逆に14歳(前田司郎)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

逆に14歳

【ネタバレ有り】逆に14歳 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:前田司郎 2010年2月に新潮社から出版

逆に14歳の主要登場人物

丸田史郎(まるたしろう)<説明作家。五反田で独り暮らし。

下田陽平(しもだようへい)
「ペーちゃん」の渾名で親しまれた史郎の友人。故人。

白田泰助(しろたたいすけ)
司郎の大学の頃の友人。俳優。

逆に14歳 の簡単なあらすじ

共通の友人のお葬式で再会を果たした丸田史郎と白田泰助が、成り行きで共同生活を送ることになります。残り少ない人生の中で最後にやりたいことを見つけたふたりの老人でしたが、思わぬ形で幕を閉じてしまうのでした。

逆に14歳 の起承転結

【起】逆に14歳 のあらすじ①

友との別れと再会

作家として活躍してきた丸田史郎は、結婚することはなく現在でも独り暮らしを送っていました。

ある日突然に史郎の下に舞い込んできたのは、20代の頃から付き合いがあった「ぺーちゃん」こと下田陽平の訃報を告げる手紙です。

葬儀に参加するためにシャワーを浴びて喪服に着換えて、バッグの中に香典袋と送られてきた手紙を入れて出かけます。

電車に乗るのは久しぶりになり切符を買うのもひと苦労で、手紙に地図が記載されていた地図を虫眼鏡を使って何とか読み取りました。

代々木駅で降りて地元のセレモニーホールで記帳を済ませて、変わり果てた旧友の遺体と対面します。

式の途中でトイレに行った史郎が出会ったのは、大学時代の友人・白田泰助です。

【承】逆に14歳 のあらすじ②

老人ふたり暮らし

葬式終わりにふたりは近所の公園に立ち寄って、お互いの近況を報告し合いました。

若い頃は俳優としてテレビドラマや映画に出演していた白田でしたが、寄る年波には勝てずに今ではセリフを覚えることも出来ません。

自分たちが後14年程度しか生きられないことを、史郎は「逆に14歳」と表現します。

その日から白田はしばしば電話をかけてくるようになり、遂には史郎の五反田の一軒家にまで転がり込んできてしまいました。

長らく千葉に独りで住んでいたこと、ある日突然に姉と甥っ子の一家が引っ越してきて彼女たちと上手くいっていないこと。

白田の厚かましさにあきれ果てながらも、奇妙な共同生活を送るに少しのときめきを感じてしまうのでした。

【転】逆に14歳 のあらすじ③

もう1度輝くために

白田の夢は残された最後の時間を活かして演劇をすることでしたが、現役の頃に親交があった劇作家は大御所になっていて気軽に頼むことが出来ません。

既に鬼籍に入った作家たちも数多く、そんな折に史郎の存在を思い出したようです。

出演者募集のチラシを20000枚も印刷して、遥か30年前に講師として勤めていた演劇学校で配るほどの張り切りようでした。

数日後には頻繁に問い合わせの電話がかかってくるようになり、史郎は携帯電話の電源をオフにしています。履歴書も毎日のように郵送されてきて、ポストは茶封筒の束で溢れていました。

オーディション前日に俄に怖じけ付いたふたりは、品川駅から踊り子号に乗り込んで熱海へと雲隠れを決め込みます。

【結】逆に14歳 のあらすじ④

熱海への生温い旅

オーディションをすっぽかしてしまったために、史郎たちは2度と演劇の世界に戻ることは出来なくなってしまいました。

もともと出来なかったと割り切ることにしたふたりは、無理にでも旅行を楽しむことにします。

予約もせずに家を出てしまったために、着いて直ぐに宿を探さなければなりません。

駅前のロータリーを挟んだ先にある観光案内所で、20代後半に泊まったことのある宿「景観荘」の場所を聞き出しました。

タクシーでお土産屋や飲食店が立ち並んでいる坂道を下ると、目の前に広がる海が見えてきます。

若い頃には心を揺さぶられたはずの海に何も感じなくなっていて、旅館ではストリッパーと大騒ぎを繰り広げますが虚しさが増していくばかりなのでした。

逆に14歳 を読んだ読書感想

意外にも規則正しい独居老人・丸田史郎の日常生活が、悲哀とユーモアを交えて描かれていて味わい深かったです。

長きに渡った独り暮らしのために手料理のレパートリーも豊富で、鯛のアラで出汁をとった湯豆腐や手作りのタルタルソースをトッピングした唐揚げなどは実に美味しそうでした。突如として押し掛けてきた懐かしい友達の白田泰助を、追い返すことなくあっさりと受け入れてしまう優しい一面も垣間見ることが出来ます。人生の最後に一花咲かせようとしていたふたりの老人が、全てを放り出して熱海に逃げ出してしまうシーンには笑わされました。

若い頃にはときめいた景色や出来事に対して、年齢を重ねるにつれて無感動になっていく姿が切ないです。

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