神様のカルテ3(夏川草介)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

神様のカルテ3(夏川草介)

【ネタバレ有り】神様のカルテ3 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:夏川草介 2012年8月に小学館から出版

神様のカルテ3の主要登場人物

栗原一止(くりはらいちと)
本作の主人公。地域の基幹である本庄病院の消化器内科医。妻の榛名とともに御嶽荘というシェアハウスに住んでいる。読書を好み、特に夏目漱石を敬愛している。そのためか普段から口調が古風。

栗原榛名(くりはらはるな)
栗原一止の妻。幼い頃に両親をなくし孤独の身であったが、御嶽荘を訪れたことをきっかけに一止と出会い結婚する。山岳写真家。

進藤辰也(しんどうたつや)
栗原の同級生。本庄病院の血液内科医。大学卒業後東京の第一線の病院に就職したが、事情があり実家のあるこの信州に娘を連れて帰ってきた。

砂山次郎(すなやまじろう)
栗原の同級生。本庄病院の外科医。看護師の水無と付き合っている。

小幡奈美(おばたなみ)
北海道の有名消化器内科から本庄病院に赴任してきた消化器内科医。キャリア12年目のベテラン女性医師。

神様のカルテ3 の簡単なあらすじ

医学部を卒業し医師となって6年が経った栗原たちが、さまざまな事情を抱えた患者や仲間と向き合っていくなかで、忙しい毎日に紛れてしまいがちな医師としての職責や本来目指すべき姿勢を再確認する。医学部の同期が3人も同じ病院で働けると喜んだのも束の間、3人それぞれがそれぞれの向かうべき道へ一歩を進める。

神様のカルテ3 の起承転結

【起】神様のカルテ3 のあらすじ①

支えになるもの

栗原一止は、本庄病院という一般診療から救急診療まで受け入れる地域の基幹病院に勤める消化器内科医です。

日々の外来や緊急対応に追われているうちに、研修医時代から勤める本庄病院での勤務も6年目を迎えていました。

ある土曜の夕方、上司の計らいにより貴重な休息を得て妻や友人との時間を過ごしていたのも束の間、病院からの緊急の呼び出しを受け、妻が入れた名品のコーヒーを一気に飲み干すと多忙な日常に戻っていくのでした。

病院へ駆けつけると救急部はすでに『引きの栗原』と本人以外のスタッフが恐れる大わらわの状況になっており、ついに一睡もできないまま朝を迎えることになりました。

そしてまた新しい1日が始まり、その日の晩は地域の神社で行われる天神祭りという夏祭りの晩でした。

年に1度のこの夏祭りだけが息子に会えるチャンスであるアル中患者が病院を抜け出すトラブルなど、夏祭りにまつわる院内でのさまざまな出来事から、気づくと天神祭りはまもなく終了の時刻となっていました。

妻の榛名ともに天神祭りに行くことが叶わず、落胆しながら電話で詫びの言葉を伝えた栗原。

その時に榛名が栗原にかけた気遣いの言葉と、同じ空に広がった大輪の花火を離れた場所からでも一緒に見ることができたことが、くたびれた栗原の心を温めてくれたのでした。

【承】神様のカルテ3 のあらすじ②

北を示す羅針盤

栗原たち本庄病院の医師はある旅館に集まり、この9月から消化器内科に赴任してきた医師と、4月から赴任していた血液内科医の進藤の歓迎会に参加していました。

副部長の内藤先生が亡くなってから約半年が経った頃のことでした。

栗原と進藤が酒杯を傾けていると、今夜の主賓である消化器内科医の小幡が挨拶に訪れます。

酌をしようとする栗原にアルコールはダメだと断りを入れながら小幡は、研修医時代の指導医が部長である板垣先生であったことを明かし、キャリアが小幡の半分ほどである栗原のことを『信州のゴッドハンド同士』であると語りました。

ベテランにもかかわらず人当たりがよく、快活な雰囲気やゆったりとした挙措の中にも凛と筋の通ったところがある、それが進藤と栗原が感じた小幡への印象でした。

その後進藤を相手に散々献酬し夜半に床についた栗原は、緊急の患者対応で朝の3時に病院に呼び出されるのでした。

その晩に栗原が病院に呼び出されるきっかけとなった患者は、度重なる過度の飲酒により吐血した36歳男性で、主任看護師である東西がかつて高校時代に想いを寄せていた音楽教師でした。

東西が看護師という職を選ぶきっかけになったその男性の現在の体たらくに東西は大きなショックを受け、患者である彼を叱りつけてしまいます。

『芸術家とはいかなる嵐の中でも常に北を示し続ける羅針盤』だという男性の言葉から『どんな向かい風の中でも絶対に進み続け』てきた東西の想いを知った男性は、転科して適切な治療を受ける決意をし、東西の看護師という職務に対する決心も揺らぐことはありませんでした。

その頃栗原が住む御嶽荘には、研究で屋久島に出かけていた通称屋久杉君が数ヶ月ぶりに帰ってきていました。

大学入学当初、学びたいことも見つけられずに無気力学生だった頃の屋久杉君はもうおらず、進むべき方向を見定め前に進もうとする青年の姿に栗原は胸を打たれたのでした。

【転】神様のカルテ3 のあらすじ③

生きることの覚悟

副部長先生がいなくなりすっかり活気を失っていた消化器内科でしたが、小幡の加入により空気が大きく変化しつつありました。

病棟や当直の業務にも隙がなく、日中の診療が終われば自らの勉強や論文作成にも手を抜かない、そういった好意的な評価がある一方で、当初の評判とは異なる評価をするようになった者もいました。

栗原もその1人で、小幡が当直である晩にたまたま見かけた症例から、小幡が意図を持って患者を選別しているのではという疑念を持ち本人にぶつけたところ、栗原と自分では目的とする世界が違う、栗原に自分のやり方を理解することはできないと憫笑されてしまいます。

生きることに真摯である患者に対しては手厚い治療を施し、生きることを舐めきっているような人間は、医者であろうと患者であろうと時間を費やす価値はないというのが、小幡の考えでした。

医者という仕事は無知であることがすなわち悪なのだとはっきり言い切る小幡には、そう決意するだけのある辛い経験がありました。

栗原がそれを知るのはさらに後のことですが、小幡が語るその経験は、栗原が本庄病院を去って新しい世界に一歩を踏みだす大きなきっかけのとなるのでした。

【結】神様のカルテ3 のあらすじ④

栗原の決意

信州に例年より少し早めの初雪が待った12月初旬、栗原の同期である外科医の砂山が本庄病院を去り、翌年1月から大学に異動することになりました。

医局の人事ではこのような急な話は珍しくなく、時間がない中でもささやかな送別会をと進藤が企画し、風呂に行こうと言い出しました。

かつて学生時代に世話になった女将が居る気心の知れた湯屋で、3人は名湯に浸かりながら美酒を傾け、語り合いました。

砂山の異動まであとわずかという頃、救急部では医者と看護師の信頼関係が危うくなるような騒動が起きていました。

研究や論文を優先し患者と向き合う時間をないがしろにしているように見える小幡に救急部の看護師長である外村が進言をし、正面衝突したのでした。

栗原が間に入ることで小幡と外村のあいだの軋轢は解けたものの、小幡の目元には常にない疲労感が漂っており、そのような働き方をしていることにはなにか理由があると栗原は思うのでした。

その年の大晦日、松本平は吹雪に見舞われ救急外来はいつになく不思議な静けさの中にありました。

当直であった栗原は、誰もいないと踏んでいた医局の奥で、患者の回復を祝って1人缶ビールを開けていた小幡を見つけます。

小幡から語られる辛い過去の後悔や板垣先生の元に戻ってきた理由を聞くにつれ、栗原は医師として自分に不足している知識や技術を補うべく、本庄病院を出て大学で学ぶ決意を固めたのでした。

神様のカルテ3 を読んだ読書感想

作者は実際に地域医療に携わる医師なので、現場の緊迫したシーンの描写や、リアルな人手不足で疲弊している医療スタッフの現場などがよく伝わってくる作品でした。

そんな中でも初志を忘れずに学び続ける医師という仕事はまさに聖職とも思えるが、本作の中では医師であっても1人の人間、仕事にもプライベートにも悩みがあったり大切な家族が居たり、そういった物を横に避けてまで職務にあたっているというのが現状なのだなと読み取りました。

また、栗原には進藤・砂山のような学生時代から苦労をともにした友人がいることや、小幡・外村・東西のような厳しくも互いを尊重し合う仲間がいることを、とてもうらやましく思いました。

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