「ミート・ザ・ビート」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|羽田圭介

「ミート・ザ・ビート」

著者:羽田圭介 2010年2月に文藝春秋から出版

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ミート・ザ・ビートの主要登場人物

ベイダー(べいだー)
主人公。東京都出身の19歳。予備校に通いながら交通案内のアルバイトをする。

ナオユキ(なおゆき)
ベイダーの父親の弟。甥っ子には甘い。

ヤマザキ(やまざき)
ベイダーのバイト先の先輩。金沢市出身でゆくゆくは実家の税理士事務所を継ぐ。

レイラ(れいら)
ヤマザキの友人。売れっ子のホスト。

ユナ(ゆな)
風俗店勤務。レイラにかなりの金をつぎ込んでいる。

ミート・ザ・ビート の簡単なあらすじ

第1志望の大学への合格を目指して予備校に通っていたベイダーは、ある時にバイト先の先輩から紹介されたホストから中古の軽自動車を譲ってもらいます。

手続きには思いのほかお金がかかり、その他もろもろの出費があったためにアルバイトが忙しくなり受験勉強ははかどりません。

夏のある日に友人たちと江ノ島までドライブに行ったベイダーは、現実から目を背けるかのように車を走らせていくのでした。

ミート・ザ・ビート の起承転結

【起】ミート・ザ・ビート のあらすじ①

初めての車は中古のビート

東京で生まれ育ったベイダーは第1志望の大学に不合格となったために、いま現在は都内から在来線で1時間程度離れたところに住んでいる叔父の家に居候中です。

昼間は駅前の予備校に通いながら、夕方からはゼネコンの下請け業者で交通係としてアルバイトをしていました。

バイト先で仲が良いヤマザキは5歳年上の24歳で、実家の金沢を出て東京の大学を卒業していますがいまだに定職に就いていません。

仕事終わりにヤマザキのアパートへ遊びに行くと、ホストクラブで働いている22歳のレイラとデリヘル嬢のユナを紹介されます。

不特定多数の女性たちから貢がせて優雅な生活を送っているレイラにとっては、ユナも金づるのひとりでしかありません。

レイラは愛車のホンダのビートの車検が7月末で切れるために、車にもバイクにも乗らないというベイダーのことを思い出していました。

今年の3月に運転免許を取ったばかりのベイダーは、名義変更などの費用を合わせて5万円でビートを譲ってもらうことにします。

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【承】ミート・ザ・ビート のあらすじ②

地元に帰る税理士の卵とどこにも行けない彼女

バイト終わりにプレハブ小屋のパソコンで自動車の譲渡手続きについて調べていると、もうすぐ地元に戻るというヤマザキが話しかけてきました。

親の事務所を継ぐために税理士の試験勉強に励んでいるというヤマザキと、ログハウスのおしゃれなステーキ屋に食事に行きます。

この辺り一帯は開発中の敷地に囲まれているために店内はガラガラで、ボックス席にこれからお店に出勤する予定のユナが座っているだけです。

食後に店の外に出ると雨が降っていたために、ヤマザキは原付のスーパーカブに乗って水しぶきを浴びながら走り去っていきました。

自転車を職場に置きっぱなしにしてきたベイダーを、ユナは自分の白いクーペの助手席に乗せて家まで送ってくれます。

5万円出せばお客として相手をしてあげると言い出したユナでしたが、ビートの車検費用を捻出しなければならない今のベイダーにとっては痛い出費です。

それ以上にユナとは客と売春婦との関係になりたくないベイダーは、丁重にお断りして自分から助手席を降りました。

【転】ミート・ザ・ビート のあらすじ③

走り出したビートと色あせる合格

予備校の授業もアルバイトもない日に軽自動車検査協会にやって来たビートは、必要な書類を全て提出してようやくナンバープレートを手に入れます。

ペーパードライバーのベイダーに手取り足取り路上教習してくれたのは、買い換えたばかりのシルバーのランサーエボリューションを乗り回しているレイラです。

都心の複雑に入り組んだ道を切り抜けて何とかナオユキの家まで到着する頃には、前を走っていたはずのレイラのランエボに置き去りにされてしまいました。

ネットで年払いの任意保険に加入して11万4000円、ガソリン代がレギュラーの満タンで2600円、磨り減っていたタイヤを取り換えたために3万4000円。

24万円近くまで残っていたベイダーの全財産は5万円ほどに減ってしまっていたために、時給1080円のバイトの勤務時間を増やさなければなりません。

早朝の6時から現場に入る長時間勤務が増えたために、ベイダーは疲れ果ててろくに勉強できない日々が続いていました。

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【結】ミート・ザ・ビート のあらすじ④

夏の江ノ島でつかの間の息抜きドライブ

夏になってみんなで江ノ島に行くことになり、それぞれが自分の車を運転して石垣と立派な門で囲まれているユナの実家に集まりました。

原付で来たヤマザキは友人が運転するダイハツのムーヴの助手席、近々レースに出場するというレイラはさらにチューンナップされたランエボ、ユナはいつかの夜にベイダーを送ってくれたクーペ。

東京の中心である皇居に近づくにつれてベイダーは、片側4車線や数え切れないほどの案内標識に混乱してしまいます。

皇居をぐるぐると回って神奈川方面へと向かう道に入った時には、レイラやユナたちの車はどこにも見当たりません。

赤信号を待っているあいだに携帯電話のメールをチェックしてみると、ヤマザキが乗っているムーヴは有料道路の手前に入ったとのことです。

道路の左手には全国チェーンの予備校の湘南校が建っていて、ベイダーの脳裏には6月の全国模試の残念な結果がよみがえります。

はるか前方にランエボの車体を捉えたベイダーは、低くなった志望校への合格率を振り払うかのようにアクセスペダルを踏むのでした。

ミート・ザ・ビート を読んだ読書感想

予備校とバイト先を行き来するばかりの主人公の、退屈な毎日が思い浮かんできました。

大学を出た後もバイトに明け暮れるモラトリアムなヤマザキや、わずか3つ違いながらも夜の世界に飛び込んでたくましく生きるレイラなど周りのキャラクターたちも個性的です。

大人の雰囲気を漂わせながら男たちを惑わせていくユナと、夜遅くにふたりっきりでドライブをするシーンも心に残ります。

初めて自分だけの車を手に入れたベイダーが、少しずつ本来の目的を忘れてしまう様子も青春の1ページのようでほろ苦いです。

息苦しい田舎町と無機質な都会を駆け抜けて、ラストでたどり着いた湘南の海沿いが開放的でした。

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