「騎士団長殺し」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|村上春樹

騎士団長殺し(村上春樹)

【ネタバレ有り】騎士団長殺し のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:村上春樹 2017年2月に新潮社から出版

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騎士団長殺しの主要登場人物

私(わたし)
物語の語り手。肖像画家の他に絵画教室でアルバイトをする。妻の柚と別れたばかり。

雨田政彦(あまだまさひこ)
私の美大生の頃の同級生。グラフィックデザイナー

雨田具彦(あまだともひこ)
政彦の父で日本画家。現在は伊豆の養護施設で療養中。

免色渉(めんしきわたる)
IT関連の起業家。

秋川まりえ(あきかわまりえ)
私の絵画教室の生徒。

騎士団長殺し の簡単なあらすじ

妻と別れた後に車で当て所なく放浪を続けていた「私」は、友人の雨田政彦から小田原市内の山荘を紹介されます。彼の父は高名な日本画家で、家の中で私が発見したのは「騎士団長殺し」というタイトルの1枚の絵です。人里離れた山の中で次から次へと不可思議な出来事に巻き込まれていく私の前に、遂には実体化した騎士団長が現れるのでした。

騎士団長殺し の起承転結

【起】騎士団長殺し のあらすじ①

ウィーンの日本画と夜の祠に鳴り響く鈴の音

妻の柚から別れを切り出された肖像画家の私は、家を出て東北地方から北海道を当て所なくドライブしていました。

車が壊れて旅の終わりを迎えた頃、美大時代の友人・雨田政彦から小田原市郊外にあるアトリエ兼住居を紹介されます。

元々は政彦の父親に当たる日本画家・具彦の仕事場でしたが、彼が認知症で入院した後は誰も住んでいません。

引っ越しをして新しい生活を始めた私がある時に屋根裏で見つけたのは、「騎士団長殺し」という名の絵です。

第二次大戦中にウィーンにいた具彦が、モーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」を飛鳥時代にアレンジした奇妙な日本画でした。

数週間は自分の絵を描くことなく「騎士団長殺し」を眺めていた私は、ITビジネスで財を成しだ免色渉から肖像画の制作を依頼されます。

肖像画に取り掛かったある日の夜、私が聞いたのは敷地内の祠で鳴る鈴の音色です。

祠は巨大な石で塞がれているために、政彦の許可を得てから造園業者に撤去してもらいました。

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【承】騎士団長殺し のあらすじ②

目の前に現れた騎士団長と完成した肖像画

石室になった地下には小さな鈴が落ちていて、鈴を除去した後はあの音は聞こえてきません。

肖像画を完成させた私は、山向こうのお屋敷に住んでいる免色から食事に招待されました。

出掛ける準備をしていた私は居間のソファーで、身長60センチくらいで白装束に長剣を帯びた「騎士団長」を見つけます。

騎士団長の話による今は具彦の絵の姿を借りているだけで、その正体は思念を実体化できる「イデア」だそうです。

祠を塞いでいた石の撤去費用を出してくれた免色にお礼が言いたいという騎士団長を連れていきますが、彼にはその姿は見えません。

食事の後に免色は、自らの過去を打ち明けました。

かつて愛した女性が別の男性と結婚するために去っていったこと、別れ際に愛し合って妊娠した彼女は免色の子供を夫との子供として育てたこと、間もなく彼女が事故死して子供は叔母に引き取られたこと。

肖像画だけでは食べていけない私は、週2回絵画教室で講師をしています。

中学生になった免色の娘・秋川まりえはそこの生徒で、今度は彼女の肖像画を描くことを依頼されました。

【転】騎士団長殺し のあらすじ③

行方不明になったまりえを探してメタファーを冒険する

まりえの肖像画が出来上がってきた金曜日、彼女の叔母から電話がかかってきました。

朝家を出た後にまりえは学校にも登校せず、携帯も繋がりません。

私が助けを求めたのは、いつの間にか窓辺に腰掛けている騎士団長です。

土曜日の午前中に電話がかかってくる、どんな事情があろうとその電話を断ってはいけない。

謎めいたヒントを残して、騎士団長は消えてしまいます。

次の日の電話の主は政彦で、父親のお見舞いに伊豆の療養所まで誘われました。

病室に着いた私が次に与えられた試練は、騎士団長を殺すことです。私が包丁で刺すと騎士団長の姿をしたイデアは死んで、私はメタファーという全てが「みたいなもの」で造られた不思議な世界に迷い込みました。メタファーを抜けた先は騎士団長が閉じ込められていた石室で、私が必死で鈴を鳴らしていると免色が助けに来てくれます。土曜日の午後に私が具彦の入院先から消えてから3日が過ぎていましたが、まりえは無事に保護されました。

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【結】騎士団長殺し のあらすじ④

燃える騎士団長と新しい生命

私が久しぶりに柚と会った時には、彼女は妊娠7ヶ月でした。7ヶ月前というと長いひとり旅で東北の山間部を放浪していたため、生物学的には私の子供であるはずがありません。

しかし私は再び柚と夫婦としてやり直し、父親のはっきりしない子供をふたりで育て上げていきます。柚は出産予定日の少し前に夢の中で白い紙に書かれていた文字を見て、産まれてきた娘に「室」という名前をつけました。 私は以前仕事をしいた東京のエージェントに頼んで、家族を養うために営業用の肖像画を描き続けることにします。

私がかつて住んでいた小田原の家が火事で焼け落ちたのは、東北で巨大な地震の会った2ヶ月後です。絵画「騎士団長殺し」は雨田具彦の残した最高傑作でしたが、多くの人の目に触れることなくこの世界から永遠に消え失せてしまいました。

何も知らずに東京の自宅でぐっすりと眠る室は騎士団長からの贈りものであり、私は彼女と共にこれからの人生を生きることを決意するのでした。

騎士団長殺し を読んだ読書感想

ありきたりな夫婦の別れ話から幕を開けていき、予測不能に展開していく物語の行方に引き込まれていきました。

「イデア」や「メタファー」といった形のないものに、人格を与えたり映像化してみたりと自由奔放な村上春樹の想像力には圧倒されます。

日本の美術界を揺るがすほどの未発表絵画「騎士団長殺し」と、しがない肖像画家との出会いのシーンが印象深かったです。

多くの謎が込められた絵が世間に広く公表されることなく、人知れずに灰塵に帰していく火事のシーンが痛切でした。

絵の消失と引き換えに妻との絆を取り戻した主人公が、新しく誕生した娘と生きていくラストが感動的です。

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