「空飛ぶタイヤ」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|池井戸潤

「空飛ぶタイヤ」

【ネタバレ有り】空飛ぶタイヤ のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:池井戸潤 2006年9月に実業之日本社から出版

空飛ぶタイヤの主要登場人物

赤松 徳郎(あかまつ とくろう)
本作の主人公で父親から引き継いだ運送会社の社長。自社のトラックが死傷者を出すタイヤ脱輪事故を起こし窮地に立たされる。自社の無実を証明すべく、大手企業ホープ自動車相手に戦いを挑む。

沢田 悠太(さわだ ゆうた)
ホープ自動車の販売部カスタマー戦略課長。ホープ自動車の過失を疑い、何度も連絡をよこす赤松を邪険に扱うも、自社のリコール隠しを知り、内部告発に踏み切る。

柚木 妙子(ゆぎ たえこ)
歩道を歩いていた際トラックのタイヤが直撃し死亡。

門田 駿一(かどた しゅんいち)
赤松運送の自動車整備士。脱輪事故を起こしたトラックの整備を担当。

井崎 一亮(いざき かずあき)
東京ホープ銀行 本店営業本部。ホープ自動車の不正融資に嫌気がさしている。

空飛ぶタイヤ の簡単なあらすじ

赤松運送のトラックが走行中に脱輪事故を起こし、歩道を歩いていた主婦ににタイヤが直撃し死亡する事件が起きます。トラックの製造元のホープ自動車の調査によって出された結果は整備不良。赤松運送二代目社長の赤松徳郎は窮地に追い込まれます。一旦は自社の整備不良が原因かと考えた赤松でしたが、担当による詳細な整備日誌をみて、自社に過失はなく、ホープ自動車の車両自体に問題があったのではないかと疑いを持ちます。潔白を証明すべく、巨大企業のホープ自動車を相手に一人奔走する赤松でしたが……。

空飛ぶタイヤ の起承転結

【起】空飛ぶタイヤ のあらすじ①

容疑者 赤松

赤松運送のトラックが走行中に脱輪事故を起こし、歩道を歩いていた親子に直撃、母親の柚木 妙子が死亡、子供が負傷する事件が起きました。

トラックの製造元のホープ自動車の調査によって出された結果は整備不良。

赤松運送二代目社長の赤松徳郎は過失致死の疑いで警察から執拗な取り調べを受けます。

トラック整備を担当していた赤松運送の自動車整備士・門田 駿一は見た目が派手で、社会人らしからぬ外見をしていた為、はじめは自社の整備不良が事故の原因かと落ち込む赤松でしたが、門田の詳細な整備日誌を読み、自社には過失はなく、車両自体に問題があったのではないかと疑いを持ちます。

脱輪事故の調査をしたホープ自動車に再度調査依頼をしますが、一向に応じてもらえません。

事故で社会の信用を失い、マスコミの大々的な報道で世論の風当たりがさらにきつくなります、銀行からの融資は断られ、取引先からも拒絶された赤松運送は倒産の危機に直面していきます。

【承】空飛ぶタイヤ のあらすじ②

闘う決意

ホープ自動車の販売部カスタマー戦略課長・沢田は再三に渡る赤松運送社長の赤松からの連絡に嫌気がさしています。

脱輪事故の原因は整備不良という結果が出ているにもかかわらず、ホープ自動車に問題があったのではないかと疑惑の目を向けてくる赤松のしつこさに辟易し、だんだんと居留守を使うようになっていきます。

沢田にとって赤松はクレーマーの一人に過ぎませんでした。

一方、赤松運送は資金繰りが苦しくなり、取引先や銀行に頭を下げ続けて、どうにか倒産を回避している状態です。

そんな中、事故が原因で学校で息子がいじめられるようになります。

事故の一件以来、強い逆風の中にいる赤松は、家族にまで悪影響を及ぼしていることに心を痛めます。

自身が務めていた小学校のPTA会長を辞任しようとしますが、温かい保護者たちからの声援を受け、脱輪事故の真相を究明する決意を固めます。

そこには父親から引き継いだ会社と社員の生活、そして愛する家族を守ろうと奔走する社長の赤松の姿がありました。

【転】空飛ぶタイヤ のあらすじ③

形勢逆転!?

ホープ自動車の沢田は、社内で極秘に行われていたリコール隠しにまつわるT会議の存在を知ります。

内部告発をすることで、社内で優位にたてるのではと考えた沢田はリコール隠しを週刊誌にリークしようとします。

動きを知った上層部は、以前から沢田が希望していた部署への便宜をはかり、記事のもみ消しをします。

ホープ自動車から相手にされない赤松は独自に調査を開始しました。

脱輪事故の原因とされた部品のハブ返却をホープ自動車へ促す赤松でしたが、一旦却下された後、返却をしない代わりに和解案として一億円の補償金話を持ち掛けられます。

苦しい経営状態が続く中での提案に心は揺れますが、結局赤松はこの提案をつっぱねます。

赤松優勢に思えた矢先、望みの綱だった週刊誌によるホープ自動車のリコール隠し記事が差し止めになります。

そして、遺族から赤松運送に対し高額な慰謝料請求があり、いよいよ経営破綻に歯止めが利かなくなります。

そのころ、東京ホープ銀行 本店営業本部では、ホープ自動車の不正融資に嫌気がさしている井崎が、リコール隠蔽を知り、調査をはじめます。

【結】空飛ぶタイヤ のあらすじ④

正義

赤松は過去に起きたホープ自動車関連の事故にかかわった運送会社を片っ端からまわります。

どの事故も整備不良として処理されており、そのうち、納車してわずか一か月の新車までもが整備不良として処理されていた事実を知ります。

ホープ自動車に警察の調査がはいりますが、T会議資料はすでに破棄され証拠を掴めません。

万事休すかと思われた矢先、商品開発部へ異動した沢田が予想外の行動にでます。

隠滅された資料が保管されていたパソコンを警察に提出したのです。

沢田は念願の商品開発部へ異動しましたが、実態は上司による飼い殺しで、希望していた商品開発はさせてもらえませんでした。

自分の希望を叶えるためにリコール隠しに加担した自分を省みての行動でした。

沢田の協力でホープ自動車の長年に渡るリコール隠しが明るみになり、上層部は逮捕されます。

さんざん不正融資の圧力をかけられていた東京ホープ銀行の井崎もこの結果に胸を撫で下ろします。

赤松運送の潔白は証明され、遺族からの裁判は取り下げられました。

空飛ぶタイヤ を読んだ読書感想

これまで社会派小説は堅苦しいイメージがあり未読でしたが、本作を読んでそのイメージが一新されました。

いきいきとした人物描写に、息詰まる心理戦でぐいぐい引き込まれ、上下巻あっという間に読んでしまいました。

途中、主人公の赤松の不遇さに心苦しくなり、読むのがつらくもなりましたが、最後報われた姿が清々しく、敵対してた沢田のナイスアシストには感動しました。

とはいえ、実際に人が亡くなっているのは事実で、大手企業が隠蔽しようとした実態に腹立たしさを覚えます。

元・系列企業の社員だった池井戸さんが書いただけあって、社内の風通りの悪い描写がリアルでした。

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