童話「てぶくろをかいに」のあらすじと結末を全編解説

童話「てぶくろをかいに」

【ネタバレ有り】てぶくろをかいに のあらすじを起承転結で紹介

さるのキモの主要登場人物

子ぎつね(こぎつね)
銀ぎつねのこども。まだ、人間の暮らす町へ行ったことがない。

母さんぎつね(かあさんぎつね)
銀ぎつねのお母さん。昔、町で人間に追いかけられ、怖い思いをしたことがある。

ぼうしやさん
てぶくろを売っているお店のおじさん

てぶくろをかいに の簡単なあらすじ

銀ぎつねの親子は、ある冬の夜、町へてぶくろを買いに行くことにしました。しかし、昔、人間に怖い目にあわされた母さんぎつねは、足がすくんで動けなくなってしまいました。そこで母さんぎつねは、子ぎつねの手を人間の手に変えてやり、子ぎつね一人で買いに行かせます。お店につくと、子ぎつねは、うっかり、きつねの方の手を差し出してしまいましたが、ちゃんとてぶくろを売ってもらえたのでした。

てぶくろをかいに の起承転結

【起】てぶくろをかいに のあらすじ①

はじめての雪

ある寒い冬の朝、ほらあなから子ぎつねが出ようとしましたが、「あっ」と叫んで、目を抑えながら母さんぎつねのところへ転げていきました。

「かあちゃん。

めになにかがささったよ。

はやくぬいてちょうだい」と言いました。

 母さんぎつねはびっくりして、あわてて、目を抑えているこどもの手を取りのけて見ましたが、何もささってはいませんでした。

 母さんぎつねは外へ出て、はじめて訳が分かりました。

 昨夜のうちに真っ白な雪がどっさり降り、その上からおひさまがきらきらと照らしていたのです。

雪を知らない子ぎつねは、あまりに強い反射を受けて、目に何かがささったと思ったのでした。

 子ぎつねは、ふわふわの雪の上を大喜びでかけまわって遊びました。

まもなく、帰って来た子ぎつねは、「かあちゃん、おててがつめたい、おててがちんちんする」と言って、濡れて赤くなった手を、母さんぎつねに見せました。

母さんぎつねは、その手に息を吹きかけて、温かな手で包んでやりながら、「もうすぐ、あたたかくなるよ」と言いましたが、かわいいぼうやの手にしもやけができないか心配になりました。

そして、夜になったら、町へ出て、ぼうやの手に合うような、毛糸のてぶくろを買ってやろうと思いました。

【承】てぶくろをかいに のあらすじ②

町の灯

その夜、親子の銀ぎつねは、ほらあなから出ました。

子ぎつねは、目をぱちぱちさせながら、あちこち見ながら歩きました。

 やがて、子ぎつねは小さな明かりが見つけると、「かあちゃん、おほしさまは、あんなところにおちているのねえ」と、聞きました。

「あれは、町の灯よ」と言うと、母さんぎつねの足はすくんでしまいました。

 母さんぎつねは、昔、悪さをしたおともだちと、お百姓さんに追いかけられて、命からがら逃げてきたことを思い出していたのです。

【転】てぶくろをかいに のあらすじ③

ぼうやひとりで

「かあちゃん、はやくいこうよ」と子ぎつねが言うのですが、どうしても、母さんぎつねは足が進みません。

仕方なしに、ぼうや一人で行かせることにしました。

「ぼうや、おててをお出し」と母さんぎつねは言いました。

 その手を、しばらくにぎると、かわいい人間のこどもの手になりました。

「いいかい、ぼうや。

それは、人間の手だよ。

町へ行ったら、丸いぼうしの看板をさがすんだよ。

それから、その家の戸をとんとんとたたいて、こんばんはっていうんだ。

そうしたら、中から戸を開けてくれるから、その隙間から、こっちの人間の手を出して、この手に合うてぶくろちょうだいっていうんだよ。

こっちのおてては、決して、出しちゃだめだよ」と母さんぎつねが言うと、持ってきた二つのお金を人間の手のほうへ、にぎらせました。

【結】てぶくろをかいに のあらすじ④

にんげんはこわくない

 子ぎつねは、町の灯を目当てに、よちよちやってきました。

やっと、ぼうしの看板を見つけると、教えられたとおり、トントンと戸をたたきました。

「こんばんは」 すると、中から戸が開きました。

 子ぎつねは、母さんぎつねが出しちゃいけないと言った方の手を差し込んんで、「このおててに、ちょうどいいてぶくろください」と言いました。

 ぼうしやさんは、きつねの手を見て驚きながら、木の葉で買いに来たんだなと思いました。

そこで、「先にお金をください」と言いました。

  子ぎつねは、にぎっていたお金を二つ、ぼうしやさんに渡しました。

 ぼうしやさんは、それをかち合わせてみると、チンチンと良い音がしたので、本当のお金だと思い、こども用のてぶくろを手に持たせてやりました。

 子ぎつねは、お礼を言って、また、もと来た道を帰り始めました。

「にんげんはちっともおそろしくないや。

だって、ぼくのてを見ても、どうもしなかったもの」と思いました。

帰り道、人間のお母さんの優しい子守歌が聞こえてくると、子ぎつねは、早く母さんぎつねに会いたくなって、はしっていきました。

 心配していた母さんぎつねは、ぼうやが来ると、泣きたいほど喜んで、抱きしめました。

「かあちゃん、にんげんって、ちっともこわかないや。

ぼく、まちがえて、きつねのおててを出したけど、ちゃんと、てぶくろくれたもの」と言って、てぶくろをした手をパンパンやって見せました。

「まあ!」と母さんぎつねはあきれましたが、「ほんとうに、人間はいいものかしら…」とつぶやきました。

てぶくろをかいに を読んだ読書感想

これは、『ごんぎつねの』新見南吉の作品です。

今から、30年以上前、国語の教科書で初めて読みました。

「おててがちんちんする」という表現が非常に印象的だったのを、今でも覚えています。

銀ぎつね親子の優しいやりとりに、寒い冬が舞台の物語でも、胸が温かくなります。

子ぎつねのはじめてのおつかいに「にんげんよ、いじわるをしないで」と、ドキドキしながら読み進めました。

そして、ぼうしやさんの振る舞いや、帰り道で聞こえた、あたたかな人間親子の会話をうれしく思い…。

動物も人間も同じように愛情あふれた生き物であることを再確認しました。

「にんげんはおっかなくない」という子ぎつねの言葉が本当であってほしいと、自然の中での私たち人間の立場も考えさせられる作品でした。

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