人質カノン(宮部みゆき)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

人質カノン(宮部みゆき)

【ネタバレ有り】人質カノン のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:宮部みゆき 1996年1月に文藝春秋から出版

人質カノンの主要登場人物

遠山逸子(とおやまいつこ)
ヒロイン。実家を出て都内で独り暮らしをするOL。

川田聡美(かわださとみ)
逸子の同僚。

佐々木修一(ささきしゅういち)
自動車修理工。現在は行方不明で警察が捜索中。

今井(いまい)
主婦。認知症の義父の面倒を見る。

人質カノン の簡単なあらすじ

会社の飲み会ですっかり遅くなった夜の帰り道、遠山逸子は近所のコンビニ「QアンドA」に立ち寄ります。店内にはスナック菓子を選んでいるサラリーマンと、夜食を買いに来た男の子とレジの店員がいるだけです。フルフェイスのヘルメットを被り拳銃を持った男の闖入によって、突如として逸子は強盗事件の人質となってしまうのでした。

人質カノン の起承転結

【起】人質カノン のあらすじ①

何時ものコンビニで起きた思わぬ事件

遠山逸子は総務課の同僚・川田聡美たちとの忘年会の後で、駅から自宅までの道のりを歩いていました。

牛乳とトイレットペーパーが切れていることを思い出しましたが、時刻は既に午前1時過ぎで24時間営業のコンビニくらいしか開いていません。

「QアンドA」という弱小チェーン店は、逸子もしばしば利用しますがいつ行っても店内はお客さんが少ないです。

レジにいるアルバイト学生、スナック菓子の棚の前で微動だにしないサラリーマン、サンドイッチコーナーに居るメガネをかけた少年。

今夜も3人しかいない店内で買い物をしていると、フルフェイスのヘルメットを着用した男が駆け込んできます。

男は右手に握りしめた拳銃を天井の防犯ミラーに向けて発射したために、辺り一面は粉々に砕け散った鏡の破片でいっぱいです。

逸子はサラリーマンと少年と一緒にカウンターの内側に連れ込まれる直前に、男の尻ポケットに赤ちゃんをあやすガラガラが入っているのを目撃しました。

【承】人質カノン のあらすじ②

人質となった3人のそれぞれの事情

男は店員に銃を突き付けて奥の事務所に連れていき、電話線を引っこ抜いてお店のブレーカーを落としてしまいました。

靴も取り上げられた逸子たちは、真っ暗闇で鏡の散らばった床の上を裸足で逃げ出す訳にはいきません。

サラリーマンは30年もの間勤め先で営業職として頑張ってきましたが、今日出向という名目でリストラされたばかりです。

自分がコンビニ強盗に射殺されれば生命保険でローンの残りが完済出来ると、すっかり自暴自棄になっています。

メガネの少年は仕事一筋の父親と看護師の夜勤が忙しい母親に構ってもらえないようで、よくこのコンビニに夜食を買いに来るようです。

逸子は今自分が死んだとしても仕事は聡美引き継いでくれるために、誰も困るわけではないことを痛感してしまいました。

1時間ほど経っても犯人も店員も戻ってこないために、逸子は事務所に様子を見に行きます。

そこにはガムテープで猿ぐつわをされた店員と、空になった金庫とガラガラが落ちているだけです。

【転】人質カノン のあらすじ③

疑惑の重要参考人の意外な素顔

事件から1週間ほどは警察の事情聴取があるために、逸子は会社を休むことになりました。

警察が重要参考人として隣町のオートガレージに勤務する佐々木修一という男の行方を追っていること、以前からヘルメット姿でQアンドAを利用していたこと、ここ1か月ほどは何時もポケットにガラガラを入れていたこと。

刑事たちは詳しい事情を教えてくれないために、逸子は直接現場に足を運んで情報を集めていきます。

そんな中で出会ったのは、同じ町内に住む今井さんです。

半年ほど前に徘徊癖のある彼女の義理の父親が居なくなってしまった時に、逸子も一緒になって探したことがあります。

今井さんの話では、義父はお気に入りのガラガラをつい最近無くしてしまって落ち込んでいるようです。

その時に見ず知らずのバイクに乗った青年が、ガラガラを見つけるのを手伝ってくれました。

今井さんは義父から目が離せないためにテレビを見ることもなく、佐々木修一が重要参考人になっていることも知りません。

【結】人質カノン のあらすじ④

事件の結末と持ち主に返されたガラガラ

真犯人が逮捕されたのはそれから3日後のことで、19歳のフリーターで事件発生直前にQアンドAを退職しています。

彼の自白に従って発見されたのは、秩父の山中に埋められた佐々木修一の遺体です。

佐々木を始末した後に例のガラガラを手に入れて、ヘルメットで顔を隠して強盗を決行する。

事件当日にレジにいた店員はこの小細工に引っ掛かったようですが、警察はそう簡単に騙せません。

佐々木修一を重要参考人として手配したのも、犯人を炙り出すための作品でした。

もしも佐々木修一が今井さんの義父を覚えていなければ、彼のお気に入りのガラガラを拾わなければ、拾ったガラガラを今度会った時に返そうと考えなければ。

逸子は親切な青年が理不尽な殺され方をしたことを思い出すのが辛いため、2度とQアンドAを訪れることはありません。

駅前のターミナルでバスを待つ今井さんの義父の手には、警察から返してもらい佐々木修一の形見となってしまったガラガラが握られているのでした。

人質カノン を読んだ読書感想

深夜の気だるいムードが漂っているコンビニの店内から、一気に加速していく強盗事件に引き込まれていきました。

OL・サラリーマン・少年と、偶然に居合わせてしまった3人に不思議な一体感が芽生え始めていく展開も面白かったです。

カウンターの内側に連れていかれた3人が、それぞれの身の上話をを打ち明けるシーンも心に残ります。

ヒロインの遠山逸子が、「あたしが今ここで撃ち殺されたとしても、べつに誰も困るわけじゃない」と考えてしまう場面が切ないです。

お互いが無関心になっていく都会の中で、思いやりの心を持った青年が殺害されてしまう事件の顛末に憤りを感じました。

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