【ネタバレ有り】はてしない物語 のあらすじを起承転結で紹介
さるのキモの主要登場人物
バスチアン(ばすちあん)
この物語の主人公、本が大好きな少年。母を亡くして、父と2人暮らしをしている。太っているために学校でいじめられている。
アトレーユ(あとれーゆ)
緑の肌族の少年。ファンタ—ジェン国を救う答えを探しに旅に出ることを命じられた、とても勇気のある少年。
幸いの竜フッフール(さいわいのりゅうふっふーる)
アトレーユと旅をする、白い竜。幸せな未来しか考えない歓(よろこ)びの申し子。
女王幼ごころの君(じょおうおさなごころのきみ)
物語の世界ファンタ—ジェン国を治める女王。現在は謎の病にふせっている。
父さん(とうさん)
バスチアンの父。妻を亡くしてから悲しみから逃れられなくなってしまい、笑わなくなってしまった。
はてしない物語 の簡単なあらすじ
少年バスチアンは、いじめられて飛び込んだ古本屋さんで、「はてしない物語」という本に出会います。バスチアンは本の中の登場人物に話しかけられ、ついにはお話の世界ファンタ—ジェン国の中に入ってしまいます。国の危機を救ったことで英雄になったバスチアンでしたが、手にした権力と栄光に酔い、徐々に自分を忘れていきます。最後には、友人アトレーユの助けもあり、人間の世界「ありのままの自分」に戻ることができます。
はてしない物語 の起承転結
【起】はてしない物語 のあらすじ①
太った少年バスチアンは、母を亡くし父さんと2人暮らし。
父さんは悲しみから立ち直れず、笑わなくなってしまいました。
ある日、いじめられて偶然飛び込んだ古本屋さんで、あかがね色の「はてしない物語」という本に出会います。
その本に魅了されてしまったバスチアンは、思わず盗んで逃げてきてしまいます。
学校の倉庫に閉じこもり本を読み始めると、あっという間に物語の世界に夢中になります。
物語の中では、想像の国ファンタ—ジェン国の女王、幼ごころの君が病にふせっていました。
国のあちこちでは、虚無と呼ばれる無が国を消滅させ始めており、危機に陥っていました。
この問題を解決するために任命されたのが、緑の肌族のアトレーユという少年です。
アトレーユは幼ごころの君の病の原因をつきとめるべく、おともの幸いの竜フッフールと旅に出ます。
旅の行く先々では、多くの困難に見舞われますが、バスチアンが夢中で読み進めるごとに、不思議なことが起こり始めます。
時々、物語の声が聞こえたり、本の中に自分とそっくりな人物がちらりと見えるのです。
「まさか、ぼくなんかが登場するわけがない。」
と信じないバスチアンですが、とうとう認めざるを得ない出来事が起こります。
【承】はてしない物語 のあらすじ②
物語の中で、アトレーユが旅を続けるにつけ、徐々に女王幼ごころの君の病の原因が判明してきます。
幼ごころの君は想像の世界の女王、近年人間の子供たちが想像することを忘れ、本の世界に入ってくれなくなったことが、女王の病と各地の虚無で世界が消えている原因でした。
解決するには、人間の子供がファンタ—ジェンにやってきて、女王に新しい名前を付けてあげることだけです。
バスチアンは、うすうす自分が呼ばれているのではないかと気づき始めます。
ですが自信のないバスチアンは、なかなかそれを認めず、世界に踏み込もうとしません。
ついに幼ごころの君が直接バスチアンに語りかけ、とうとうバスチアンは大きな声で「月の子モンデンキント」という新しい名前を叫びます。
すると、次の瞬間バスチアンは、ファンタ—ジェン国の中に飛び込んでいるのでした。
新しいファンタ—ジェン国はまだ暗闇でなにもありません。
女王モンデンキントは、バスチアンを国を救った勇者として、アウリンという女王の権力を持つおしるしを渡します。
そして、バスチアンが望めば、砂漠も森も生き物も生まれ、新しいファンタ—ジェンができはじめたのでした。
【転】はてしない物語 のあらすじ③
アウリンを手にしたバスチアンは、「救い主」として、ファンタ—ジェンの国民にあがめられます。
アウリンの力で望みは全部かない、見た目ももう太っちょの少年ではなく、りっぱな体の美しい勇者となっています。
旅の途中でアトレーユと友達になり、出会うものの望みを片っ端からかなえ、称賛されていい気持ちになってゆきます。
そんな日々が続くと、徐々に純粋な思いは消えてゆき、「もっと強さを見せたい。」
「ばかにされたくない。」
という理由で望みを使うようになってゆきます。
バスチアンの周りには、意地の悪いものが集まり、親友アトレーユとも仲たがいをし、ついには剣で刺してしまいます。
孤立したバスチアンは、さまよい続けながら、自分が本当は誰だったのかを忘れてしまっていることに気づきます。
【結】はてしない物語 のあらすじ④
アウリンの力を使ってかなえた間違った望みは、かなえるごとに本当の自分を忘れさせているようでした。
このままではすべてを忘れ廃人になってしまうと知り、バスチアンはとうとう、ふとっちょでぐずな元の自分に戻る決意をします。
出会う人たちのおかげで、バスチアンは生まれ変わり、大切なのは父さんだったんだと気づきます。
ですが、そのたびにひとつずつ記憶はなくなり、とうとうバスチアンという名前すらわからなくなってしまいました。
バスチアンはアトレーユに助けてもらい、現実の世界と物語の世界をつなぐ命の水の泉にたどりつきます。
それは、もう必要ないと手ばなしたアウリンの中にありました。
バスチアンはとうとう人間の世界に帰ることができたのです。
長い長い旅のようでしたが、人間の世界では1日しかたっていませんでした。
父さんに旅のことを話して聞かせ、2人は力を合わせて生きてゆこうと決めるのです。
はてしない物語 を読んだ読書感想
「モモ」などで有名な、ミヒャエルエンデ作の長編童話です。
文章は簡単で子供でも読めますが、内容は深く、人間の望みと再生の厳しさを描いていると思います。
ミヒャエルエンデは、「望み」を持つということを非常に大切にしています。
ですが人間は、望みを待ちがった方向に使い、本来の自分を忘れ人を傷つけます。
クライマックスで薄れる記憶と戦いながら、必死に自分を取り戻そうとするシーンは、童話ながらに涙がこぼれるほど壮絶です。
「はてしない物語」は「ネバ—エンディングストーリー」というタイトルで、1984年に映画化されました。
ですがそれは、物語の前半の、幼なごころの君に出会うまで。
このお話の本当に面白い部分は、その後の後半なのです。
大人にも子供にも、多くの人に読んでもらいたい一作です。
もし読む時は、ぜひ文庫ではなくハードカバーの本を手に取ってください。
ハードカバーの「はてしない物語」は、作品中でバスチアンが手に取るあかがね色の本と、まったく同じ作りになっています。
自分も物語の中に入って行けるような気持を味わって、楽しんでもらえると思います。
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