「海賊とよばれた男」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|百田直樹

「海賊とよばれた男」

【ネタバレ有り】海賊とよばれた男 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:百田直樹 2012年7月11日発行に株式会社講談社から出版

海賊とよばれた男の主要登場人物

国岡鐡造(くにおかてつぞう)
国岡商店の創業者 社員のため..日本の国益のために動く、日本人の鑑のような人物

ユキ
鐡造の妻 子供ができないことを悩み、鐡造と別れる

新田
日昇丸のベテラン船長 危険な任務を遂行し、イランの石油を日本に持ち帰る

海賊とよばれた男 の簡単なあらすじ

日本は戦争に敗れ、絶望感が漂う中、国岡商店店主 国岡鐡造は社員たちにこう言いました。諸君愚痴はやめよ..と店主国岡を慕う社員たちは国岡と共に、会社の為..そして、日本のために艱難辛苦の困難に立ち向かってゆきます。この物語は、会社の部下たちを家族のように想い、日本の復興を第一に考える男の激動の人生を描いたお話です。

海賊とよばれた男 の起承転結

【起】海賊とよばれた男 のあらすじ①

諸君..愚痴をやめよ

玉音放送が流れた敗戦の日..日本が戦争に敗れて石油がないため、仕事がない..自分たちは首を切られて路頭に迷うのだと石油取扱い会社国岡商店の社員たちは絶望していました。

しかし、店主国岡は社員は家族という指針の元、一人の社員のクビを切ることなく、社員の士気を鼓舞して会社の為..そして日本復興のために立ち上がるのでした。

社員を養うために、農業から漁業..ラジオ修理とあらゆる仕事を探してきて、それをこなすことで社員の給金をギリギリ支払ったのです。

GHQの占領政策の一環として、日本に石油が出回らなくなります。

困った日本政府はGHQに石油を分けてもらうように懇願しますが、GHQが石油を分ける条件として海軍基地の石油タンクの底に眠る僅かな石油を使い切ってからだという条件が日本に突きつけられました。

この過酷な任務を国岡商店が担うことになり、鐡造指揮の元、国岡商店のモノたちは果敢にこの困難な業務に立ち向かいます。

国岡のカリスマを慕う社員たちは、愚痴一つ零さずに、過酷な業務に立ち向かってゆき、日本の男たちの熱い魂を見せ付けられたGHQの人間たちは、国岡鐡造と社員たちのことをサムライだと讃えるのでした。

【承】海賊とよばれた男 のあらすじ②

海賊と呼ばれた男

鐡造の青年時代のお話になります。

鐡造は商人になりたいと志し、神戸高商で勉学に励みました。

神戸高商を出た後は酒井商店という小規模の小売店に就職しました。

鐡造には独立して店を持つという野望があり、経営者として才を磨くには多忙で激務の小売店の方がよいと踏んだのです。

酒井商店で鐡造の能力は開花され、小麦を台湾で売りさばいたり、海上を行き交う船を相手に軽油を売りさばくなどをして、メキメキと業績を伸ばしてゆきました。

酒井商店を退職した後、知人の援助で鐡造は独立を果たし国岡商店を立ち上げました。

ユキという女性を妻にもらい、順風満帆な人生を送る鐡造でしたが、店の経営を切り盛りするのは道なき道を切り開く、苦難の連続でした。

満州の鉄道にビジネスチャンスを見た鐡造は、国岡商店の油を満州鉄道に売り込みました。

満州鉄道はアメリカの油を使っていましたが、アメリカの油より国岡商店の油の方が優れていると鐡造は見て、アメリカの石油会社とのし烈な争いの末に、満州鉄道に国岡商店の油を売りこむことに成功したのでした。

ユキと結婚して10年以上経ちますが、子供が生まれませんでした。

鐡造には跡継ぎが必要だと考えたユキは苦渋の決断の末、鐡造との結婚生活に終止符を打ちました。

悲嘆する鐡造でしたが、ユキの意志を無駄にしないために鐡造は後妻をもらい、跡継ぎをもうけたのでした。

ささやかな幸せに包まれる鐡造ですが、時代は大正から昭和へと移り、日本はアメリカとの戦争に突入していくのでした。

【転】海賊とよばれた男 のあらすじ③

日本の為に

青年時代の夢を見ていた鐡造は目を覚まし、時代は再び戦後の日本になります。

GHQの指示で日本はインドネシアから石油製品を輸入して、日本の製油所をスクラップにするという考えが出されました。

鐡造はこれを外国の石油会社が日本に君臨して、日本の石油市場を牛耳る戦略だと判断します。

鐡造は外油会社と競争するためにはタンカーが必要だと考え、日昇丸というタンカーを建造しました。

日昇丸は世界を回り、高性能のガソリンを日本に輸入しました。

日本国民は国岡商店が販売するガソリンの高性能さに驚き、これまでいかに自分たちが外油会社に良いように扱われてきたのか知るようになり、外油会社メジャーは日本で暴利をむさぼることができなくなったのです。

そんな折、国岡商店の元にイランの石油を取引する話が持ち上がります。

イランは有り余る石油を保持していましたが、かつてイランはイギリスの植民地であったため、イギリスの妨害で石油を売ることができないでいました。

イランと石油をやり取りした船に拿捕、撃沈も辞さないという過激な姿勢をイギリスは示していたためです。

鐡造はイランとの交渉の末に、日昇丸をイランへと向かわせて石油を日本に輸入するという思い切った決断を下しました。

もしも、日昇丸が拿捕されることになれば、国岡商店は致命的なダメージを負うばかりか、日本とイギリスの関係に重大な悪影響を及ぼす恐れがあります。

しかし、イランと日本の国益を秤にかけた鐡造はイランに日昇丸を派遣すると言う決死の作戦を敢行しました。

【結】海賊とよばれた男 のあらすじ④

日昇丸事件

日昇丸は無事イランへとたどり着き、イラン国民たちから熱烈な感激を受けました。

イランと契約を結ぶ国は数多くありましたが、イギリスの脅威の前にしり込みしてしまい、本当にイランへと訪れる船はこれまでなかったのです。

ガソリンを積んだ日昇丸は太平洋戦争で沈んだ船が数多く眠る、危険な航路を航行し座礁の憂き目に合いそうになりますが、船長新田の巧みな公開グ術により、日昇丸は無事日本の川崎港にたどり着くことができました。

日昇丸のガソリンを巡って、イギリスとの間で裁判になりますが、日本の裁判所はイギリスの言い分を却下し、イランから輸入されたガソリンは日本国内を巡ったのでした。

日昇丸はイランと日本の間を往復し、日本に安価な石油を大量にもたらしました。

国交さえなかった日本とイランの間で石油で結ばれた太い友情ができあがり、今日でも日本とイランの関係に好影響をもたらしています。

晩年の鐡造の元に、元妻ユキの大甥から手紙が届きました。

ユキは九州の老人ホームで亡くなり、ユキは鐡造と別れてから誰にも嫁がなかったそうです。

「大伯母はずっとあなた様のことをお慕い続けていたのだと思います」という文章を読んだとき、鐡造の目から涙が零れます。

ユキへの愛情が心の中に溢れ、ユキと別れるべきではなかったのではないかという後悔がもたげますが、人生は一度きりだ。

二つの道はないと思った鐡造はユキへの思いを胸に封じ、手紙を封筒に戻したのでした。

海賊とよばれた男 を読んだ読書感想

戦後の混乱から、石油業界の歴史を描いた見事な大作だと思います。

この小説は石油に関する知識がない人でもすんなりと読むことができ、読み終わった後は、石油に関して少しだけ詳しくなれます。

特に日本とイランの間で起こった出来事、日昇丸事件は現実にあった歴史ですので、今日の日本とイランの友好的関係はこのような勇気ある先人たちによって築かれたのだと知りました。

社員の為..そして日本の為に人生を捧げた国岡鐡造という大器を持った人間の人生が描かれており、このような人物のもとで私も働けたら幸せだろうなと思いました。

コメント

  1. 生宙 より:

    百田尚樹さんの本はすべて胸が熱くなるお話でした!本当に人生経験が、豊富で、相手の気持ちになって物語を書くことができる、私のあこがれの人です!これからも、たくさんの新作をお待ちしております。