「コンテクスト・オブ・ザ・デット」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|羽田圭介

コンテクスト・オブ・ザ・デッド

著者:羽田圭介 2016年11月に講談社から出版

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コンテクスト・オブ・ザ・デットの主要登場人物

青咲希(あおさきのぞみ)
ヒロイン、母の弟の家に居候しながら高校に通う、空気が読めない性格

新垣(あらがき)
区の福祉事務所で働くケースワーカー

海東理江(かいとうりえ)
小説家、ペンネームは桃咲カヲル

南雲晶(なぐもあきら)
精肉店のパート店員、小説家になる夢をあきらめきれない

コンテクスト・オブ・ザ・デット の簡単なあらすじ

「変質暴動者」と呼ばれるゾンビが世界各地で目撃されるようになり、人から人へと感染していきます。

咬まれるだけでなく、空気を読みやすい人やマニュアル通りに行動する人ほどゾンビになりやすいようです。

救世主として追いかけ回されていた高校生の青崎希は自分の意志で生きることを決意し、小説家の海東理江はゾンビとなった後も執筆活動を続けていくのでした。

コンテクスト・オブ・ザ・デット の起承転結

【起】コンテクスト・オブ・ザ・デット のあらすじ①

 

ある日突然に出没したゾンビたち

ある日突然に出没したゾンビたち純文学雑誌の編集者をしている須賀は担当している作家との打ち合わせのために、渋谷駅前のビルにテナントとして入っているカフェに向かっていました。

スクランブル交差点の一帯に人波が広がっていて、輪の中の中心にいた青い顔の男が若い女性の肩に噛みついています。

「桃崎カヲル」のペンネームを使って第3弾の小説を発表した海東理江が、夫の浩人と住んでいるのは地下鉄の駅から歩いて15分程度離れたところにある一軒家です。

住宅建材メーカーで働いている浩人は土曜日は仕事が休みのためにテレビを見ていて、お昼のニュースでは世界各地で「変質暴動者」と名付けられたゾンビたちの動向を報じていました。

生活保護受給者の訪問をしている新垣が区役所に戻ると、受給申請を却下されてホームレス生活を送っていた集団がゾンビと化して襲いかかってきます。

警察と連携して何とかゾンビを生け捕りにした新垣たちは、ホームレスたちが不法占拠していた河川敷を封鎖して収容施設にしました。

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【承】コンテクスト・オブ・ザ・デット のあらすじ②

 

復活の出版社に高校生たちの反ゾンビ行進

長崎のショッピングモール内にある精肉店でアルバイトをしながら、南雲晶は執筆活動を続けていました。

ありとあらゆる文学賞に応募しても門前払いで終わったために、都内にある小さな自費出版会社に原稿を持ち込んで出版してもらうことにします。

死んだ本がよみがえる」として有名な出版社を訪ねてみましたが、5階建ての社屋の中はすでにゾンビでいっぱいです。

向かいにあった理江の自宅に逃げ込みますが、間もなく敷地内にゾンビたちが侵入してきました。

ひと足先に北海道に疎開した母親や兄を追って、南雲は理江の家を出て北へと向かいます。

ゾンビに咬まれた浩人を理江は地下室に閉じ込めて懸命に看病していましたが、夫の顔色は青ざめていく一方です。

関東近郊の高校生たちおよそ500人が呼びかけて、省庁の周りを囲んでゾンビ反対のデモ行進を行いました。

参加したメンバーは全員がゾンビになってしまいましたが、普段からクラスで浮いていてデモをサボった青崎希だけは助かります。

【転】コンテクスト・オブ・ザ・デット のあらすじ③

 

生きるためには文脈と空気を読むな

生き延びた希は救世主としてマスコミから追いかけられるようになり、しばらくは新垣が管理している河川敷の隔離区域に匿ってもらうことにしました。

新宿の文壇バーでは夏目漱石や中上健次などの過去の文豪たちの姿が現れ始めていて、彼らが向かう先は静岡県の富士霊園にある日本文芸家協会の共同墓地です。

霊園近くにある宿舎で須賀は寝泊まりしていましたが、ゾンビの襲来から避難するために墓地の下に隠されていた日本文脈研究所へと逃げ込みます。

この研究所ではコンテクスト(文脈)にとらわれない新しいタイプの小説家を育てていて、人工的に救世主を育てることにも成功した極秘の施設です。

自分で考えずにコンテクスに頼って行動したり発言したりする人たちは、例え咬まれなくてもゾンビになってしまうことが研究で明らかにななりました。

希がゾンビにならずに救世主となったのも、学校で「空気の読めないやつ」として壮絶ないじめを受けていたからです。

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【結】コンテクスト・オブ・ザ・デット のあらすじ④

 

最後に生き残ったのは

北海道で家族と合流した南雲は救助用のヘリコプターに乗り込んで本州へ脱出しましたが、世間の空気に流されて生きてきたために右手が青くなり始めていました。

研究所内でかつて自分が担当していた売れない作家に鉢合わせして、須賀は腕を咬まれてしまいます。

ぼやけていく意識の中で須賀はこれまでの人生を振り返りましたが、流行に乗っかって文芸誌を作る毎日はもともと生きているのに死んでいるようなものでしょう。

新垣がゾンビたちを扇動しているというデマが広がり始めていき、暴徒と化した区民たと隔離区域内のゾンビたちとで白兵戦が繰り広げられます。

デマを簡単に信じた人間は次々とゾンビ化していき、ゾンビたちも多くが頭をかち割られるか爆死するかです。

緊急脱出用ボートに乗って新垣と川を下り始めた希は、これからも自分の目で見て自分の頭で考えることを誓います。

自分が救世主となるために理江は変わり果てた夫に自分の体を咬ませて、ゾンビ作家として純文学のコンテクストにとらわれない新しい小説を書き上げるのでした。

コンテクスト・オブ・ザ・デット を読んだ読書感想

挙動不審な青い顔の男によって渋谷のスクランブル交差点がパニックに包まれていくオープニングは、有名なゾンビ映画のパロディーを思わせるものがありました。

無情にも生活保護を打ち切られた低所得者たちがゾンビとなって区役所を襲撃するなど、身近な社会問題への鋭い風刺が利いています。

学校では異質な存在として排除されていた青崎希が、突如として救世主として持ち上げられていく中盤あたりのシーンも皮肉です。

死んだように日常を生きてきたキャラクターたちが次から次へとゾンビに変身していく中で、生き残った希や新垣には次の世代へ確かな希望を感じました。

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