「下町ロケット ゴースト」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|池井戸潤

「下町ロケット ゴースト」

【ネタバレ有り】下町ロケット ゴースト のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:池井戸潤 2018年7月に小学館から出版

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下町ロケット ゴーストの主要登場人物

佃航平(つくだこうへい)
主人公。宇宙科学開発機構の元研究員で佃製作所の社長。

殿村直弘(とのむらなおひろ)
白水銀行出身の佃製作所経理部長。実家は栃木で300年続く豪農。

島津裕(しまづゆう)
ギアゴーストの副社長。元帝国重工で天才と呼ばれた技術者。

伊丹大(いたみだい)
ギアゴーストの社長。島津を誘い帝国重工を辞めて起業する。本社屋は父親が営んでいた町工場を再利用したため年季が入っている。

神谷修一(かみやしゅういち)
この道で右に出る者はいないと言われる、知財訴訟のプロとして有名な弁護士。佃製作所の顧問弁護士を務めている。

下町ロケット ゴースト の簡単なあらすじ

佃製作所の社長佃は、取引先の上層部が変わりこれまでのような取引が出来なくなると聞かされ焦ります。社内会議でこのままでは赤字に転落する為に何か新しい事業を手掛ける必要があると意見が出て、佃はトラクターのサスペンションを提案します。特にバルブだけならこれまでのノウハウが生かせる為、まずバルブから開発しようと決まります。

下町ロケット ゴースト の起承転結

【起】下町ロケット ゴースト のあらすじ①

窮地に追い込まれた佃製作所

佃製作所の社長佃は、主要な取引先であるヤマタニを訪ねるとトラクター用のエンジン開発をストップして欲しいと言われます。

社長交代により方針が変わり、高性能なエンジンは不要だと言われ計画を見直すことになったそうです。

代わりに安価なダイダロスというメーカーのエンジンに切り替えるそうで、如何にハイスペックでも価格が高い佃製作所のエンジンは不要だと言われてしまいます。

さらに、帝国重工の宇宙航空部長の財前から、帝国重工の経営不振と社長含む上層部の人事異動により宇宙事業が見直されそうだと言われます。

佃製作所はヤマタニ、帝国重工と取引が打ち切られると一気に赤字転落してしまう為、何か新しい事業を生み出す必要に迫られます。

そんな厳しい状況の中、経理部長の殿村は父親が倒れ実家に帰ります。

佃が見舞いに行くと、殿村は実家の農作業を手伝っておりトラクターに乗っていました。

佃はトラクターの動きを見ていて閃き、農作業におけるムラを生み出さない為にはトランスミッションが重要だと気づきます。

これまでエンジンしか製作して来なかった佃製作所て、トランスミッションも製作できるようになれたらと新たな夢を見つけます。

しかしいきなりトランスミッションを作るのはハードルが高く、中の部品のバルブのみ製作しようと言うことになり、ヤマタニへバルブ製作を申し入れます。

ヤマタニでは新規開発のトランスミッションに使う部品ならばコンペなので問題ないと言われますが、これまで内作していたのを外注に出す計画があり外注先に聞いてみて欲しいと言われます。

外注先はギアゴーストというベンチャー企業で、佃が挨拶に伺うと社長の伊丹、副社長の島津という元帝国重工コンビが迎えてくれます。

伊丹は無愛想な職人肌の男、島津は割烹着でも似合いそうなどこにでもいる女性という見た目ですが、二人とも技術者として話がしやすく佃は気に入ります。

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【承】下町ロケット ゴースト のあらすじ②

新たな挑戦

帝国重工の財前は次期社長とされる的場に呼ばれて人事異動の内示を受けます。

財前は未だ計画の途上だと反論するものの、次に打ち上げるロケットを花道に一線を退くことを命じられます。

ギアゴーストの伊丹は大森バルブから新製品もよろしくと言われますが、佃製作所がコンペに参加するので公正に判断すると答えます。

業界最大手の大森バルブは佃製作所など相手にならないと考え、良い物を安価に納めるのでコンペなど止めようと勧めますが伊丹は受け入れません。

佃製作所ではバルブ開発チームとして、リーダー軽部、立花、加納アキが選ばれます。

軽部は口は悪いが実力のある硬派な研究者、立花とアキはガウディ開発という大きな仕事を成功させた経験がありました。

3人が最初に開発したバルブは今まで培ってきた技術の結晶とも言うべきモノで非常にハイスペックの良い物ができます。

しかし、調達の光岡から高コストになり過ぎるとダメ出しが入ります。

再度仕様を検討した立花とアキは、そもそもこんなに高いスペックを求められているのかと考え、要求仕様ギリギリで安価なバルブを開発します。

ギアゴーストは外部研究機関で大森バルブと佃製作所のバルブを試験しデータを比較すると明らかに性能では大森バルブ製が上でした。

ギアゴースト技術部門の堀田と柏田は迷わず大森バルブ製を勧める所見を付けて島津に回しますが、天才島津は迷わず佃製作所を選びます。

佃製作所はこうして新たなビジネスチャンスを掴むことに成功します。

大森バルブは不採用の連絡に憤りますが、知財部長が入手した情報ではギアゴーストは早晩潰れるとの事でした。

ケーマシナリーというサスペンションメーカーが田村・大川法律事務所の中川という悪徳弁護士を味方につけギアゴーストを訴える準備をしていたのでした。

【転】下町ロケット ゴースト のあらすじ③

ギアゴーストの特許権侵害

ケーマシナリーというサスペンション業界最大手のメーカーからギアゴーストに特許権侵害の連絡がありました。

顧問弁護士の末長と共に伊丹が田村・大川法律事務所を訪ねると、主力製品に使われているサスペンションが対象だと言われ、これまでの特許侵害と今後の特許使用料で15億払えと突きつけられます。

伊丹は帰社後島津に相談すると、開発当時に調べた際は問題ありませんでしたが、製品化のタイミングで特許出願されており確かに特許侵害のようでした。

困った伊丹は支援者を探しますが、なかなか見つからず最後の当てだとヤマタニを訪ねると、佃製作所には聞いてみたかと問われます。

伊丹は自分の会社と同規模の中小企業だと思い検討対象外にしていましたが、佃製作所はかつて大企業相手に法廷闘争に勝利したこともある優良企業でした。

佃製作所の顧問弁護士神谷に相談すると、クロスライセンスを狙えないかとアドバイスされます。

ケーマシナリーの製品でギアゴーストの持つ特許が使われていれば交換条件で特許料を安くできるかもしれないと言うもので、まともな弁護士なら当然知っている手法ですが末長からアドバイスが無かったことを神谷は疑問に思います。

ギアゴーストと佃製作所が協力してケーマシナリー製品を調べますが、残念ながら特許使用の箇所は見つかりませんでした。

神谷は伊丹と島津にヒアリングを行ないながら勝利の糸口を探ります。

島津は天才と呼ばれながら古い体質から脱却できない帝国重工では評価されずに総務部へと回され、同じく帝国重工を変えようとして叩き潰され総務部へ左遷された伊丹と共に会社を立ち上げたのでした。

神谷はケーマシナリーが特許を取得したタイミングが良すぎることから、技術流出を疑いますが、伊丹は社員から漏れることは有り得ないと反発します。

末長弁護士についても五年ほどの付き合いがあり伊丹は疑おうとしませんでした。

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【結】下町ロケット ゴースト のあらすじ④

法廷闘争と復讐

別れ際に神谷から渡された封筒には雑誌の切り抜きが入っており、末長とケーマシナリーの担当中川弁護士が仲良く写っていました。

伊丹は驚きますが、それとなく末長に尋ねても中川など知らないと嘘を吐かれます。

田村・大川法律事務所からの帰り、青山という若い弁護士に呼び止められ、ダイダロスという会社が買収に興味を持っていると教えられます。

ダイダロスの社長重田はかつて伊丹が帝国重工時代に取引取り止めにした為に倒産した重田工業元社長でした。

伊丹は自分が恨まれていると思っていましたが、後日重田から呼び出されて帝国重工時代の真実を聞かされます。

伊丹は的場に利用されスケープゴートにされた為に帝国重工で居場所が無くなり、重田は伊丹に同情はしても恨んでなどいないと言います。

憎いのは的場であり、共に戦う気はないかと誘われます。

訴訟では神谷が次々と証拠を提出し、中川を追い詰めていきます。

ケーマシナリーの特許はそもそも既に発表された論文を元にしたもので無効、末長と中川の繋がりと技術情報流出の証拠により逃げ場が無くなり二人は逮捕され、裁判はギアゴーストの完全勝利で幕を閉じます。

殿村は父親が倒れて以降、毎週のように実家の農業を手伝ううちにこのまま三百年の歴史ある田畑を人の手に渡して良いものかと考えていました。

父親は自分の代で終わりだと決めていましたが、思い切って佃製作所を辞職し父親の跡を継ぐ決断をします。

佃はこれまで苦楽を共にしてきた殿村に深く感謝し、辞表を受け取った後社長室で一人涙を流すのでした。

伊丹は重田の誘いを受け、ダイダロス傘下に入って帝国重工に復讐することを誓います。

島津は伊丹に賛同できず、6年間共に歩んできた2人は決別することとなります。

下町ロケット ゴースト を読んだ読書感想

下町ロケットシリーズの3作目で、1、2作目では宇宙開発や医療分野などへの事業展開を行おうとする佃製作所の努力が話の大枠でしたが、今回は佃製作所は半分程度の活躍で残りは帝国重工とギアゴーストの伊丹・島津絡みの話になります。

帝国重工を辞めた後も伊丹は気持ちが整理出来ておらず、そこに重田という同じく帝国重工を恨む者からの誘いがあり、最終的には帝国重工へ復讐すると決める所で話が終わります。

このため次作への繋がりが色濃く残されており、本作と次作が合わさって一つの話になるような印象があります。

天才島津は伊丹と決別してどこへ行くのか、殿村を失った佃製作所は今後どうするのかが次作の見どころになりそうです。

また、佃製作所はせっかくギアゴーストを助けたにも関わらず、ギアゴーストがダイダロスの傘下に入ってしまう為、サスペンション用のバルブ開発が宙に浮いてしまっており今後どうなるのかという所で話が終わっています。

さらにはこれまで世話になっていた帝国重工の財前が異動になり、帝国重工内も人事異動が起こるとどうなっていくのか分かりません。

次の展開がとても気になります。

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