【ネタバレ有り】ネバーランド のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:恩田陸 2000年7月に集英社から出版
ネバーランドの主要登場人物
菱川美国(ひしかわよしくに)
高校二年生。松籟館寮生。幼いころに父親の不倫相手に誘拐されてから女性に対し共振を持つようになる。
篠原寛司(しのはらかんじ)
高校二年生。松籟館寮生。家族が離婚調停中で帰りたがらない。美国とは親友で、美国の内心をすぐに見透かす。
依田光浩(よだみつひろ)
高校二年生。松籟館寮生。冷静で堅実な生徒。妾の子で、母親の死後、本妻の家に引き取られ生活をしていた。
瀬戸統(せとおさむ)
高校二年生。松籟館寮生。いつもニコニコしてテンションが高い 天文学者の父親と二人暮らし松籟館に来ては騒動を起こし、謹慎処分を食らったこともある。理系においては天才肌。
ネバーランド の簡単なあらすじ
菱川美国は両親の海外赴任のため、冬休みは帰省せずに松籟館という学生寮で過ごすことを決めます。篠原寛司は離婚調停中の両親と顔を合わせたくないという理由で寮に残り、依田光浩は実家から出るために高校受験をしたので、冬休みは毎年残っています。そこに家が近くの瀬戸統が加わり、四人は告白ゲームを毎晩行ってそれぞれが抱える問題と向き合いながら年の瀬を過ごしていきます。そしてアメリカに引っ越すという統を送り出したときには全員が新たな一歩を踏み出すことになりました。
ネバーランド の起承転結
【起】ネバーランド のあらすじ①
美国は冬休みの間、松籟館という学生寮に残ることを決めました。
一つは親が海外赴任でいないためと友人の篠原寛司も松籟館に残るからでした。
美国は同じように松籟館に残る依田光浩とスーパーに買い出しに行きました。
そこで寛司が残る理由は両親の離婚調停が原因だと聞かされます。
光浩にいたっては帰省したことがありませんでした。
スーパーで晩御飯とクリスマスケーキを買って帰る途中で同じ学校の瀬戸統と会います。
統はひょうきんな性格ながら理系では才能がある珍しい生徒でした。
統は学校近くの家で父親と二人暮らしをしています。
美国はクラスの中でバランスを取るために、関係を突っ込みすぎないようにしていました。
クラスという社会で役割を持って生活をしていました。
しかし三人だけで二週間ともなるとクラスの役割は意味をなさず、新たな関係性で生活していくことになります。
電車の窓から外の景色を見ながら美国はひっそりとこの二週間で何かが変わるような気がしていました。
【承】ネバーランド のあらすじ②
松籟館で夜に統も加わり、四人で告白ゲームをすることになりました。
最初は統でした。
統は自殺を仄めかし、原因は母親の自殺を目撃したことでした。
母親は統の目の前で湯船に電子剃刀を入れて感電死しました。
そんな統が松籟館で朝、目を覚ますと首吊り人形が目の前にありました。
悪質な悪戯だと統は怒りだしました。
しかしその夜には酒に酔って再び松籟館を訪れました。
そこで告白ゲームを続け、次は美国が告白しました。
美国には但馬紘子という恋人がいましたが、美国が一方的に別れを告げていました。
原因は幼いころの誘拐にありました。
父親の不倫相手に一日中連れまわされたことが、心の傷になっていて女性と向き合うことに恐怖を覚えるようになりました。
美国は逃げているだけだと自覚します。
また別の日に夕食の食事の準備をしていると寛司の両親が来訪します。
寛司は怒りをそのまま両親にぶつけました。
決して和解はしませんでしたが、両親との関係性は少しだけ前進しました。
そして告白ゲームは光浩の番になります。
光浩は両親の心中から本妻の家に引き取られ、その家で強姦されたことを告白しました。
その後も何度も本妻と関係を持っていました。
光浩が自室に戻った後、こんなゲームを始めたことを三人は後悔します。
【転】ネバーランド のあらすじ③
統の提案で美国と光浩と寛司は年賀状を書こうという話になります。
寛司は両親に、光浩は中学時代に世話になった先生に、美国は前の恋人である但馬に書くことにします。
昨年に但馬から年賀状が届いたときの興奮を美国は忘れられていませんでした。
嫌いになったわけではなく単に逃げただけだったと自覚します。
しかしそれでは但馬にも悪いということで向き合うために年賀状を書くことを決心しました。
寛司も離婚調停中の両親にしっかりと思いを説明したわけではありません。
だからこの年賀状でそれを伝えようとします。
光浩は中学時代の担任から毎年年賀状を貰っていました。
心配されていることに感謝しつつも返す余裕がなかったのです。
光浩はしぶしぶ年賀状を書くことを受け入れます。
三人で年賀状を投函した帰りに統の父親と美国たちは会いました。
統の父親はアメリカ行きの航空券を渡すようにと頼んできました。
松籟館に戻り、統に聞くと年明けからアメリカに住むと宣言します。
学校は休学扱いになります。
そこで統の壮行会として四人はたらふく酒盛りをします。
そこで初日に起きた首吊り人形の悪戯の話になります。
結局、人形は寛司が作り、吊るされた状態になっていたのは偶然という話に落ち着きました。
【結】ネバーランド のあらすじ④
三人は松籟館の大掃除をした後に、アメリカに向かう前の統と四人で記念撮影をしました。
夜ご飯の買い物担当を光浩と統が、美国と寛司は残りの掃除を行いました。
そこに島田という弁護士が現れます。
島田は光浩を探していました。
二人は買い出しから帰ってくるまで松籟館で待つように勧めます。
島田は光浩のことを特に気にかけていた様子でした。
暫くして光浩と統が戻ってきます。
島田を見て光浩は驚きました。
島田は光浩の父親の会社の顧問弁護士をしている人です。
島田は本妻である敬子の手紙を持ってきました。
敬子は病気で亡くなっており、手紙は彼女から光浩に当てた遺言でした。
そこには短くも敬子の思いがしたためられていました。
島田は光浩が強姦されていたことを知っていました。
それでも敬子が父親を本当に愛していたんだと弁明します。
光浩は混乱をしていました。
松籟館から走り出します。
美国たちは行方を捜しました。
光浩は川べりに座っていました。
時間が経ち落ち着いた光浩には自身を縛るものがなくなったことに対する明るさがにじみ出ていました。
いつか墓参りにも行けそうな気がすると光浩は三人に告げました。
四人での帰り道で美国は一人、但馬と会って話をしようと決心しました。
理解してもらえるかは分からないが、話せるとこまで話してみようと思いました。
ネバーランド を読んだ読書感想
四人の生徒たちがそれぞれに抱える葛藤がありありと書かれていてすぐに読むことができました。
特に光浩の話は深刻で、暗い気持ちになりました。
ラストは救いがあるように思えましたが、完璧な救いではありません。
それでも救われたように思えるのはやはり光浩がそれだけ大人だったからだと思います。
そんな光浩に周りの大人たちが甘えているようにも見えました。
主人公は恐らく美国なのでしょうが、光浩に比べると影が薄いようにも思えました。
悩みもそれほど重くなく、周りの仲間たちに流されているようにも思えました。
寛司は気の付いた言葉で元気づけたり、解決を促したりしています。
統も光浩もそれぞれが支えあって葛藤を解決していました。
しかし美国だけはただおろおろしているだけのようにも見えました。
主人公は光浩の小説のような気がします。
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