日でした。
【承】電波女と青春男 のあらすじ②
真が学校から帰ると、エリオは相変わらず布団に包まったままです。
女々は仕事で遅くなるために、エリオと夕食の買い出しに行くことになりました。
エリオは自転車の前かごに布団のまま乗り込んで真に運転させるために、目立って仕方ありません。
コンビニには流石に布団のままでは入ることが出来ないために、遂にエリオがその素顔を現します。
思ったよりも端正なルックスでしたが、「地球は狙われている」や「わたしは宇宙人の血を引く調停監査官」などと言い出しまるで会話がかみ合いません。
買い物終わりには自転車で片道2時間くらいはかかる、隣町を超えた先の海にまでエリオを連れていく羽目になります。
道中で会ったのは、前川という名前の身長180センチはあろうかと思われる同じクラスの女の子です。
去年の6月から半年余りに渡ったエリオの失踪、宇宙人による誘拐説、自転車ごと川に飛び込んだ末の骨折と退学。
前川の証言によると、エリオが布団を身体に巻き付けるようになったのはその頃からのようです。
【転】電波女と青春男 のあらすじ③
引っ越してから2週間が経った頃には、真は新しい生活に馴染み始めて男友達も数人出来てきました。
流子とはお昼休みにお弁当を食べるほどの仲になり、前川とは夜のお散歩でしばしば遭遇しますが未だに彼女の下の名前は分かりません。
真は大学進学を考えているために、授業は欠かさずに出席して帰宅後にもそれなりに勉強をしています。
月曜日の夜に自習中の真の部屋に入ってきたのは、珍しく仕事が早く終わった女々です。
夜遅くに年頃の娘を連れ出している甥っ子を、母親なりに心配しています。
決して興味本位ではないと宣言した真は、いつものように寝転んでいるエリオをたたき起こして賭けに打ってでました。
今から一緒に空を飛ぶ、もしも出来なかったらその時は地球人になる。
海沿いの道路のてっぺんで、真は自転車のサドルに跨りエリオは籠の中で海面を見下ろします。
全力でペダルを漕いでガードレールを飛び越えると、ふたりの身体は一瞬だけ空中に浮かぶのでした。
【結】電波女と青春男 のあらすじ④
海面に飛び込んで激突した際にハンドルを握りしめていた真は右腕を折って入院しますが、エリオはかすり傷ひとつありません。
入院中には学校帰りの流子や前川たちがお見舞いに来てくれましたが、エリオは顔を見せませんでした。
ギプスと包帯で片腕を固定されたままタクシーに揺られて藤和家に到着したのは、2週間の入院生活を終えてからです。
女々は仕事を休んでまで真の退院祝いを近所のファミリーレストランでしてくれるというので、2階で寝ているエリオを呼びに行きます。
出会った日と同じように簀巻きでしたが、布団の柄が綺麗な花模様に変わっていました。
真の骨折の具合を尋ねたり病院に行かなかったことを謝ったりと、コミュニケーション能力は随分と正常化しています。
「藤和エリオ、16歳。
職業は、家事手伝い。」
と、自己紹介もバッチリです。
真は宇宙人ではなく地球人のエリオをママチャリの籠に乗せて、空を飛ぶことなくファミレスへと向かうのでした。
電波女と青春男 を読んだ読書感想
学生時代の何気ないエピソードを事細かに「青春ポイント」に加算している、主人公の丹羽真には共感出来ました。
転校初日から御船流子といい雰囲気になって、ポイントを稼いでしまうシーンが微笑ましく映ります。
居候先の叔母の家で布団ぐるぐる少女を見た途端に、マイナスになっていく展開がユーモアたっぷりです。
ちょっぴり電波なヒロインの藤和エリオを、籠に入れて自転車を漕ぐ場面は名作SF映画の「E.T.」を連想してしまいます。
全てをプラスマイナスで判断していた真が、初めて損得勘定抜きでエリオのために体を張る姿には胸を打たれました。
コメント