「パンドラの匣」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|太宰治

「パンドラの匣」

【ネタバレ有り】パンドラの匣 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:太宰治 2009年12月に河北新報出版センターから出版

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パンドラの匣の主要登場人物

小柴利助(こしばとしすけ)
主人公。20歳の浪人生。あだ名はひばり。

三浦正子(みうらまさこ)
看護師。 あだ名はマア坊。

竹中静子(たけなかしずこ)
マア坊の上司。あだ名は竹さん。

大月松右衛門(おおつきまつえもん)
患者。 詩人。あだ名は越後獅子。

田島(たじま)
院長。 あだ名は清盛。

パンドラの匣 の簡単なあらすじ

小柴利助は20歳の時に結核療養の病院に入院することになり、「ひばり」というあだ名で呼ばれるようになりました。

個性的な院長や医師たちと親交を深めていき、ひと癖もふた癖もある同室の患者たちと独特な療養生活を送ります。

偉大な詩人からアドバイスをもらい、憧れていた看護師とのわかれを乗り越えたひばりは精神的にも肉体的にも健康になっていくのでした。

パンドラの匣 の起承転結

【起】パンドラの匣 のあらすじ①

道場の門をたたく

小柴利助は中学校を卒業と同時に肺炎を患って、3カ月も寝込んでしまったために高等学校へ進学できません。

やがて吐血がひどくなり、父親の助言でE市からバスに乗って1時間ほど離れた「健康道場」という療養所に入院することになりました。

相部屋になったのは大月松右衛門という妻に先立たれた中年の男性ですが、もっぱら「越後獅子」で通っています。

小柴も来て早々に「ひばり」というニックネームに決まったため、それ以降は本名で呼ばれることはありません。

院長の田島は場長、副院長以下の医者は指導員、看護師たちは助手、ひばりたち入院患者は塾生という独特の呼称です。

午前6時に起床して朝食は取った後は「屈伸鍛錬」という手足と腹筋の運動、昼食を挟んで全身をブラシでこする「摩擦。」

午後1時からは場長や指導員がマイクから語りかけてくる「講話」、午前4時になるとベッドの上で毛布も掛けずにごろ寝をする「自然。」

午後9時の就寝までのビッチリとしたスケジュールを管理しているのは、助手の組長である「竹さん」こと竹中静子です。

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【承】パンドラの匣 のあらすじ②

ふたりの気になる助手さんとひとりの塾生の死

竹さんは大きな体に白衣がよく似合い仕事の手際もテキパキとしていて、塾生たちからは1番に信頼されていました。

ひばりはみんなから人気がある竹さんよりも、「マア坊」というあだ名で親しまれている年若い助手の方に興味があります。

マア坊は府立の女学校を中退した後ですぐにこの場所で働き始めたそうで、仕事にはそれほど熱心ではありません。

どんな話にも首を突っ込んできて塾生たちと一緒に騒ぐために、竹さんから叱られてしまうこともしばしばです。

ある日の朝の摩擦の時間にひばりの背中をこすっているのはマア坊でしたが、いつもの明るさや多弁さはありません。

突如として廊下の拡声器からアナウンスが鳴り響いて、全ての塾生と助手が集められた場所は2階のバルコニーです。

昨日の夜遅くに鳴沢イト子という若い女性の塾生が亡くなったために、白い布に包まれたひつぎをみんなでお見送りをします。

ひばりは自分が死と隣り合わせに住んでいて、パンドラの匣の片隅に転がっている小さな石のような気持ちになってしまいました。

【転】パンドラの匣 のあらすじ③

お隣さんの正体

日曜日には慰安放送として助手たちによるコーラス合唱が、それぞれの病室に設置されているスピーカーが流れます。

この日の出し物は「オルレアンの少女」という2部合唱で、作詞を手掛けているのは有名大月花肖という詩人です。

いつもはひばりの隣のベッドで寝ている越後獅子が、この歌が始まった途端にソワソワとした様子で落ち着きがありません。

ひばりもわざと越後獅子の方を見ないようにしていましたが、思わず小さな声で「大月先生」と呼びかけてしまいました。

小さい頃から大月花肖の詩が大好きだったというひばりに対して、今まで通り「越後獅子」と呼ぶようたしなめます。

ここ数年の間は新作の詩を発表していないという越後獅子に、ひばりは思いきってその理由を尋ねてみました。

「時代が変わった」とポツリとこぼすだけで多くを語ることはなく、しまいには怒り出して黙り込んでしまいます。

次の日にはキヨ子という娘が久しぶりにお見舞いにやってきたために、越後獅子もすっかり機嫌を治したようです。

仲直りついでに越後獅子はもう1度詩を書くことを、ひばりは結核を克服して社会に出ることを約束し合いました。

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【結】パンドラの匣 のあらすじ④

本当に好きだった人の結婚

ひばりの母親は月に2度ずつ道場までやって来て、着替えや身の回りの必需品をどっさりと置いていくのが恒例です。

だいぶ体力が回復してきたひばりは、母親が帰る時には小梅橋というバス停の手前まで見送りに行くことにしました。

付き添いとしてマア坊も加わった3人は、道場の敷地内からアスファルトの県道へと続く松林を歩いていきます。

橋に近づく頃にはマア坊とひばりの母は昔からの知り合いのように打ち解けていて、よもやま話に興じる始末です。

ひばりはふたりの会話から、竹さんが田島場長と結婚するということを知ってショックを受けてしまいました。

この道場に初めて来た日にひと目見たその瞬間から、ひばりは竹さんを好きになっていたことを痛感します。

ひばりが道場に帰ってきたのはお昼少し前で、ベッドの上に倒れ込んだ途端に眠ってしまったのは久しぶりに外を歩いたからでしょう。

目が覚めた時には竹さんが両手にお膳を持って笑いながら側に立っていたために、ひばりは結婚祝いを言うのでした。

パンドラの匣 を読んだ読書感想

このストーリーの舞台となっている健康道場が、病院というよりもアスリートの合宿所のようで驚かされました。

堀辰雄の「風立ちぬ」に登場するような、高原のサナトリウムの上品なイメージは到底思い浮かんできません。

道場内の廊下で患者と看護師がすれ違う時に交わされる、「やっとるか。」

「やっとるぞ。」

という掛け合いが心地よく感じます。

まるっきりタイプの違うマア坊と竹さんの間で揺れ動く、20歳の男の子らしい主人公・ひばりも微笑ましかったです。

ほのかな恋心を押し殺したままでその思いを告げることなく、憧れの人の結婚を見送るラストにホロリとさせられました。

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