【ネタバレ有り】まぼろしハワイ のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:よしもとばなな 2013年10月に幻冬社から出版
まぼろしハワイの主要登場人物
オハナ
両親を失った女の子。
あざみさん
オハナのパパが生前再婚していた相手。オハナと年が近い。フラダンサー。
マサコさん
ハワイに住む、あざみさんの育ての親。
まぼろしハワイ の簡単なあらすじ
この本には、ハワイにまつわる長編が1つ、短編が2つ収録されています。1つ目は、オハナとあざみさんのお話。2人は年が近くて仲良しの友だちのような関係です。しかし元々は、オハナのパパの再婚相手として出会ったのでした。ママが自殺してしまって落ち込んだパパは、あざみさんと結婚してまた元気になったのでした。しかしパパは、その後突然亡くなってしまいます。あざみさんと悲しみを分け合ったオハナは、あざみさんと誰よりも仲良くなりました。2つ目は、事故で両親を失った、「ぼく」と姉さんの物語です。「僕」がお腹にいた頃に交通事故で亡くなった両親の代わりに、姉さんとおばさんが「僕」を育ててくれました。
まぼろしハワイ の起承転結
【起】まぼろしハワイ のあらすじ①
オハナはひとりっこ。
母を自殺で亡くしています。
パパと二人暮らしで高校まで育ち、大学入学が決まった頃に、パパから再婚相手を紹介されました。
その人はフラダンスを踊る女性で、あざみさんと言いました。
オハナは、たくさんいたフラダンサーの中から、パパから紹介される前にひときわ輝くその女性に気付きます。
そして、初めて話した時からオハナもあざみさんを気に入り、それ以来パパと3人で仲良く暮らしていました。
しかし、パパはその後突然心臓発作を起こして死んでしまいます。
オハナとあざみさんはその深い悲しみを分かち合い、あざみさんは、オハナの唯一の家族としてかけがえのない存在となります。
そしてふたりは、パパが死んでしまった3ヶ月後に、一緒にハワイに行こうと話し始めます。
パパを失った悲しみはまだ癒えていませんが、場所を変えて別の空気を感じる必要があると思ったからです。
ハワイは、パパとあざみさんが何度も一緒に訪れた思い出の地であり、また、オハナにとっても家族と旅行した大切な場所でした。
【承】まぼろしハワイ のあらすじ②
ふたりはハワイにたどりつき、ホテルでのひと時を過ごします。
あざみさんは到着して早々に、バルコニーでひと踊りします。
その姿はとても美しいものでした。
そしてあざみさんは、ハワイに自分の育ての親のような人がいて、その人に会いに行きたいと言います。
オハナも一緒に行くことになり、ふたりで育ての親のおばさんの元へと向かいました。
そのおばさんはマサコさんという日本人で、子どもたちにフラを教えています。
その場所はとても素敵で、あざみさんの小さい頃の写真、また、おそらくマサコさんのお子さんの写真も飾ってありました。
あざみさんはマサコさんに言われてひと踊りし、そして、次はマサコさんが踊りました。
マサコさんの踊りはとても素敵で、オハナとあざみさんは涙が止まらなくなりました。
ふたりは泣き腫らした目で、家族について想いを巡らせます。
オハナとは違って両親共に健在だと思っていたあざみさんにも、深いわけがあるようでした。
ホテルに帰ってくつろいでいると、突然お客さんが訪れました。
あざみさんの昔の恋人であった、山本さんというおじいさんでした。
山本さんはとても気持ちの良い人で、下品な冗談を言ったり少しすけべな話をしても、少しもいやな感じがしませんでした。
3人は一緒に食事にでかけ、自然にオハナも仲間に入れてくれました。
2人はかけがえのない時をハワイで過ごし、時が流れること、大切な人がしんでしまうこと、様々なことを語り合い、今後のそれぞれの人生に想いを馳せるのでした。
【転】まぼろしハワイ のあらすじ③
「僕」と姉さんは2人で暮らしています。
なぜかというと、「僕」がお母さんのお腹にいた頃、両親は飲酒運転の車にはねられて亡くなってしまったからです。
「僕」はたくさんのガールフレンドがいますが、どうしても誰に対しても本気になれません。
それは、自分が女の人からもらうべきものはほとんど姉さんから与えられているからだと考えています。
ある日、姉さんから、ハワイで行われるおばさんの結婚式に招待されたという話を聞きました。
「僕」は、ハワイに詳しいガールフレンドに話を聞いてみることにします。
「僕」のガールフレンドであるアップルちゃんは、本気で好きな恋人がいます。
しかし「僕」もアップルちゃんも、それを前提として会っています。
「僕」は少しずつアップルちゃんに本気になりかけていましたが、それは、アップルちゃんが別に好きな人がいて、自分に深く干渉してきたり、生活感を見せてきたりしないからです。
姉さんはこれからどうしていくのだろうか、「僕」は姉さんにとらわれているのかもしれない、そんなことを考えながら「僕」と姉さんはおばさんやおじさんとハワイに向かいます。
おばさんの式で感動し、その後姉さんとお酒を飲んでいたとき、姉さんは女の人が好きだということが判明します。
僕は面食らいました。
そして、これからの「僕」の人生、姉さんの人生、そして人生そのものについて、どこか切ない気持ちで思いを巡らせるのでした。
【結】まぼろしハワイ のあらすじ④
コホラは変わった名前をした女の子です。
ハワイ語で「くじら」という意味で、それはなぜかというと、両親がハワイでくじらの群れを眺めた日にコホラができたからだそうです。
コホラは大きくなり、お母さんとお父さんは離婚して、お母さんは他の男の人と再婚し、コホラはお父さんと暮らしていました。
そしてお父さんは、編集者として関わっていた作家さんの水野さんと再婚することになったのです。
ある時、コホラ、お父さん、水野さん、水野さんの娘の春香ちゃんとの4人で来ていたハワイで、一足先にほかの3人が帰ることになり、コホラひとりでハワイで過ごしていました。
すると、そこでたまたま知り合いの広田さんと出くわしました。
コホラは広田さんを感じの良い人だと思っていたのでとても嬉しく、そのまま一緒に食事に行くことにしました。
2人は良い時を過ごし、連絡先を交換します。
そしてその後早速一緒に夕日を見に行きました。
2人で話しているうちに、コホラがハワイで思い出していた小樽旅行のことと、広田さんが昔小樽旅行で起きた出来事がシンクロしていることに気付きます。
2人はどちらともなく、引き寄せあっていたのかもしれないという結論にたどり着きます。
ふたりは夜を一緒に過ごしますが、そこには下心はなく、人としての付き合いでした。
近いうちにお互いまた会うだろうという実感を持ちながら、ふたりは別れるのでした。
まぼろしハワイ を読んだ読書感想
ハワイに行ったことはありませんが、この小説を読んだら、なんだか自分がハワイの地に降り立って、実際に様々なことを経験したような気持ちになりました。
綺麗な風景や、あたたかい風、南国特有のオープンな雰囲気、そして、何より魅力的なのが、出てくるひとたち。
どの物語の主人公も、心のどこかに傷を負っていて、それを覆い隠して生きているのですが、ふとした瞬間に、考え方のくせや、行動の仕方でその傷が見え隠れします。
それでも人生を決して悲観せずに、かといって楽天的でもなく、身近な幸せを大切にしながらひょうひょうと生きていく様子は、どこか憎めなくて、自分もこうありたい、と思うポイントがたくさんあります。
この先つらいことがあった時はこの本を読み返したら、少しだけ心があたたかくなるのかもしれません。
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