「姑獲鳥の夏」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|京極夏彦

姑獲鳥の夏 京極夏彦

著者:京極夏彦 1994年9月に講談社から出版

姑獲鳥の夏の主要登場人物

関口 巽(せきぐち たつみ)
主人公、鬱病持ちの小説家

中禅寺 秋彦(ちゅうぜんじ あきひこ)
呼称は自身の店の屋号「京極堂」関口の友人、本業は古本屋店主、家業は神主、副業は祓い屋

榎木津 礼二郎(えのきづ れいじろう)
薔薇十字探偵社の探偵、躁病の気がある。傍若無人で破天荒で言動は支離滅裂だが、何かが見えるらしい

久遠寺 涼子(くおんじ りょうこ)
久遠寺産科医院の長女。妹、久遠寺 梗子の失踪した夫の捜索依頼を薔薇十字探偵社に依頼した。

久遠寺 梗子(くおんじ きょうこ)
久遠寺産科医院の次女、姉の涼子と双子のように瓜二つ。20カ月妊娠状態を継続している。

姑獲鳥の夏 の簡単なあらすじ

昭和27年夏、関口巽が京極堂に持ち込んだ「二十箇月も身籠り続ける女性」の謎を皮切りに、失踪した夫の藤野牧朗の行方と久遠寺産科医院を取り巻くおぞましい噂の深層を姑獲鳥になぞらえて京極堂が解決に導くミステリー。

「この世には、不思議なことなど何もないのだよ、関口君」

姑獲鳥の夏 の起承転結

【起】姑獲鳥の夏 のあらすじ①

依頼

20箇月もの間身籠り続ける妊婦がいるらしいと噂を聞きつけた小説家の関口巽は古書店を営む友人の京極堂の店を訪ねます。

京極堂と語り合ううちに20カ月身籠り続ける妊婦の夫が学生時代にドイツに留学した友人の藤野牧朗であることに気が付きます。

藤野牧朗が失踪していることを知った京極堂は「君が持ち込んだ案件だ、責任を持ちたまえ」と言って関口巽に藤野牧朗と同級生だった榎木津礼次郎の下へ行けと命じます。

翌朝、榎木津礼次郎がいる薔薇十字探偵社に向かった関口巽はそこで、件の20箇月身籠り続ける妊婦の姉である久遠寺涼子と出会います。

和服姿の凛とした久遠寺涼子に見惚れる関口は衣装を選びあぐねている榎木津礼次郎の代理として久遠寺涼子の依頼内容を聞きます。

久遠寺涼子は身体に異常をきたした妹と失踪した夫のせいで壊れつつある久遠寺の家を助けてほしいと、なぜ渦中の妹の夫の捜索を依頼します。

依頼を受けた榎木津と関口は久遠寺産科医院へ調査に向かいます。

【承】姑獲鳥の夏 のあらすじ②

調査

久遠寺産科医院を訪れた関口は既視感を感じます。

久遠寺夫妻に藤野牧朗失踪当時の話や、藤野牧朗についてどう感じていたか一通り聞いた関口と榎木津は医院に下宿している医師見習いの内藤から話を聞きます。

情緒不安定な内藤の様子から信用に値しない人間だと感じた関口は内藤を後にし、久遠寺涼子に案内されるままに藤野牧朗の研究室に入ります。

整理整頓の行き届いた部屋から藤野牧朗の日誌を持ち帰り、続く奥の部屋「20箇付き身籠り続ける」久遠寺梗子の部屋に案内されます。

重々しい扉を開いた先にはやせ細った久遠寺涼子にそっくりな久遠寺梗子です。

久遠寺梗子は妊娠状態が続きすぎて寝たきり状態で顔はやせ細っているのにお腹は大きく膨らんでいます。

関口が藤野牧朗の失踪当日の話を聞こうとするより速く榎木津が「僕らがやるべきことは警察を呼ぶことだ」というのです。

依頼を受けておいて無責任な物言いに激怒した関口を置いて榎木津は久遠寺産科医院を後にします。

引き続き居残った関口は久遠寺梗子からも当時の状況を聞きます。

【転】姑獲鳥の夏 のあらすじ③

姑獲鳥と産女と鬼子母神

久遠寺産科医院を訪れた翌日、関口は京極堂の下に報告に行きます。

関口の弁から医師見習いの内藤が久遠寺梗子と不倫関係にあったのではないか、最中に藤野牧朗が出くわし修羅場になったのではないかと考察し、榎木津の言動から藤野牧朗がすでに亡くなている可能性に結びつきます。

そんな中、関口の軍人時代の部下で現在は刑事の木場修が登場します。

木場修はカストリ雑誌を指し、新生児失踪事件を捜査していると言い京極堂に助言を求めます。

起きた事件は3件、取り上げた久遠寺産科医院は死産だったと説明するが、子供の産声を聞いたと言う者もいます。

久遠寺の家を怪しむ木場に久遠寺涼子に思い入れがある関口は激高します。

そこで、木場は関口の為に藤野牧朗失踪事件の捜査協力すると宣言します。

木場の情報網から久遠寺産科医院の元家政婦に話を聞きます。

元家政婦から「カエルの頭をした赤ん坊の呪い」を聞いた関口と木場は久遠寺産科医院に赤ん坊を盗まれたと語る原澤の長屋を訪れます。

原澤は久遠寺産科医院の噂や自身の子供を攫われたネタをカストリ雑誌に売っていました。

原澤は木場に叱られ、「お前の息子の再捜査をしている」と伝え元気づけます。

原澤の話から関口は久遠寺産科医院への不信感が膨らみます。

不信感からか久遠寺涼子への思い入れからか関口は木場に久遠寺産科医院への家宅捜査は1日待ってくれと頼みます。

そして、単身久遠寺産科医院へ行きます。

道中内藤と会い、カストリ雑誌に醜聞が掲載されたため怒った読者が押し寄せ対応した涼子がケガをしたと聞いて関口は涼子の下に向かいます。

寝台に横たわる涼子は関口に「忌まわしい久遠寺の呪いを解いて、私を助けて」と言われ関口は「必ず呪いを解いて見せます」と涼子に誓って久遠寺産科医院を後にします。

【結】姑獲鳥の夏 のあらすじ④

陰陽師

京極堂は本業を古書店、家業を神主、副業に祓い屋を営んでいます。

古書店を訪れた関口ですが、中に京極堂の姿はなく、神社の方に向かいます。

関口は京極堂を説得し祓い屋を久遠寺産科医院に連れてきます。

京極堂のが呪文を唱えると梗子の膨らんだ腹が破裂し、目隠しが外れ、関口の目の前に藤野牧朗のぬるりとした遺体が現れます。

あまりの事態に関口は昏倒してしまいます。

そして意識が戻ると京極堂と木場と榎木津が揃っています。

京極堂と榎木津の話を聞きどうやら関口は梗子のベッドの下に横たわっていた藤野牧朗の遺体を”見えていなかった”という答えにたどり着きます。

自身の脳に騙されていたというのです。

そして、京極堂が久遠寺家の面々の憑き物を落とし終わったところで涼子が産院に残っていた新生児を攫い院内を逃走し母を刺し殺し、警察と関口に追い詰められます。

関口に新生児を渡すと涼子は自殺を図り、久遠寺家は断絶します。

数日後、新聞に久遠寺産科医院での事件が載りますが京極堂曰く、どれ一つ実際に起きたことは載っていないと言います。

姑獲鳥の夏 を読んだ読書感想

何度読んでもいまいちつかめません。

読み返すと唯一読者の視点であるはずの関口君がどうしてこんなにヒステリックなのかちょっとテンションについていけなくなります。

人気のキャラクター達のボケもまだまだ薄いので、キャラクターを気に入るのがまだ難しい印象です。

ノベライズ版1ページ2段組の430ページはさすがにボリューミー過ぎて読み終えて達成感を感じます。

厚さ厳しい方はコミカライズ版もありますが、こちらはセリフが長い為、吹き出しが小説のような感じでなかなか厳しいです。

映画版もあるみたいなのでコミックスでも厳しかった方は映画版もお試しください。

コメント