【ネタバレ有り】本日は、お日柄もよく のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:原田マハ 2010年8月に徳間書店から出版
本日は、お日柄もよくの主要登場人物
二ノ宮こと葉(ニノミヤコトハ)
トウタカ製菓に勤める27歳のOLの傍ら、久遠久美の手伝いをする。明るく朗らかな性格。
久遠久美(クオンクミ)
久遠久美伝説のスピーチライター。こと葉の師匠。頭の回転が速く、思ったことをハッキリ口にする。
二ノ宮キク代(ニノミヤキクヨ)
こと葉の祖母。日本を代表する俳人だが、お茶目なところがある。
今川厚志(イマガワアツシ)
と葉の初恋の幼馴染。白鳳堂のコピーライターを辞めて政治家を目指す。
和田日間足(ワダカマタリ)
大手広告代理店・番通きっての、やり手コピーライター。正義感の強い男性。
本日は、お日柄もよく の簡単なあらすじ
製菓会社に勤める平凡なOLこと葉が、幼馴染の結婚式で出会ったスピーチライター久遠久美の依頼人になったことがきっかけで、こと葉自身も言葉の力というものに気付きスピーチライターという道に興味を持ち始めます。失敗を重ね色々な経験を積みながら少しずつ、スピーチライターへ近づいていく、こと葉の成長&お仕事物語。
本日は、お日柄もよく の起承転結
【起】本日は、お日柄もよく のあらすじ①
こと葉は幼馴染の厚志の結婚式に出席中あるスピーチを聞きながら、あまりの眠気にスープ皿に顔を突っ込んでしまいます。
ガシャンと派手な音を立てたので、母に促されてこと葉は会場の外に出ることに。
そこでこと葉は、タバコを吸いながらクスクスと笑う女性に出会います。
彼女は言葉のプロフェッショナル・スピーチライターと紹介され、厚志に対しそれは見事な祝辞を送ったのでした。
会社の同期の千華に結婚式でのスピーチを依頼されていたこと葉は、久遠久美に興味を持ち厚志に頼んで会わせてもらうことに。
この時こと葉は、久美が民衆党の幹事長であり厚志の父親・故今川篤朗の、最後の代表質問を考えた人物であると知ります。
そして先日行われた篤朗の葬儀で、民衆党党首の小山田次郎が読んだ弔辞も彼女の手によるものだと気が付いたのです。
久美がタダ者ではないと悟ったこと葉は、千華の結婚披露宴でのスピーチ原稿を依頼することに。
こと葉は久遠事務所の依頼人となったのでした。
【承】本日は、お日柄もよく のあらすじ②
スピーチ原稿を書いてもらおうと思い久遠事務所を訪れること葉でしたが、久美子からは「私はコツを教えるだけ」と言われスピーチ原稿は自分で書くことになります。
しかし久美から才能があると言われたこと葉は、親友・千華の結婚式で感動的なスピーチを披露することができました。
千華の結婚式で再会した鈴木社長からも、お褒めの言葉を頂くこと葉。
鈴木社長とは厚志の結婚式で余りの眠さにスープ皿に顔を突っ込んでしまった時に、スピーチをしていた牛丼チェーン店の社長です。
その鈴木社長と一緒にいた和田日間足・通称ワダカマは、広告代理店のやり手コピーライター。
千華の結婚式の少しあと人事異動で、こと葉は広報戦略室で会社のブランドイメージを一新するプロジェクトのメンバーに選ばれたのでした。
このプロジェクトの広告代理店担当者がワダカマであり、こと葉を抜擢するよう社長に進言したというのです。
こと葉は披露宴でのスピーチ後も、アフター5は久遠事務所に通いスピーチライターの見習いをしていましたが、事務所を訪れた小山田党首から民衆党の選挙コンサルタントの仕事も仰せつかってしまうのです。
平凡なOLだったこと葉は、会社のブランディング・スピーチライター見習い・民衆党のスピーチブレーンと大役を幾つも抱えてしまい、遥かに自分の能力を超えていると思い悩むのでした。
【転】本日は、お日柄もよく のあらすじ③
民衆党のスピーチブレーンに加わったこと葉は、小山田党首から幼馴染の厚志を時期選挙での立候補擁立を頼まれていました。
一度は立候補を辞退する厚志でしたが、こと葉の祖母キク代と小山田党首の熱い説得により立候補することに決めます。
そして、その場で久美が発表した民衆党の時期選挙のキーワードは「まっすぐに」というものでした。
その言葉を目にしたこと葉は、会社を辞めることを決意し久遠事務所で働くことにします。
スピーチライター見習いから、本物のスピーチライターとなったのです。
新人のこと葉には、久美から山のような仕事が回ってきますが、どうしても気になるのは今川厚志候補のスピーチ原稿でした。
次の衆院選の目玉となる選挙区である神奈川四区から厚志は立候補するのです。
後期高齢者医療制度を施行するきっかけを作った黒川大臣と、最後までこの制度に反対を唱えた故・今川幹事長の息子との一騎打ちとなります。
しかも久美子の情報によると、黒川陣営に張り付くことになったスピーチライターは、あのワダカマだというのです。
そんなころ各新聞社により発表された内閣支持率は10%も下がり、ついに20%を切りました。
さきの総裁選挙後に民営化された日本郵政の代表人事を巡り、日本郵政社長と小早川首相との癒着が表面化し、世論が一気に不支持へと傾いたのでした。
このチャンスを小山田党首は逃さず不信任案を提出し、これを受けた小早川内閣は不信任決議案投票前に解散を宣言したのです。
【結】本日は、お日柄もよく のあらすじ④
衆議院解散の夜、主要なJRの駅前で各党党首の選挙戦の第一声が上げられました。
そしてその翌日の午後6時から、遂にこと葉が原稿を書き上げた厚志のスピーチが始まります。
あくまでも現状維持を訴える進展等に対し、政権交代を掲げる民衆党。
その支持率の差はわずか6%であり、どちらが政権を取るのかは浮動票をいかに掴むかにかかっていました。
そんなある日、厚志の妻の恵理が倒れ救急車で運ばれてしまいます。
妊娠五ヶ月だった恵理は救急車で色々な病院をたらい回しされたあげく、切迫流産で子供を失ってしまったのです。
選挙のためなら何でも利用する黒川陣営は、厚志が妻を入院させるのは一流の病院でなくては駄目だと、次々に病院を回らせて結局妻の容態を悪化させたのだという嘘の話をマスコミにリークしていたのです。
この事実をこと葉に教えてくれたのは、ほかでもないワダカマでした。
そしてこと葉にリークされた情報にマスコミが踊らされる前に、包み隠さず事実を訴えるスピーチに変更するようにとアドバイスします。
この夜に行われた決起集会で、厚志は自分の体験した苦難を告白し、自分に不利な状況は素直に認め受け入れるというスピーチを展開しました。
そして父親に対するコンプレックスも告白したことが聴衆の心をつかみ、見事に選挙を勝ち抜いて当選を果たしたのです。
それから四年後の大安吉日、こと葉とワダカマは二人並んで金屏風の前に立っています。
二人は結婚することになったのです。
そこには、祖母・両親・兄の他に厚志夫婦とその子供である言織もいます。
そして衆院選挙後にアメリカへと旅立った久美も顔を見せ、伝説のスピーチライターによる祝辞が始まったのでした。
本日は、お日柄もよく を読んだ読書感想
楽な仕事をしてお給料を貰えれば良いと考えていた平凡なOLのこと葉。
そのこと葉が、ずっと好きだった男の子の結婚式で出会ったのが伝説のスピーチライターの久遠久美。
スピーチライターという職業を知りませんでしたが、とても興味深く読み進めることが出来ました。
確かに演説をする人が全て文章を作るのが上手なわけではないので、スピーチの原稿を書く仕事が存在するのも納得です。
そして、言葉の持つ力の凄さを感じ、言葉によって良い方向へも悪い方向へも変わってしまう魔物だということも分かりました。
初めは変化を嫌っていたこと葉ですが、良いほうへ変わるのであれば変わったほうが良いという事に気付きます。
私も変化を恐れてしまうタイプなので、この点については特に考えさせられました。
この小説を読んで初めて分かったのは、政治家の言葉には人を動かす力があって、マニフェストをしっかり聞いておかないと自分たちが後で政治家を審判できないということでした。
難しいから、良くわからないからと選挙に関心も持たず、ましてやマニフェストを知ろうともしなかった自分を反省しました。
これからは自分の国の政治に、もっと関心を持というという刺激を与えてくれた作品でした。
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