「銀行総務特命」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|池井戸潤

「銀行総務特命」

【ネタバレ有り】銀行総務特命 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:池井戸潤 2002年8月に講談社から出版

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銀行総務特命の主要登場人物

指宿修平(いぶすきしゅうへい)
主人公。帝都銀行で行内の不祥事処理を担当する総務部企画グループの特命担当。

鏑木和馬(かぶらぎかずま)
総務部企画グループの若手で指宿の補佐。AV事件後、企画部へ栄転する。

唐木怜(からきれい)
人事部調査役。AV事件後、総務部へ異動、鏑木の後任として指宿の補佐となる。

門倉澄男(かどくらすみお)
警視庁捜査一課特殊犯捜査係の刑事。金融犯罪を多く手掛けており、指宿もたびたび協力することとなる。

斉藤浩二朗(さいとうこうじろう)
帝都銀行副頭取。特命を組織外扱いにし、直属の部下として指揮している。指宿の後ろ盾となる存在。

銀行総務特命 の簡単なあらすじ

帝都銀行の総務部企画グループに所属する指宿修平は、銀行内の不祥事処理を担当する特命を受けています。何か怪しい事が見つかると指宿に連絡が入り処理を頼まれます。指宿は顧客名簿流出、AV出演疑惑、裏金など様々な問題に対処していきます。当初は補佐役の鏑木和馬と共に調査にあたり、途中で鏑木が栄転してからは代わりにやってきた唐木怜と共に調査を進めます。

銀行総務特命 の起承転結

【起】銀行総務特命 のあらすじ①

顧客名簿流出事件と裏金事件

帝都銀行に帝と名乗る男から顧客名簿流出のリークがあり、指宿の元に連絡が来ます。

指宿が補佐の鏑木と共に確認すると確実に銀行の情報であるということが確認でき、銀行内に情報漏洩の犯人がいることが分かります。

さらに、顧客から財務情報が流出しているとの指摘が入り、流出したタキザワ電気という会社の情報を取引先の東京電気工学へ帝という男が資料を送ってきたそうです。

タキザワ電気は粉飾を行っており、財務情報により東京電気工学にバレてしまったとのことでした。

これらの事実から、指宿はタキザワ電気のライバル会社が怪しいと考えて調べると糀谷電業という会社が浮かび上がります。

糀谷電業を訪ねると帝の筆跡と一致する資料を見つけ、社長の木幡が帝だと分かります。

また、糀谷電業を担当していた融資部の藤枝はかつて多額の融資の代わりに金を受け取っており糀谷電業には借りがありました。

藤枝の自供により、指宿は帝都銀行から流出した情報が木幡や名簿業者により取引される現場を抑えることに成功します。

指宿は蔵元建設の雲行きが怪しく、使途不明金のうち一部が銀行への裏金に使われていると聞かされ、裏金の実態を探れと副頭取から直々に命令されます。

調査すると支店部長で執行役員の田島が金を受け取っていました。

しかし、田島の人柄からすると裏金で動くとは思えず、誰かを庇っているのでは無いかと尋ねますが田島は口を割りません。

それから三日後に田島は自殺し、真相は闇の中に葬られたかに見えましたが、田島の妻がある役員の名前が書かれた手帳を指宿に託します。

指宿は田島の死を決して無駄にしないと誓い、手帳を受け取ります。

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【承】銀行総務特命 のあらすじ②

AV事件と誘拐事件

雑誌に現役銀行員がAVに出演するという記事があり、鏑木はその作品を入手して対策会議で上映します。

このような行動に出るのは、銀行について重大な暴露を行おうという人物ではないかと幹部陣は危惧し、指宿に特命で調査するよう指示します。

しかし人事部は本来自分達の仕事だと言い、唐木調査役にも手伝わせることにします。

唐木は美人ですがキツめの性格で、しかも人事部次長大前の息のかかった人物でした。

調査を初めて三日目、匿名で手紙が届きAV出演者は総務部川島奈津子と書かれていました。

川島は美人でスタイルが良く動画の女優と似ている点はありますが、イメージがかけ離れていました。

上司に聞いても特に不満は無さそうですが、指宿は個人的に川島を誘い二人きりで話を聞くと人には言えない不満を持っているようでした。

指宿は人事ファイルに目を通すと川島は一般職から総合職へのテストを受けたものの通らなかった過去がありました。

鏑木がAVの版元へ出向している銀行OBに確認すると川島が出演者であるということがわかります。

川島は総務と人事の前に呼び出されて叱責されますが、出演理由を聞かれると、総合職にしてやると騙して弄んだ大前次長への復讐だと答えます。

事件後、鏑木は企画部へと栄転し、代わりに唐木が総務部へ異動し指宿の補佐となります。

品川支店長の堂島の妻子が誘拐されるという事件が発生しました。

堂島は長く債権回収業務に携わっており、心当たりがありすぎる為に容疑者を絞れませんでした。

しかし、犯人が隠れ家として使っていた建物の灰の中に残った資料の断片から指宿は犯人の会社を推定し、蟹江という男が浮かび上がります。

蟹江は完全な逆恨みで暴走しており、堂島の妻子を銀行に監禁し放火しようとしていました。

ギリギリ居場所を突き止めて突入し妻子を助けると、蟹江がナイフを持って襲いかかってきますが唐木の鮮やかな蹴りが顎に決まり蟹江は倒れます。

【転】銀行総務特命 のあらすじ③

ストーカー事件と運用損失事件

渋谷支社長の由比から連絡があり、女子行員がストーカー被害にあっているので特命で解決してもらえないかと相談されます。

指宿と唐木は被害者の前原に話を聞き、同じ職場の古橋が怪しいということで尾行すると、簡単に前原の後をつけ回す現場を取り押さえることに成功します。

しかし、古橋は後をつけはしたが部屋に入ったり盗撮したりは身に覚えが無いと否定します。

前原は自宅パソコンのファイルが勝手に更新されているのを確認しますが、更新した時間には古橋も参加していた銀行の飲み会があった時間でした。

指宿は前原に誰かから恨みを買っている心当たりは無いか尋ねます。

前原は倒産した青山建業という会社を担当しており、信用機関に確認すると東京都議川瀬との癒着の疑いがありました。

さらに調べていくと青山建業絡みの資料がいくつか紛失しており、行内に協力者がいる疑いが強まります。

警視庁の門倉が前原の部屋で待ち伏せ犯人を捕らえると、青山建業の元経理マンで、由比との関係を自供します。

由比は前原に罪をなすり付けようとしていたのでした。

行内でスター・トレーダーと呼ばれる宮野が多額の負けを抱えているというタレコミがあり、指宿が調査することとなります。

しかし宮野の巧妙な手口を暴くことが出来ませんでした。

6ヶ月後、検査部の調査で巨額損失が明らかになり、人事部のエース星川が宮野に話を聞くと負けを認めます。

星川は特命の調査が問題で損失が出たと決めつけ、特命廃止に向けて動きます。

宮野は人事部に対しても話していないことがあり、資料を総務部の書庫に隠していましたがその処分を部下の黒沢に指示します。

隠していたのは損失に藤堂証券部長も関わっていたという事実で、実は黒沢はかつて総務部におり指宿と親しかった為、証拠資料を査問会に持ち込み役員の前で指宿は真実を明らかにします。

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【結】銀行総務特命 のあらすじ④

支社長襲撃事件と詐欺事件

川崎支社長の水原が何者かに刺されるという事件が発生しますが、水原には行内外に敵が多く容疑者が絞れませんでした。

しかし続いて武蔵小杉支社長の金子が襲撃されるという事件が発生し、2人が以前いた自由が丘支社で何かトラブルがあったと考えられ、指宿は三年前から今まで自由が丘支社で働く行員に話を聞きます。

水原はやはり強引な態度で全く慕われておらず、自分以外全てに厳しかったという意見を聞かされます。

自由が丘支社では当時、真藤という優秀な課長代理がおり、水原は真藤にほとんどの仕事を押し付けていました。

真藤は融資、監査対応に加え仕事の出来ない金子の代わりに管理業務もこなしており毎日3時間程度の睡眠しか取れませんでした。

その挙句に水原が私腹を肥やして切り捨てようとした会社の責任を全て押し付けられ、真藤は左遷されました。

水原を強く恨んだ真藤は水原を刺してざまあみろと耳元でささやき、ついでに水原に協力していた金子も襲撃したのでした。

唐木の元にかつて新人時代に担当した関口静枝という資産家から相談があります。

静枝は最近定期預金を預け替えした京浜銀行が倒産してしまい困っていました。

唐木はペイオフについて説明すると共に、どうにかならないかと思案していたところ、預け替えを勧めた京浜銀行の秋本がやって来ます。

秋本は静枝と唐木に謝罪を繰り返し、帰りに唐木が尋ねると銀行の倒産は直前まで知らずこれからどうするか困っていると答えました。

しかし、唐木が調べると秋本は静枝の金を着服して投資運用しており、総額は1億円近くになっていました。

静枝のような老人を騙す詐欺師などどうなっても良いが、これ以上静枝が傷つかない方法は無いものかと唐木は考えを巡らせました。

銀行総務特命 を読んだ読書感想

銀行内に置かれた副頭取直属の特命指宿による行内問題処理を主軸とした短編集です。

話によっては半沢シリーズに近い流れになっており、部長級を相手に啖呵を切り逆転で何とか勝利するというストーリーの話もあります。

当初の相棒鏑木は完全に指宿の味方であり頼りになりますが、途中で栄転して人事部企画グループへと異動してしまい、代わりに人事部から唐木怜がやって来ます。

唐木はある事件の際に人事部からの監視役として指宿にとっては敵側の人間とも言える存在でしたが、コンビを組むようになってからは仕事上は協力し合って問題解決に尽力します。

しかし一定の距離は置いており完全に打ち解けることが出来ませんが、ある事件の際に指宿が業務上のパートナーとして唐木を認めてくれていることを唐木が認識し、これまで人事部では美貌の女性として特別扱いされていたのとは違い指宿は公平な見方をしてくれていると気づきます。

それからは人事部へ戻らないかという話があっても断るなど、唐木の心情に変化が見られます。

登場人物の中には、厳しい銀行員としての生活の中で犯罪に手を染めてしまうことになる者もおり、真藤は優秀だったが故にパワハラ上司水原に山ほど仕事を押し付けられて左遷されその仕返しを行ったので水原も自業自得な面がありました。

秋本は銀行に入ったばかりですぐに銀行が潰れるという不運に見舞われるものの、その後の生活の為に老人から多額の金を騙し取り手堅く運用していました。

銀行員は何のスキルも身につかない為、再就職が非常に厳しく、さらには銀行が次々に潰れていったために買い手市場になってしまったというのも犯罪に手を染めた背景として描かれています。

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