著者:中山七里 2020年6月に祥伝社から出版
ヒポクラテスの試練の主要登場人物
栂野 真琴(つがの まこと)
主人公。浦和医大に勤める、最近は師である光崎に似てきたと周りに言われている。
光崎 藤次郎(みつざき とうじろう)
法医学界では名高い権威だが性格はかなり偏屈で皮肉屋
キャシー ペンドルトン(きゃしー ぺんどるとん)
コロンビア医大で光崎を知り感銘を受け憧れ日本へやってきた。解剖好きで空気が読めない。
古手川 和也(こてがわ かずや)
埼玉県警捜査一課の刑事でなにかそれと光崎から無理難題を押し付けられる。
渡瀬(わたせ)
今回の変死の真相を突き止めるために協力を光崎から要請され古手川をその担当に抜擢する
ヒポクラテスの試練 の簡単なあらすじ
肝臓がんで死んだ前都議会議員の司法解剖の依頼を受けた光崎。
古手川は毒殺の疑いをもち捜査をしているのだったが、解剖した光崎はそれとは別の死因を発見するだった。
それはなんと突然変異をした寄生虫エキノコックスであった。
ヒポクラテスの試練 の起承転結
【起】ヒポクラテスの試練 のあらすじ①
浦和医大、光崎 藤次郎のもとに埼玉県警からとある肝臓がんで亡くなった男の司法解剖を依頼される。
その男は前都議会議員でありある日突然癌を患い急死したということだった。
しかし捜査をするなか埼玉県警の刑事古手川は毒殺を疑っていた。
しかし、その遺体を解剖した光崎は別の死因を発見するのであった。
爛れた肝臓に隠れ人間の体の中で蠢いていた恐ろしい異物がそこにはあった。
それは誰もが一度は名を聞いたことがあるであろう寄生虫、エキノコックスであった。
しかし、エキノコックスは通常感染してから人を死にいたしめるまで長く、死ぬまでにかならずなにか自覚症状があるものである。
しかし前都議会員であるこの男を蝕んでいたであろうそのエキノコックスは今だ成体にはなっていない幼虫であった。
その現状に動揺と恐怖を隠せない栂野真琴であった。
光崎はその寄生虫を保存するとこの寄生虫が今までにはいなっかった突然変異のものであると同時に発生源を突き止めねばパンデミックの恐れがあると感じるのであった
【承】ヒポクラテスの試練 のあらすじ②
突然変異によって自覚症状がないまま突然悶絶するような苦痛を患者に与えて急死させるこのエキノコックスに疾患しているもの、その発生源をつきとめるために光崎は埼玉県警に協力を要請するのであった。
そして渡瀬からその役目に抜擢された古手川は前都議会議員以外にも突然変異種のエキノコックスに寄生されている恐れのある人間を数人見つけ出した。
その人間は現在も議員として活動している人間たちであった。
捜査進める古手川はあるアメリカへの視察がこの男たちの共通することであるということに気づく。
そしてエキノコックスがどういった経緯で人体に入ったのかを解明するため古手川と栂野はそのことを議員たちのもとを訪ねるであった。
しかし、なぜかどの都議もその視察の話になると口を一文字にし語ることを拒否したのである。
いくら古手川が問い詰めようが栂野がエキノコックスの危険性を諭そうがけして議員達はそのことだけは語ろうとせず、これになにか決定的な疑惑を二人は感じたのであった。
【転】ヒポクラテスの試練 のあらすじ③
NY視察まではつきとめた栂野達はなんとしてでも発生源をつきとめるべく議員たちが行ったNYの視察場所へ赴くことにしたのでった。
幸いとそのなかにあった司法解剖施設で所長を担当者はキャシーの旧友でもあったことからどうにか調査にこぎつけるのであった。
そしてその施設でも前任の所長が日本の前都議委員のように肝臓がんの急変によって亡くなっていたことを聞く。
これで感染先はNY視察に訪れたどこかであることを確信する栂野とキャシーであった。
しかし自由の国と呼ばれるアメリカの影に隠された格差やヘイトスピーチそしてそんな中で生きてきたキャシーの生い立ちを知り動揺する栂野であったが、二人は都議たちが視察にきたさいに訪れたとあるレストランをつきとめそこへ訪れたのだがそこは高級レストランで都議たちが訪れた時期は生野菜は提供していなかったことを供述する、ここまできたのにまた振り出しに戻ってしまうのかと茫然とする二人にレストランの従業員の女性があることを教えてくれた。
それは都議たちはレストランの食事後にとある場所へ行くと話しているのを聞いたという。
だが、その場所はなんと大規模な売春宿であった。
【結】ヒポクラテスの試練 のあらすじ④
売春宿を訪れていたことを聞いた二人は都議たちがなぜあそこまで口をつぐむのかをこれで納得するのであった。
税金で行う視察先で売春行為というなればそれはとんだスキャンダルである。
都議たちの呆れた行動に憤りを感じる栂野たちはそこへ向かおうとしたがその売春宿はすでに摘発されもう無くなっているいることがわかる。
だが二人はどうにか過去そこで働いていた女性を見つけ、そこからその宿ではコリアン料理が提供されておりその中には犬料理もあることを知る。
それを聞いた二人は確信のもとCDC(アメリカ疾病予防管理センター)の男とともにその犬肉を下す業者のもとを訪ねた。
そこで栂野達が目にしたのは衛生的管理とは程遠い劣悪な環境で檻に入れられている犬の姿であった。
それを一目みて気づくのである。
そこにいる犬たちがけして食用ではないということを。
このことからエキノコックスの感染元をつきとめることに成功したのであったがキャシーは調査の中あることに気づくのであった。
それは自身の旧友が過去にこのエキノコックスを採取していたさいにその寄生虫を施設庁や都議たちの料理に混ぜていた真実を。
なぜそんなことをしたのか問い詰めたさきに見えた繰り返されるヘイトスピーチの現状。
そんな状況を栂野はただ黙ってみているしかなかったのだった。
すべての謎を解き明かし日本に帰国するさい栂野と古手川は電話でこんなことを口にした「これは虫の毒ではない人の毒だ」と
ヒポクラテスの試練 を読んだ読書感想
読み進めるなかでとにかく寄生虫エキノコックスの描写は鳥肌ものでした。
とにかくきもち悪い。
しかしその感染された経緯の謎が解き明かされていけばいくほどに虫なんかよりも人の悪意の方が何倍も恐ろしいものだと感じました。
結局はその人間たちの悪意という毒がまわりまわって自分自身を死にいたしめたのだと思うと一番恐ろしくて愚かなのはそういいた人間たちだと感じました。
この小説は謎解きもとても面白いですが、今まで知らなかった司法解剖や病気、文化などたくさんのあらたな知識を得ることができ、シリーズものであるので今後もこのシリーズが続くのがとても楽しみです。
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