「下町ロケット」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|池井戸潤

池井戸潤「下町ロケット」

【ネタバレ有り】下町ロケット のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:池井戸潤 2010年11月に小学館から出版

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下町ロケットの主要登場人物

佃航平(つくだこうへい)
主人公。宇宙科学開発機構の元研究員で佃製作所の社長。

財前道生(ざいぜんみちお)
帝国重工宇宙航空部開発グループ部長。佃製作所の持つ特許がネックとなり自社開発のエンジンが製作できない可能性が出てきたためその対応にあたる。

富山敬治(とみやまけいじ)
帝国重工宇宙航空部宇宙開発グループ主任。財前のポジションを奪おうと考え、佃製作所の邪魔をする。

殿村直弘(とのむらなおひろ)
佃製作所の経理部長。白水銀行からの出向者だが佃製作所の為に必死で働く。

神谷修一(かみやしゅういち)
知財関係では国内トップクラスの凄腕弁護士。佃の元妻からの紹介でナカシマ工業との訴訟を弁護してもらうこととなる。

下町ロケット の簡単なあらすじ

宇宙開発機構の研究員をしていた佃航平はロケット用エンジンセイレーン開発失敗の責任を取って研究員を辞め、父親の死をきっかけに家業を継いで佃製作所社長となりました。佃は高い技術力で精密機器を手がける方針を進め順調に売上を伸ばしていました。しかし、京浜マシナリーからいきなり年間十億円もの取引を打ち切ると言われ銀行からの融資もなかなか受けられずに苦境に立たされます。ここから、会社を守るための新たな挑戦が幕を開けるのでした。

下町ロケット の起承転結

【起】下町ロケット のあらすじ①

大企業の横暴と訴訟

佃航平はかつて宇宙開発機構で研究員として働いていましたが、7年前に父親の死をきっかけに家業を継いで佃製作所社長となりました。

その後は技術力を高めて順調に売上を伸ばしていましたが、ある時主要取引先の京浜マシナリーから社内方針の変更によりエンジン関連の発注を無くすと一方的に通告されます。

これにより大口の取引が無くなり銀行からの融資も受けづらくなり運転資金にも困りますが、さらに追い打ちをかけるようにライバルであるナカシマ工業から特許侵害の提訴をされます。

大企業の横暴なやり口に腹を立てる佃ですが、経理部長の殿村は銀行からの出向者であり銀行のやり口もよく知っているため、佃に定期預金を崩しながら運転資金を賄おうと提案します。

ナカシマ工業との訴訟に関してはとりあえず顧問弁護士の田辺に相談しますが、ベテラン弁護士である田辺でもこういった知財係争の経験が無く技術にも詳しくないために第1回目の弁論でナカシマ工業の技術系弁護士に一方的にやられた佃は弁護士を変えることにします。

ニュースを見て心配した元妻から知財関係では国内屈指の神谷弁護士を紹介してもらい、今回の件について相談に行くと神谷は非常に技術にも詳しく頼りになりそうな印象を受けます。

神谷は佃製作所開発部長の山崎の説明を聞いた後で特許の取り方に問題があったと指摘しますが、神谷は佃製作所の技術力を高く評価し代理人を引き受けてくれます。

神谷からは資金繰りを何とかしろとアドバイスされ、銀行は頼れないためにベンチャーキャピタルを探します。

かつて会社を訪ねてきたことのあるナショナル・インベストメントの浜崎に話を持ちかけると、佃製作所の資料に一通り目を通した後でとりあえず一億五千万の投資を検討してもらうこととなります。

神谷から今回の訴訟に関して提案があり、佃製作所はナカシマ工業を逆に訴えることとなります。

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【承】下町ロケット のあらすじ②

スターダスト計画

帝国重工の宇宙航空部ではスターダスト計画というロケット開発の計画を進めていました。

しかし、水素エンジンのバルブシステムで特許出願したところ棄却されるという事態が発生し、佃製作所が同様の技術で先に特許を取得していました。

部長の財前と主任の富山はこのままでは計画に支障が出ると考え、佃製作所について調査します。

帝国重工では全部品を内製化するという社長方針があるために特許使用許諾契約を結ぶという選択肢は無く、佃製作所の厳しい経営状態を確認した財前は特許権を買い取ろうと考えます。

財前と富山は佃製作所を訪ねて二十億という金額を提示します。

しかし、佃製作所では大切な技術を金で売り渡すのは会社の方針に反するという意見が強く、佃は財前からの申し出を断ります。

財前は大学の友人でナカシマ工業に勤める三田に確認すると近々佃製作所は行き詰るはずだと言われ、少し待ってみることにします。

佃製作所は神谷の手腕でナカシマ工業を訴えた裁判を上手く進めることができ、裁判長から早々に和解案が提示されます。

ナカシマ工業の三田は敗訴も和解も認めずになんとか裁判を長引かせようと試みますが、タイミング悪く新聞にナカシマ工業の横暴を暴く記事が掲載されます。

これにより社会的な企業イメージが失墜し、ナカシマ工業の経営陣は和解案を受け入れた上で佃製作所への訴訟も取り下げることを決めます。

この情報を入手した財前は慌てて佃製作所の特許使用契約の締結に向けた書類を書き上げ、上司の水原に説明します。

多額の和解金を手にすることとなった佃製作所にはピンチの時には助けようともしなかった白水銀行が手のひらを返したように今後とも付き合ってほしいと申し入れてきます。

しかし佃も殿村も愛想を尽かしており、銀行からの融資は全額返済した上で今後の取引も断ると答えます。

財前は佃製作所を再び訪れ、特許使用契約の内容について打ち合わせます。

【転】下町ロケット のあらすじ③

中小企業のロケットへの挑戦

佃は帝国重工と特許使用契約を結ぶのではなく、ロケットエンジンに使用するバルブシステムを製作して帝国重工に供給しようと考えます。

財前は佃の申し入れを聞いて困惑し、富山は開発責任者として特許取得で後れを取ったことを謝罪します。

財前はとりあえず佃製作所の工場を見て帝国重工で採用できるレベルで無いと断ろうとしますが、実際に工場を見るとその技術力の高さに驚かされてしまいます。

財前は上司の水原に佃製作所をテストさせて欲しいと申し入れますが、気乗りしない水原は富山に佃製作所のテストや特許使用の交渉を任せようとします。

富山は上手くいけば財前の部長職を奪えると考え、テスト不合格と特許使用契約に向けて動き出します。

佃製作所社内でも佃の夢の為に大金を手にするチャンスを逃してしまうと反対意見も多く出ます。

さらに大学の同期であった三上から会社を売って大学に戻らないかと提案され、ベンチャーキャピタル経由でとある大企業による買収話を紹介されます。

富山はテストにあたり、企業審査の田村、生産管理の溝口を抱き込んでおきます。

テスト当日、帝国重工の面々は佃製作所を馬鹿にするような発言を繰り返します。

これに怒りを覚えた若手メンバーは元々部品供給に反対している者が多かったにも関わらず、徹夜でテスト対策をします。

テスト2日目には田村から財務資料について指摘が入ると、若手メンバーが猛反論し完全に論破します。

佃はテスト第一段階を乗り切った打ち上げ会の最中に三上に連絡して夢は研究室に戻らなくてもかなえられると大学へ戻る話は断ります。

富山はテスト結果を振り返って予想以上に高い点数が付いていることに悔しさを覚えます。

しかし、研究所の部下からバルブの簡単な動作性能テストで異常値が出ているとの報告が入ります。

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【結】下町ロケット のあらすじ④

佃製作所のロケット開発への夢

不良の原因は、帝国重工へのバルブ供給に最後まで反対していた技術開発部の真野によるものでした。

帝国重工へ正規品を届けて再検査を依頼するものの、富山からは断られてしまいます。

しかし佃製作所の評価担当の一人である浅野という若手技術者が財前に直接交渉して再検査してくれます。

浅野は佃製作所を直接見て財前同様に高い技術力に惹かれていたのでした。

こうして佃製バルブのテスト結果は全て合格となり、水原もこれ以上打つ手無しと判断して佃製品採用の方向で検討するよう指示を出します。

しかし佃製品を採用したエンジン燃焼試験はバルブの動作不良で失敗し、帝国重工側は佃製作所に責任を押し付けます。

佃製作所のバルブには異常は見つからず、佃はバルブに絡む部品全てを調べます。

結果、帝国重工製のフィルタに製造不良が見つかり、佃製バルブにはなんの問題も無いと判明します。

最後の砦として帝国重工の社長藤間の承認を得る必要がありますが、財前が役員会で佃の名前を出しながら直接説明します。

藤間はかつて佃が研究員として開発したロケットエンジンを使った打ち上げ計画の責任者であり、佃はこの時の失敗を教訓にバルブシステムこそがロケットのキーデバイスと考えて開発に打ち込んできたのでした。

藤間の承認を得ると正式に帝国重工に採用されることが決まり、中小企業である佃製作所がロケット部品を製作するという夢が叶ったのでした。

祝勝会の場では今回の件を通して顧問弁護士となった神谷から、バルブシステムのロケット以外への使い道を尋ねられますが佃はそれが喫緊の課題だがまだアイデアは無いと答えます。

数日後、会社を辞職した真野からメールが届きます。

佃の紹介で大学の研究所に転職できた事への礼と共に人工心臓にバルブが使えるのではないかというアイデアが書かれていました。

下町ロケット を読んだ読書感想

下町ロケットシリーズの1作目で、下町の中小企業である佃製作所が大企業の横暴に立ち向かっていく物語です。

一方的な取引の打ち切り、根拠の無い特許侵害の訴訟、裏から手を回しての買収工作、特許権の買取など、大企業による様々なやり口に対して佃製作所社長の佃は自分が正しいと思う事を主張する為に敢然と立ち向かいます。

厳しい苦境に立たされても、元妻、神谷弁護士、ベンチャーキャピタルの浜崎、帝国重工の財前や浅野など助けになってくれる者もおり、何とか問題を解決していきます。

しかし、中小企業というのはやはり立場が弱く、佃の娘の同級生は親の会社が倒産した事で転校を余儀なくされるなど、1歩間違えば佃製作所も倒産していてもおかしくない状況でした。

最後には技術で大企業の帝国重工を上回ってロケット部品の供給を成し遂げますが、現実にはこんな高い技術力を持った中小企業というのは少ないのではないかと思います。

夢のような話ですが、だからこそ面白い小説なのだと思います。

続編へと繋がる終わり方にもなっているので、次は佃製作所がどんな夢に挑戦するのか楽しみです。

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