【ネタバレ有り】キャロリング のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:有川浩 2017年12月に幻冬舎文庫から出版
キャロリングの主要登場人物
大和俊介(やまとしゅんすけ)
子供服メーカー「エンジェル・メーカー」で働く32歳。子供時代に父親の暴力を受け、エンジェル・メーカー社長の西山英世に助けられた過去を持つ。子供相手にも大人げない態度だが、根は優しい。
田所航平(たどころこうへい)
エンジェル・メーカーが運営する託児所に預けられている小学生。親は離婚協議中。家族3人で暮らしたいと願う。
折原 柊子(おりはらとうこ)
エンジェル・メーカーの社員。昔、大和と付き合っていたが、結婚目前で別れた。
田所裕二(たどころゆうじ)
航平の父親。裕二の浮気が原因で妻の田所圭子と離婚協議中。妻と同じだった会社を退職し、整骨院で働こうと訓練中。整骨院長の坂本冬美に憧れを抱いている。
赤木守(あかぎまもる)
坂本冬美が経営する整骨院を地上げしようと企む闇金会社「赤木ファイナンス」社長。
キャロリング の簡単なあらすじ
大和が働く子供服メーカー「エンジェル・メーカー」は、社長英世の努力もむなしくクリスマスに倒産が決まった。同僚で元恋人の柊子を含む社員達が就職活動を始める中、エンジェル・メーカーに思い入れのある大和は次の職を探せない状態でいる。会社が運営する学童に通う小学生の航平は、離婚協議中の両親がやり直すことを望み、大和と柊子を説得し父親が勤める整骨院へ通うが、闇金業者とのトラブルに巻き込まれてしまう。
キャロリング の起承転結
【起】キャロリング のあらすじ①
大和が勤める子供服会社「エンジェル・メーカー」は、社長であり大和の恩人でもある英世の努力もむなしく、クリスマスに倒産することが決まりました。
勤務する4名の社員達が就職活動に奔走する中、大和は新しい仕事を探す気になれず、仕事は倒産後に考えることにします。
会社が経営する学童はクリスマス前に閉める予定でしたが、冬休み中に海外への引越しを考えている航平の母親の希望で、航平はクリスマスまで学童に通うことになりました。
エンジェル・メーカーに勤務している大和の元恋人である柊子は、母親の圭子が迎えにくるまでの間、学童に通ってくる航平の面倒を見ることになります。
時間を持て余している大和は、航平との接点が増えていきます。
【承】キャロリング のあらすじ②
エンジェル・メーカーが運営する学童にクリスマスまで通うことになった航平は、両親には離婚してほしくないと思っています。
夜中に両親が言い争っているのを聞いていたのに、自分が仲裁できなかったことを後悔しています。
父親の裕二のせいで母親が怒っているのならば裕二に謝ってもらおうと考え、別居中の裕二にコンタクトを取ろうと、母親に内緒で電話を掛けます。
しかし裕二は曖昧な態度で、積極的に母親と仲直りしようとしてくれません。
航平は裕二に会って話をしたいと思いますが、離れたところに住む裕二に、一人で電車を乗り継いで会いに行く勇気がありません。
航平は学童で面倒をみてくれている柊子ならなんとかしてくれるかもしれないと考え、話しを持ちかけます。
柊子は母親に黙って裕二に会いにいくことに抵抗がありますが、航平に説得され、航平の母親や社長の英世にうそをつき、一緒に裕二に会いに約束をします。
【転】キャロリング のあらすじ③
航平が裕二に会いに行くと、母親と同じだった会社を辞めた裕二は整骨院で働いていました。
近くの喫茶店で裕二と話をすることができた航平ですが、積極的に母親とやり直そうとしない裕二に苛立ちます。
航平と柊子は裕二を説得するために何度も整骨院へ通うことになります。
ある電話で、航平が英会話に通っていないことが大和にバレてしまい、柊子に加えて大和も航平の整骨院通いに関わることになります。
3人はある日、整骨院でのトラブルに巻き込まれてしまいます。
整骨院の院長である坂本冬美先生のおじいさんが借りた借金の返済期限が過ぎているという理由で、赤木ファイナンスの組員2人が整骨院に脅しに来るようになりました。
脅しを得意としない組員の2人ですが、赤木ファイナンス社長のために、柊子と航平を人質にして、航平の母親に金を要求します。
【結】キャロリング のあらすじ④
柊子と航平が何者かに攫われたことに気づいた大和と裕二は、以前より整骨院を脅していた赤木ファイナンスを疑います。
航平の母親の貯金が一部準備できなかったため、赤木ファイナンスが要求する身代金の額にすこし足りませんでしたが、裕二がお金を持って指定の場所に行くことになります。
お金が不足していることに気づいた赤木ファイナンスはさらに追加の金を要求します。
次は大和がお金を持っていくことになりました。
お金を届けた大和ですが、裕二と航平が監禁されている場所に柊子はおらず、赤木ファイナンスの社長に逆らった大和は暴行を受けます。
柊子は別の場所で赤木ファイナンスの組員に見張られていました。
赤木ファイナンスの社長はその組員を助けるために身代金を要求していましたが、最後にはその組員の裏切りにより赤木ファイナンスは警察に捕まることになります。
人質騒動が終わり、航平は願った通り母親と父親と一緒にクリスマスを迎えることができますが、一度離れ離れになった両親から、やはり再び一緒に暮らすことはできないことを告げられます。
航平は悲しみますが、その事実を受け止めます。
大和は航平からの手紙をきっかけに、柊子への自分の思いに気がつきます。
一度は別れた大和と柊子ですが、もう一度やり直すことになります。
キャロリング を読んだ読書感想
プロローグで、大和が銃を向けられている絶対絶命の場面から始まります。
「キャロリング」というタイトルからは、ほのぼのとした小説をイメージしますが、中身はハラハラドキドキの連続で、一気に読みすすめてしまいました。
クールだけど柊子に対して熱い思いをもっている大和を始め、小学生らしくない航平や、なんだか頼りない航平の父親、ベビーフェイスの闇金社長など、個性豊かな登場人物がたくさん出てきます。
小説のなかでは、航平の家族は一緒になることができませんでしたが、現実の世界でこのような受け入れるしかできないことはたくさんあると思います。
一方、大和と柊子はやり直すことができ、とても温かい気持ちになれます。
続編が出て欲しいと思うような一冊でした。
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