【ネタバレ有り】植物図鑑 のあらすじを起承転結で解説!
著者:有川 浩 2009年6月に角川書店から出版
植物図鑑 の簡単なあらすじ
ある日ごく普通のOLさやかが、行き倒れている青年、樹(いつき)を拾うところから話は始まります。
樹が翌朝樹が作ってくれた暖かいご飯に胃袋をつかまれたさやかの提案で、恋愛感情を抜きにした同居のスタートでした。
しかし樹と一緒に山菜を取りに行ったり、一緒にご飯を作ることでやがてさやかの片思い状態になります。
そんなある日、女の子からプレゼントされたと思われるハンカチを樹が持っていたことで、さやかは自分の思いを隠せなくなり、ケンカの末告白。
実は樹も必死に隠していただけでさやかの事が好きだった!と両思いに。
同居から同棲へと進展します。
しかしその同棲も、突然の樹の失踪で幕を閉じてしまいます。
残されたさやかは悲しみ、途方に暮れながらも樹を待つと決心し、樹と一緒に行った場所、一緒に食べたものをなぞりながら生活します。
そんな生活をしていたある日、さやかが家に帰るとポストに図鑑が届いている。
制作者の欄を見ると樹の名前があった。
これを手掛かりにして何としてでも見つけてやる!と玄関に向かうと、樹がドアの前で待っていた。
さやかとずっと一緒にいるために家の事情を精算しに帰っていたという樹は、さやかにプロポーズする。
さやかも突然いなくなったことを根に持ちながらも、もちろん了承。
奇妙な形で始まった同居でしたが、二人は普通の幸せな夫婦になりました。
植物図鑑 の起承転結
【起】植物図鑑 のあらすじ①
ある日酔って帰った普通のOLさやかの自宅マンション前に、青年が行き倒れていた。
人畜無害そうなその青年を拾ってしまう。
翌朝、台所に立っている青年。
自炊しないさやか宅の冷蔵庫に入っていた痛みかけの余り物で朝ご飯を作っていた。
久しぶりに食べた温かいご飯に癒されたさやかは、青年に「行くところがないならここにいないか」と提案する。
はこんなキッカケで一緒に住むようになった二人。
青年の名前は「樹。」
しかし樹は、名前以外は明かさない謎の多い男だった。
【承】植物図鑑 のあらすじ②
ほどなく、さやかは樹に惹かれだす。
しかし樹は深夜のバイトをしながら、さやかの家の洗濯・掃除・料理を完璧にこなすハウスキーパーだった。
ある日そんな樹から、「近所の川まで散歩に行かないか」と誘われる。
極端にインドアなさやかは少し渋るが、他の誰でもない樹の誘いということで行ってみることに。
ここでさやかは初めて食べられる植物が自分の身近にあることや、その植物を狩ることの楽しさを知る。
また自分で狩った料理したり食べたりする楽しさを知る。
さやかはすっかり気に入ってしまい、二人は度々一緒に山菜を狩りに行くようになる。
その共通の楽しみが二人の距離を少しずつ縮めていく。
【転】植物図鑑 のあらすじ③
しかしいつものように山菜を狩りに出かけた日、川上にあるクレソンを摘んでいた二人。
さやかは足を滑らせて冷たい川に片足を突っ込んでしまうというトラブルが。
樹はさやかの足を拭いてやろうと自分のハンカチを取り出すが、それがまずかった。
樹は物に執着がなく、お金に対しても締まり屋さん。
そんな彼がブランド物のハンカチを取り出したのだ。
当然引っかかるさやか。
「バイト中の話の流れで貧乏自慢になった時、自分が1番だったので恵まれた」と説明する樹だが、くれたのは男か女かは言わなかった。
しかしさやかは女の子からの贈り物なのだと察する。
気になって仕方のないさやかは、後日、我慢ができずに夜中に樹のバイト先に行ってしまう。
同じシフトに女の子がいるかを確かめに。
到着したさやかが遭遇したのは、ちょうど樹が女の子とそのハンカチの話をしているところだった。
女の子からの贈り物だと確定して、激しく嫉妬するさやか。
口元だけで帰ると告げてコンビニを飛び出してしまう。
追いかけてきた樹は「夜中に一人で出歩くなんて危ない!」と怒ったが、さやかは嫉妬のあまり我慢していたことを吐き出してしまい二人は口論に。
ケンカ別れをした翌日、さやかは飲み会に誘われる。
樹と顔を合わせづらいさやかは久々に飲みに行くことにする。
しかしその帰り、同僚の男性に最寄り駅まで付きまとわれてしまう。
そこに現れたのは樹。
同僚は樹が追い払ってくれたが、今度は樹が嫉妬をする。
また口論になる二人だったが、感情的になったさやかが自分の樹を好きだという気持ちを告げた。
すると樹も本当は好きだけど必死に隠していた、と告白。
その日を境に二人の関係は一層深いものへと変わった。
【結】植物図鑑 のあらすじ④
ただの同居が恋人同士の甘い同棲生活に変わった。
相変わらず「樹」という名前以外、過去のことを話そうとはしない樹だったが、さやかはそれでもいいと思っていた。
本当に突然のことだった。
さやかが家に帰ると樹はいなかった。
荷物も何もなく、ただ「また、いつか」と一言だけ書いた手紙と合鍵、そして樹の料理のレシピが書かれたノートだけが残されていた。
ひどい喪失感に襲われながら、それでも樹を待とうと決めるさやか。
樹と一緒に狩った山菜を今度はひとりで取りに行き、樹のレシピノートを見ながら苦手な料理もするようになった。
樹の味を忘れたくない一心で。
さやかは必死に待った。
その日、家に帰るとポストにリターンアドレスのない届け物が入っていた。
開けると図鑑で、中を見てみると樹の名前が!出版社に問い合わせて絶対見つけてやると意気込むさやか。
図鑑を手に自分の部屋の前まで行くと、樹がいた。
喜びと勝手にいなくなった怒りで泣きじゃくるさやかに、樹は家の事情を片付けに行っていたと説明し、「これからはずっと一緒に生きていきたい」とプロポーズする。
もちろんさやかも了承。
奇妙な同居から始まった二人は、幸せな夫婦になれました。
植物図鑑 を読んだ読書感想
有川作品には珍しい「恋愛」に軸を置いた作品です。
かなり突飛な設定から物語は始まりますが、同居しだしてからの家での二人のやり取りや、一緒に山菜を狩りに行ったり料理をする時の会話など、非常にリアルで自然と物語に入って行けました。
個人的には「樹」のキャラクターが魅力的で、自分のところにも来てほしいと本気で願いました。
その一方であまりキャラ立ちしていないさやかですが、その普通さが良かったです。
すごく人間らしく恋をして、嫉妬して、悲しんで、頑張って。
とても応援したくなる女性でした。
また、「植物」がテーマになっていて、常に植物を絡めた話の進め方なので非常にほっこりして温かい気持ちで読めました。
わかりやすいハッピーエンドで読み終わりもとても幸せな気持ちでいっぱいになりました。
とても癒やされた作品です。
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