恋愛の解体と北区の滅亡(前田司郎)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

恋愛の解体と北区の滅亡

【ネタバレ有り】恋愛の解体と北区の滅亡 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:前田司郎 2006年6月に講談社から出版

恋愛の解体と北区の滅亡の主要登場人物

塚田吾郎(つかだごろう)
28歳。アパートで独り暮らし。

マキ(まき)
吾郎の大学時代の後輩。

コスモ女王様(こすもじょうおうさま)
風俗店勤務。21歳。

恋愛の解体と北区の滅亡 の簡単なあらすじ

2年前に襲来した宇宙人たちとは表面上穏やかな協定が結ばれていましたが、先日都内で発生した宇宙人刺殺事件によって事態は急展開を迎えています。人類滅亡の危機が迫る中でも、塚田吾郎はいつものように冴えない日々を過ごしていました。

恋愛の解体と北区の滅亡 の起承転結

【起】恋愛の解体と北区の滅亡 のあらすじ①

宇宙人襲来

塚田吾郎は文筆業や専門学校で非常勤講師として働きながら、東京都品川区五反田のマンションで両親と一緒に暮らしていました。吾郎が26歳の時に自分の部屋の中でマンガを読んでいると、階下から母親の呼ぶ声が聞こえてきます。

リビングルームのテレビ画面に映し出されていたのは、池袋のサンシャイン60からの生中継映像です。

ビルの屋上には銀色に光輝く円盤型のUFOがホバリングしていて、機体から次々と緑色の宇宙人が降り立ってきます。

どうやら東京ばかりでなく、ニューヨーク・パリ・ロンドン・北京・ドイツと世界各国の主要な都市で同じ出来事が起きているようです。

人類は突如としてやって来た高度な文明を持つ異星人と、協定を結ぶことになりました。

【承】恋愛の解体と北区の滅亡 のあらすじ②

2年の時が流れて

宇宙人襲来の年に吾郎の父と母はマンションを売却したお金で、埼玉県に一戸建てを購入して引っ越していきました。

20代後半にして初めての独り暮らしをすることになった吾郎でしたが、幼い頃から愛着の深い五反田に下宿先を探します。

これまで住んでいたマンションの近所に両親の知り合いがオーナーを務めているアパートがあったため、すんなりと入居することができました。

裕福な実家と自身もある程度の収入があるためにお気楽な日々を送っていましたが、引っ越して2年後に発生したのは東京都北区での宇宙人の刺殺事件です。

報復攻撃を恐れた人たちは次から次へと都内を逃げ出してパニックが広がっていきますが、吾郎は生まれ育った街を離れることはありません。

【転】恋愛の解体と北区の滅亡 のあらすじ③

吾郎のときめき

刺殺事件に対して宇宙人側からの正式発表が近づく中でも、吾郎はいつもと変わらずに新宿の専門学校に出勤していました。

授業が終わって生徒たちを見送った後に駅前の書店で立ち読みをしていると、大学の後輩・マキからメールを受け取ります。

学生時代に吾郎は幾度となく彼女にアプローチをしてきましたが、その度に振られてしまった相手です。お互いに就職先が決まって卒業以降は疎遠になってしまいましたが、最近になってふたりの共通の友人の結婚式がきっかけになって再会を果たしました。明日の13時に有楽町で会う約束を取り付けた吾郎は、俄にときめいてしまいます。真っ直ぐに自宅に帰る気にもなれずに、 五反田の夜の街へと繰り出していくのでした。

【結】恋愛の解体と北区の滅亡 のあらすじ④

報復攻撃開始

吾郎は風俗案内所で紹介されたコスモ女王様と一緒に、目黒川沿いのマンションへと向かいました。

ボンテージスタイルに着替えた女王様を前にしても、宇宙人の記者会見の方が気になっていまいちプレイに集中することが出来ません。

女王様の方も本日が最後の出勤日になり、姉を追って上京して来たはずがいつの間にこのお店で働くことになってしまった複雑な事情を抱えています。

ふたりはそれぞれの近況を交換し合ったあとに、テレビのスイッチを入れて一緒に見ることにしました。

北区のビルの屋上に仕掛けられた無人カメラが捉えたのは、UFOから発射される無数のレーザー光線です。吾郎と女王様はベッドに腰掛けながら、北区が消え失せていくのを眺めるのでした。

恋愛の解体と北区の滅亡 を読んだ読書感想

特に印象に残っているセリフは、「死んだ後のことなどどうでもいい。」

です。

明日が人類最後の日となるかもしれない非常事態の中でも、いつもと変わることのない夜を過ごす主人公の言葉になります。

悲観論者が次から次へと東京を脱出し更には海外へと逃げ延びていく一方で、生まれ育った街と共に運命を共にする主人公の決意には胸を打たれました。

夜の五反田をさ迷い歩いていた主人公が出逢った、個性豊かな登場人物たちも魅力的です。

主人公の大学時代の後輩にして今でも密かな思いを抱いているマキ、別れた妻に未練たらたらな男、姉を追いかけて上京してきた女の子。

極度状況下でも、誰かの側にいることを願うピュアな気持ちには心温まるものがあります。

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