「マイルド生活スーパーライト」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|丹下健太

マイルド生活スーパーライト 丹下健太

著者:丹下健太 2010年2月に河出書房新社から出版

マイルド生活スーパーライトの主要登場人物

上田まさ(うえだまさ)
主人公。勤め先は1年ごとの更新なために安定しない。優柔不断で見た目も地味。

荒井みゆ(あらいみゆ)
上田の彼女。理屈っぽく気分屋。

鈴木(すずき)
上田の同僚。口は達者で耳も早い。

西岡(にしおか)
上田の大学時代の友人。大手企業に勤めていて異性にもモテる。

佐野(さの)
上田の上司。なれなれしく暑苦しい。

マイルド生活スーパーライト の簡単なあらすじ

「未来が見えない」といって荒井みゆから別れを切り出されたのは、職場でもプライベートでもパッとしない上田まさです。

友人たちと「未来」が意味するものを見つける実験をしてみますが特に効果はなく、荒井が自宅に残していった持ち物をなかなか手放せません。

退職する上司の気まぐれに振り回された末に、ようやく上田は荒井への未練を断ち切るのでした。

マイルド生活スーパーライト の起承転結

【起】マイルド生活スーパーライト のあらすじ①

お先真っ暗な男たちが卓を囲む

バレンタインデーが近づいていて街中にはイルミネーションがあふれていましたが、上田まさと荒井みゆの関係性も冷え込んでいく一方でした。

何とか彼女をつなぎ止めようと上田は1日1通はその日にあったことをメールで報告していましたが、簡単な相づちしか返ってきません。

週末になっても特に予定も入ってなかったために、同じ会社に勤める鈴木に声をかけてマージャンのメンツを集めます。

たいして恋愛経験のない鈴木の話は参考にならず、むしろ期待していたのは大学生の頃から仲の良い西岡のアドバイスです。

西岡は4年近くお付き合いをしている女性がいて、もうすぐ結婚も近いと言われていました。

その西岡が1カ月半くらい前に「先が見えない」と言われてフラれたことに、上田はひどくショックを受けます。

西岡はハンサムで友人も多い正社員、上田は顔も性格も平均的な契約社員。

正体の知れない不安に襲われた上田は西岡の失恋を慰めるという名目でお酒を買ってきて自宅で飲み始めますが、酔いつぶれて寝てしまい目が覚めると部屋には誰もいません。

【承】マイルド生活スーパーライト のあらすじ②

流れるままに生きる

荒井から久しぶりに電話があったのは西岡たちと遊んだ1週間後のことで、この辺りでも有名な繁華街で待ち合わせをしました。

デートの行き先もレストランのメニューもすべて荒井におまかせ、そのくせ彼女が決めたものにはことごとくダメ出し。

ファミリーレストランで向かい合って座って早々に、荒井は「ふたりで一緒にいる未来が見えない」とため息をつきます。

橋の真ん中に立っているのが荒井で、川上の方から流れてくる1枚の葉っぱが上田だそうです。

上田の家に置いてある化粧品や衣類は始末して構わないそうで、「さよなら」と言って店を出ていったためにもう会うことはないでしょう。

アパートに戻った上田は荒井の荷物を1カ所に集めましたが、どうしても捨てられません。

とりあえずはビニール袋にふたつに分けて詰め込んで、クローゼットの中に押し込んでおきました。

荒井の例え話を再現するために、上田は鈴木や西岡と一緒に近所の遊歩道に沿った川まで足を運びます。

実際に橋の上から葉を流して拾い集めてみましたが、水浸しになっただけで特に良いことはありません。

【転】マイルド生活スーパーライト のあらすじ③

次のステップにも進めず足踏み状態

昼休みになるとプロレス技を掛けてきたり、給料日が近くなってくると風俗店に誘ってくるのは会社の人事担当者・佐野です。

肥満体な上にとにかく面倒くさい人ですが、そろそろ契約更新の時期が近いために一応はご機嫌を取っておかなければなりません。

ここで働き始めてから間もなく4年目に突入しますが、例年通りに何枚かの書類を手渡されて署名とハンコを押すようように言われたために正社員登用はないでしょう。

仕事の終わりには強引に最寄り駅の焼き鳥屋に連れて行かれましたが、悪酔いした佐野から散々と説教をされてしまいました。

何かを他人に相談するのがすっかり嫌になった上田は、しばらくのあいだは求人雑誌や転職サイトを夜遅くまで眺めています。

このところの不景気の上に大した職歴や資格もない上田では、キャリアアップを狙うのは難しそうです。

荒井のお気に入りの本やCDを引っ張り出してきて読んだり聞いてみたりしましたが、一向に気持ちは晴れません。

【結】マイルド生活スーパーライト のあらすじ④

いつか女神がほほえむと信じて

現状維持で自分を納得させた上田は当面に必要な生活費のために、とりあえずは契約書にサインをしておきました。

社内の事情に詳しい鈴木から3人が会社を辞めることを聞きましたが、そのうちのひとりが佐野だということに驚きます。

結婚して実家の家業を継ぐという佐野は、引っ越しの準備が忙しいようで年度末に行われた課の送別会にも顔を出していません。

町の中心にある居酒屋に佐野と親しかった5人ほどが集まったのは、新年度の慌ただしい状況もひと段落した4月の半ば頃です。

鈴木を始めとする他のメンバーはいくらかお金を出し合ってプレゼントを用意していましたが、上田だけは何も持ってきていません。

ギャンブルが大好きだという佐野からは、それからも週末になると上田をパチンコ店に呼び出します。

ようやく佐野が地元に帰ることが決まったのは、ゴールデンウィークも終わってパチンコの負けが10万円をこえた頃です。

パチンコも彼女もいくら貢ごうとダメな時はダメなこと、暗い顔をしていると女神に愛されないこと。

別れ際の佐野の言葉に触発された上田は、家に帰ってクローゼットから荒井にまつわる思い出の品を引っ張り出してゴミステーションに向かうのでした。

マイルド生活スーパーライト を読んだ読書感想

生ぬるい水の上をゆらゆらと漂うように生きる主人公の上田まさは、いかにも現代のモラトリアムといった青年ですね。

深く考えることもなく恋愛関係を続けていた荒井みゆからも、あっさりと見放されてしまうのも無理はありません。

「未来」と「葉っぱ」がどのように関係するのかは想像力を膨らませるしかありませんが、律義に現場検証をしてしまうシーンには笑わされました。

実際に職場にいたら仕事以外では関わりたくない佐野のようなキャラクターも、物語の中では不思議と愛着が湧いてきます。

最後まで主体性のない上田でしたが、小さな1歩を踏み出していくラストに今後の成長を期待したいです。

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