【ネタバレ有り】天と地の守り人 第二部 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:上橋菜穂子 2007年2月に偕成社から出版
天と地の守り人 第二部の主要登場人物
バルサ(ばるさ)
守り人シリーズの主人公。短槍使いのバルサとして有名な女用心棒。
チャグム(ちゃぐむ)
新ヨゴ皇国の皇太子。国を救う為、カンバル王国を目指す。
タンダ(たんだ)
薬草師で呪術師トロガイの弟子。
カーム・ムサ(かーむ・むさ)
ムサ氏族長カグロの長男で王の槍の一人。
ラダール(らだーる)
カンバルの国王。優柔不断な性格。
天と地の守り人 第二部 の簡単なあらすじ
新ヨゴ皇国の皇太子チャグムはロタ王国にてタルシュ帝国と通じていたカンバル人の顔を見たためにタルシュの刺客に追われたものの、間一髪の所でバルサに助けられ共にカンバル王国へと向かっていました。無事カンバル王国へと辿り着きカンバル王国とロタ王国とが同盟を組むという目的を果たし、新ヨゴ皇国をタルシュ帝国の魔の手から救う事ができるのか。
天と地の守り人 第二部 の起承転結
【起】天と地の守り人 第二部 のあらすじ①
新ヨゴ皇国の皇太子チャグムは、タルシュ帝国の刺客に狙われ危うい所を女用心棒のバルサに助けられ、共にカンバル王国へと向かうこととなりました。
道中はさらなる刺客や盗賊を警戒しながらでとても危険でしたが、途中で子連れで国境を越えようとしている家族を見かけます。
家族の護衛はバルサの知り合いのゴルというベテラン護衛士で初仕事の息子に付き添っていました。
バルサは盗賊が出る可能性が高い道である為、ゴルと協力することにします。
少し進むと盗賊が潜んでいる場所が分かったため、バルサが囮となりゴルが弓で援護する戦法を取り、何とか切り抜けます。
盗賊の中に刺客がいないことを確認したチャグムとバルサは、家族連れを巻き込みたくないために別れて先に進む事にします。
国境付近には兵士が配備されていましたが、荷物の調べ方はぞんざいで兵士の様子がおかしいことに気づきます。
待ち伏せを避けようと相談しながら進んでいた矢先に襲撃を受け、チャグムを逃がしたバルサは1人で敵に立ち向かいます。
しかし、盗賊と違い訓練された兵士複数を相手ではさすがのバルサも分が悪く傷を負ってしまいます。
チャグムに追っ手が追いつき攻撃しようとした瞬間、ロタ王国の密偵カシャルのシハナに助けられます。
バルサの方もカシャルが加勢して無事助かり、カシャルの隠れ家でバルサの手当をしてもらいます。
シハナはイーハン王子からの手紙をチャグムに渡すと、そこにはロタとカンバルの同盟を結ぶ為の交渉役をチャグムに任せると書いてありました。
チャグムは、もし交渉が成立した場合には新ヨゴ皇国も同盟に加えて欲しいと条件を出し、シハナに命じてイーハンの返事をもらう事にします。
【承】天と地の守り人 第二部 のあらすじ②
バルサとチャグムはカンバル王国の中を進んでいきますが、チャグムはロタや新ヨゴと比べて貧しい暮らしをしていることに気づきます。
また、鎖国された新ヨゴから締め出されたヨゴ人にも多数会い、皆故郷へと帰りたがっていることを実感します。
バルサの案内で王の槍の1人でバルサの養い親ジグロの甥であるカームの家へと行きますが、カームこそが裏切り者でありバルサとチャグムは敵の手に落ちてしまいます。
新ヨゴ皇国で草兵となったタンダは辛い作業に耐えながらある事を考えていました。
異世界を見ることの出来る者達の怯える様子や異世界ナユグに春が訪れていることから考えて、新ヨゴに大きな危険が迫っていると感じており師匠のトロガイと連絡を取る必要がありました。
タンダは見張りの目を掻い潜って呪具を揃えて魂を飛ばします。
何とかトロガイに会うことが出来、トロガイは仲間の呪術師と協力して何とか対応してくれると約束し、最後にタンダに生きて帰ってくるようにと伝えました。
カンバル王国では、異世界との間に生きる牧童と呼ばれる小柄な人々が異世界の異変を感じており、危険をどうにかして伝えようとしていました。
牧童の長老はムサ氏族長でジグロの兄でもあるカグロに危険について話し、異世界に春がやってきて異世界の生物達が婚礼の儀を行っている為に山に亀裂が生じて山崩れや大水が起きると伝えます。
実際、各地で小さな雪崩や落石が既に起きており、山の王の婚礼が始まればこの程度では済まない為、人々を逃がさなければいけないと警告します。
【転】天と地の守り人 第二部 のあらすじ③
バルサとチャグムは地下室に閉じ込められており、カームがやって来て裏切った訳を話し始めます。
しかし、チャグムも同じようにタルシュ帝国に降参するなら税は安くしてやると持ちかけられており、枝国の惨状を目の当たりにした経験からその誘いを断っていました。
カームはタルシュに騙されているのだと分かると狼狽しますが、そこに刺客が現れ不意打ちでカームは意識を失います。
刺客はチャグムを殺そうとしますが、バルサが自身を縛っていた縄を切って刺客を倒し2人は何とか脱走します。
実はカシャルが鼠に魂を乗せてバルサの縄を切ってくれており、カシャルは2人を山の隠れ家へと導きます。
隠れ家にイーハン王子からの返事が届き、チャグムは何としてもカンバル王を説得すると決め、バルサが何とかチャグムとカンバル王ラダールの2人だけで話ができる場を設けようとします。
バルサはかつて山の王との儀式の際に世話になった牧童を頼り、チャグムがラダールと会見する為に山の王の儀式場を使わせて欲しいと頼みますが牧童達は神聖な儀式場は儀式以外の目的では使えないと断ります。
失望した2人ですが牧童達の住まいに泊めてもらった夜、チャグムはカームと言い争う夢を見ます。
先日の会話でカームの心は揺れており、刺客がカームを襲ったことからカンバル王国の方針はまだ固まっている訳ではなくもう一度カームを説得できればラダールとの対話も可能だと直感しチャグムはカームと話したいと考えます。
【結】天と地の守り人 第二部 のあらすじ④
カームの館へはバルサが食糧売りに化けて忍び込み、カームを説得します。
翌日王と王の槍だけの会議が急遽開かれ、カームが自身の失態について説明し、ロタ王の使者としてバルサとチャグムを会議に招き入れます。
カームはロタの南の大領主たちの言葉を鵜呑みにしていましたが、カンバルの援軍無しではロタ王側が有利であり、タルシュ帝国内では2人の王子が争っていますが北国を攻めているのは新ヨゴに迫るラウル王子でありロタに手を伸ばしているハザール王子では無いと言うことです。
この裏付けとしてチャグムの証言が加わり、さらにロタのイーハン王子からの手紙も見せられてラダールは困惑します。
ラダールの従弟アーロンがロタと同盟を組むべきだと進言しますが、ラダールは自身の判断が誤っていたことを認めると馬鹿にされると思い迷います。
チャグムはその考えを読んで怒りが沸いてきますが、何とか抑えてラダールの前に平伏してロタとの同盟を頼みます。
これを見たラダールはようやくロタと同盟を組むことを決断し、ロタ王国へ半数以上の兵士を送ることを決めます。
チャグムはようやく目的を果たしますが、気分が落ち着きません。
王と王の槍が牧童に呼ばれて山の王の間へと集まり、チャグムも同席することになるとチャグムの不安はより一層強まります。
牧童によると異世界に春が訪れてこちらの世界も暖まっており、このままでは雪解け水によって新ヨゴ皇国の都が水没すると知らされます。
チャグムは新ヨゴへ帰らねばと焦りますが、今帰って警告しても帝は反発して逆に民を都から出さないようにすると予想できるため、バルサが新ヨゴへ戻りトロガイやシュガに知らせて何とか民を救う手立てを考えることとします。
チャグムはカームらと共に兵を率いてロタへと向かい、出来る限り早く新ヨゴへと援軍を連れていくことを誓いました。
天と地の守り人 第二部 を読んだ読書感想
本作は守り人・旅人シリーズの第7作目であり、シリーズ完結編となる作品です。
長大な物語であるため、三部構成となっておりこの第二部では、バルサに助けられたチャグムが共にカンバルへと向かい北の三国による同盟を成立させようとします。
北の国が結束すればいかに強力な軍隊を持つタルシュ帝国と言えども容易に攻めることは出来なくなる為、新ヨゴを救うにはロタとカンバルの力が必要です。
チャグムは何度も危機に陥りながらもバルサやカシャル達に助けられ、何とかカンバル王と謁見して同盟を成立させます。
第1作目では幼い子供だったチャグムが逞しい青年に成長し、国を救う為に奮闘する姿はとても感動出来ます。
バルサにとっては自分の子供のようなチャグムの成長がとても嬉しく、命をかけてチャグムを守りながらチャグムの進む道を切り開こうとします。
束の間ではありますが久しぶりにバルサとチャグムが寝食を共にする本作は正にシリーズの集大成と言えます。
最終巻となる第三部でどのような結末を迎えるのかがとても楽しみです。
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