「SOSの猿」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|伊坂幸太郎

「SOSの猿」

【ネタバレ有り】SOSの猿 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:伊坂幸太郎 2009年11月に中央公論新社から出版

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SOSの猿の主要登場人物

遠藤二郎(えんどうじろう)
家電量販店の店員。副業でモグリのエクソシスト。他人が困ったり悲しんだりしていると助けたいと思うところがある。イタリアで友人のロレンツォからエクソシストを学ぶように勧められる。

五十嵐真(いがらしまこと)
40歳。物事を客観的に捉え、効率的に行動する性格。大庵証券の総務部に所属。

辺見眞人(へんみまこと)
半年前から引きこもるようになる。原因はコンビニで見かけた交通事故。そこから暴力的衝動を抑えきれなくなる。

SOSの猿 の簡単なあらすじ

二郎は知り合いの辺見のお姉さんから引きこもりになった息子の眞人に会ってくれとお願いされます。眞人は自身を孫悟空だと述べ、半年後に五十嵐真に起こる出来事を予言してみせます。その予言のおかげで虐待をされていた母子、車で人をはねた老婆が救われます。そして二郎は人を救えないと思っていた自分を見直し、胸を張って生きていきます。

SOSの猿 の起承転結

【起】SOSの猿 のあらすじ①

放っておけない

二郎はファミリーレストランで辺見のお姉さんからお願いをされます。

それは息子の眞人に会ってほしいというものでした。

二郎はエクソシストを副業でしていて、眞人が悪魔に憑かれているんじゃないかと辺見のお姉さんはお願いして来ます。

二郎は他人が困ったり悲しんだりしている様子を見ると放っておくことができない性質でした。

そこで辺見のお姉さんの願いを聞き受けます。

ファミレスの他の席では金融屋から老婆が取り立てられ困っていました。

しかし二郎は何もできずに店を出ました。

五十嵐真は桑原システムの品質管理部に勤めています。

この日も女性プログラマーとレンタルビデオ店で起きたシステムのバグについて原因を話し合っていました。

女性は早く仕事に戻りたく、話を切り上げようとします。

しかし五十嵐はそんな様子に気付きつつも長々と話をします。

すると苛立ちを募らせる女性の見た目が変容します。

それは西遊記に出てくるサソリの精でした。

しかし五十嵐は気に留めずに原因究明に努めます。

そんな時に会社から連絡があります。

内容は菩薩証券がシステムの不具合で大量の後発注をしたというものだった。

三百億円の損失も出ているというので原因究明に五十嵐は向かいました。

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【承】SOSの猿 のあらすじ②

悪魔祓い

二郎はとあるコンビニの駐車場で歌う雁子と会います。

そのコンビニの店長の金子と同じ仲間でした。

そのコンビニは引きこもる前に眞人がよく行っていた場所でした。

そのコンビニでは店員の久保田が交通事故で亡くなっていました。

二郎は轢いたのがファミレスで見かけた老婆だと気づきます。

眞人は雁子たちと交流を持っていました。

辺見のお姉さんはそのことを知りませんでした。

二郎は辺見のお姉さんに連れられて、眞人がいる家に向かいました。

そこで悪魔祓いを行おうとします。

しかし二階の眞人の部屋で大きな物音がして向かうと、書棚が倒されていました。

床には西遊記の本が散乱し、眞人は気を失っていました。

二人は悪魔祓いを断念します。

辺見宅から帰っているとコンビニから出てきた少年とぶつかります。

顔に痣のある少年は万引きした商品を持って逃げて行きました。

後日、二郎は眞人の悪魔祓いを行いに向かいました。

簡単な雑談をしていると、眞人は再び引きつけを起こして、気を失いました。

そこで帰ろうと二郎がすると、立ち上がり自分自身を孫悟空だと名乗りました。

眞人は分身の術の孫悟空が取り憑いたと説明します。

二郎は信じないと突っぱねます。

そこで眞人は未来が分かることを証明すると言います。

眞人は窓の外を歩く五十嵐真を指差します。

そしてこれから五十嵐に起こる半年先の未来を予言し出します。

【転】SOSの猿 のあらすじ③

答え合わせ

五十嵐はコンビニを出ていきなり二郎に声をかけられます。

株の誤発注の原因を調べていることをズバリ当てられます。

そのまま二郎と居酒屋に向かいました。

そこで眞人から予言を聞かされたと二郎に説明をされます。

答えわせに来たと話し出します。

予言は大筋であっていますが、細かいところで齟齬がありました。

そして眞人と五十嵐はコンビニで面識があり、予言はそこから生まれたと二郎は仮定します。

そして居酒屋にコンビニの店長の金子たちが集まり、本題に入ります。

二郎たちは誤発注の原因となった中野徹に会いたいと告げます。

中野の隣の部屋には死体があるからだと五十嵐は言われ、困惑します。

そこで五十嵐は二郎と雁子を連れて、中野の家に向かいました。

雁子は死体があるとされた部屋のインターフォンを押します。

しかし反応はありませんでした。

予言通りに五十嵐がドアノブを回すと扉が開きます。

中を探しますが、家主も死体もありません。

その代わりに首輪が落ちていて、家の中で虐待が起きていたことを突き止めます。

そこに猿の化身が現れ、この部屋で起こった一部始終を見せます。

この部屋に眞人が現れ、虐待をする男を襲い、子供を助け出していました。

コンビニで起こった交通事故の原因もこの男でした。

しかし当の男には逃げられていました。

三人はこの事故を目撃した眞人がその男に対する怒りから暴力を振るいそうになるのを止めて欲しかったんじゃないかと予想しました。

そして本当に悪い男は繁華街で警察に逮捕されていました。

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【結】SOSの猿 のあらすじ④

些細なことでも手助けになる

二郎は辺見のお姉さんに再開しました。

若々しくなり、昔の輝きを取り戻したように見えました。

別荘から抜け出した後の眞人のことを聞きました。

眞人は引きこもりが快方に向かっていました。

理由は懸念していた悪い男が逮捕されたことです。

その男は子供とその母親に虐待をし、衰弱した母親と車に同乗していたところで警察に職務質問されました。

そこからいくつもの余罪が発覚し、逮捕に至りました。

辺見のお姉さんは気付いていないようでしたが、二郎には分かっていました。

辺見のお姉さんも考え方を変えて、眞人を心配しつつも、自身の人生を楽しもうと前向きに語っていました。

眞人は自身が二郎に語ったことを覚えていませんでした。

夢の中の出来事のように断片的な記憶があるだけでした。

その夢を眞人はスケッチブックに描いていました。

猿が竜巻の中で戦っている絵でした。

眞人はその夢を自分だけの夢じゃないと説明しました。

いろんな人の記憶や情報が混ざった夢じゃないかと言いました。

それが五十嵐真に関する出来事の半年後を予言できた原因なのかなと二郎はぼんやりと思いました。

眞人はその予言の力で金儲けをし、借金で困っていた橋爪という老婆を助けていました。

二郎はファミリーレストランを出て、五十嵐と会います。

五十嵐も新たな趣味を見つけ生き生きしていました。

二郎は無力さを感じていた自分自身が変われるような気がしていました。

しがない家電量販店員でもクーラーは売れます。

その売ったクーラーで救われている人はいる、と二郎は思えるようになれました。

SOSの猿 を読んだ読書感想

暴力的衝動に悩まされる眞人少年が西遊記の孫悟空を内から生み出したという話です。

現実と空想が入り混じる話ですが、最後は救いのある終わりでとても良かったです。

話は二郎のパートと孫悟空が語る五十嵐の話が交互に出てくるのですが、その五十嵐の話を眞人がしているというところには驚かされました。

しかも完璧な予言ではなく、細かい間違いがあるところが考えさせられます。

超能力か洞察力なのかというところです。

その部分に関しては答えはありません。

しかし眞人によって救われた人はいるというのが事実です。

二郎もまたその一人だったと思います。

突飛な話ですが、登場人物が優しい人たちばかりなので、現実離れしなすぎてないのが読みやすかった理由かなと思います。

伏線を張ってどんでん返しする伊坂幸太郎作品の中でも異色と言われていますが、とても面白かったです。

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