著者：伊坂幸太郎 2010年9月に角川書店から出版
マリアビートルの主要登場人物
木村（きむら）
自分の子供の仇である王子を追って新幹線に乗り込んだアル中の元殺し屋。
王子（おうじ）
一見は優等生に見えるが、心の中は悪魔のような悪い企みでいっぱいな中学生。
七尾（ななお）
とにかく運が弱い星の元に生まれた殺し屋。運が悪いくせに気も弱い。
マリアビートル の簡単なあらすじ
ストーリーの概要、話題になった点、キャッチコピー等の簡単な紹介（100?400）映画化でも話題になった『グラスホッパー』の続編とされる殺し屋たちの新幹線ハードボイルドエンターテイメント。
この日の〈こだま〉はとにかく物騒！走りゆく東北新幹線の中で繰り広げられる、生きるか死ぬかのドタバタ疾走劇。
マリアビートル の起承転結
【起】マリアビートル のあらすじ①
木村雄一は復讐心に燃えて東北新幹線〈はやて〉に乗っていました。
ジャケットの内ポケットには拳銃隠しながら。
木村は最愛の息子の渉をデパートの屋上から突き落とされてしまいました。
今でも渉は病院のベッドの上で眠り続けています。
渉をデパートの屋上から突き落とした犯人はまだ中学生である王子慧でした。
王子がこの新幹線に乗っているという情報を入手した木村は、この新幹線で仇を討つためにここにいます。
王子と対峙した木村はいとも簡単に王子にスタンガンで気絶させられて拘束されてしまいます。
木村が目を覚まして王子に反撃しようとも、王子は病院で眠っている渉を人質にとっているといいます。
ウソか本当かは分からない木村でしたが、それを聞いて反撃をすることができませんでした。
現役の殺し屋コンビの蜜柑と檸檬は裏業界では知らない者はいない峰岸良夫の息子が に監禁されているところから救出し、その息子のための身代金の入ったトランクを持って新幹線に乗り込んでいました。
彼らの任務は息子と身代金を無事に送り届けるということでした。
【承】マリアビートル のあらすじ②
峯岸からの電話を受けるために蜜柑と檸檬が席をはずすと、峰岸の息子は何者かによって殺害され、身代金の入ったトランクは無くなっていました。
その新幹線に乗り合わせた不運な殺し屋の七尾は、指令役の真莉亜に電話で今回の任務や日頃の不幸について文句を言いますが相手にはしてもらえません。
今回の任務は新幹線で荷物を受け取り、次の駅で降りるだけの仕事であり、七尾はすぐにそれらしきトランクを発見します。
列車から降りようとすると、かつてから因縁のある狼という同業者と鉢合わせをしてしまい、降車することができなくなってしまいました。
蜜柑と檸檬は任務の一つである息子を無事に送り届けることができなくなってしまいました。
せめてトランクを見つけ出し、息子を殺した犯人探しをすることにします。
当初の計画では、大宮駅で峰岸の部下に経過報告をすることになっていました。
蜜柑はなんとかその報告を済まし、新幹線が発車する瞬間に蜜柑が息子の死体の手をとって手を振らせてしまったことにより部下に怪しまれてしまいます。
七尾はというと、再開した狼のことを誤って殺してしまいます。
狼の死体をなんとか隠し、次の駅で降りようと試みます。
【転】マリアビートル のあらすじ③
七尾と接触した王子は、七尾が何やら大切なものを運んでいるということを知ります。
王子は七尾が隠したトランクを見つけ出すことを思い出し、木村に無理やり手伝わせます。
王子は、人が困っているのを見るのがとても好きなのです。
王子はトランクを盗み出すことに成功します。
七尾は自分のこの仕事は峰岸が依頼したということを知り、恐怖に怯えながら必死でトランクを探します。
なんとか自分たちの窮地を抜け出したい蜜柑と檸檬は、罪を七尾に着せようと思い立ちます。
七尾は襲ってきた檸檬を返り討ちにし、蜜柑の飲み物に睡眠薬を仕込みます。
大の大人たちは、王子の策略によって争わされ、殺し合いをしてしまったのです。
ここでも七尾は新幹線から降りることはできませんでした。
無力な中学生を装う王子に助けを求められた七尾は、仕方なく盛岡まで付き合うことにします。
王子は木村をさらに弄ぶために暇つぶしに、木村の両親に連絡を入れて助けを求めるように指示をします。
木村の父親が電話に出ましたが、まともには取り合ってもらえませんでした。
【結】マリアビートル のあらすじ④
木村の両親である茂と晃子は王子との電話から悪意の匂いがすると感じていました。
かつては木村と同じ業界で働いていた鼻がきいたのです。
新幹線に乗り込んできた茂は、王子が本当に中学生だったのに気づいて驚きました。
しかし、愛する孫の命を人質に取られている茂は王子のことを脅します。
王子も、茂は今までの大人とは違うと直感し怯えあがります。
王子が言い訳をしても茂にはお見通しのようで、許してはもらえませんでした。
渉には王子が仕向けた殺し屋がついていて、殺し屋からの電話に王子が出なかったら時には木村の渉を殺すという手筈でしたので、王子にはまだ望みがありました。
しかし、渉には茂の依頼による殺し屋がついており、王子の殺しはすでに成敗されてしまったのでした。
王子の保険はなくなり、そして渉も目が覚めたという知らせもきます。
ようやく新幹線を降りられた七尾は駅で連絡役の真莉亜と出くわします。
ホームでは息子を引き取りに来た峰岸が殺し屋のスズメバチに毒殺され、大騒ぎになっていました。
マリアビートル を読んだ読書感想
新幹線の中でこんなにも殺し屋がひしめいていることなんて、今までにあったでしょうか。
猛スピードの新幹線の中で、いくつもの画策がひしめき合い、どの車両でも大混乱です。
その中でも、とてつもない不運の持ち主である七尾が右往左往しているシーンや、蜜柑と檸檬の掛け合いなどが物語をあまりにシリアスにさせていませんでした。
それにしても中学生の王子は恐ろしいですね。
どうしたらあんなに邪悪な子供が生まれてしまうのでしょうか。
もし周りにこんな人間がいたらとても怖いですが、この小説では伝説の殺し屋が出てきて成敗してくれます。
救いのあるラストで後味が良かったです。
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