「モンスター」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|百田直樹

モンスター

【ネタバレ有り】モンスター のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:百田直樹 2010年3月に幻冬舎から出版

モンスターの主要登場人物

田淵和子/鈴原美帆(たづちかずこ すずはらみほ)
主人公、醜い顔に生まれつき周囲からモンスターといじめられてきた、美容整形に手を出して美しい顔を手に入れる

高木 英介(たかぎえいすけ)
和子の初恋の人 イケメン

横山(よこやま)
和子を整形した医者 醜い和子を美女へと徹底的に整形してゆく

モンスター の簡単なあらすじ

瀬戸内海に面した町で和子は生まれ育ちました。和子は生まれつき顔が醜く周りの人々からいじめられて育ちました。地元を出た和子は自分の人生がうまくいかないのは醜い顔のせいだと思い、美容整形に手を出して顔を美しく整形していきます。美しくなった和子が鈴原美帆と名を変えて生まれ育った町に帰郷することから物語は始まります。

モンスター の起承転結

【起】モンスター のあらすじ①

因縁の帰省

美しい顔をした女が瀬戸内海の港町の駅に降り立つところから話は始まります。

女の名は鈴原美帆 港町の女を全員束にしても敵わない位の美貌を持った女でした。

美帆は町にフランス料理店を構え、町の人気者となります。

男は美帆の美しさに見惚れ、女は美帆の美しさのあまり嫉妬する感情も湧き上がらずに、ただ溜息を吐くのでした。

美帆はもしも町の人間たちが私の本当の顔を見たらどう思うのだろうと思いを馳せ、過去を回想します。

美帆の本当の名前は和子といい、この港町で生まれ育ちました。

醜い容姿に生まれた和子は周りからいじめに合い、孤独で悲惨な少女時代を送ります。

そんな和子でも幼少期に英介という男の子に恋心を抱き、高校に進学した時に英介と再会したことで和子の運命が動き出します。

英介に対する和子の思いは膨れ上がり、英介を手に入れたいと思うようになります。

しかし英介はハンサムに成長し、和子では釣り合いが取れないほどの好青年に成長していたのです。

狂気にとり憑かれた和子は、英介の目が見えなくなれば英介は自分に振り向いてくれると思い込み英介たちとのカラオケの席で、英介の飲み物にメチルアルコールを混ぜたのです。

しかし企みは失敗に終わり、和子はみんなに責められて、町から追い出されるように東京の学校へと進学したのでした。

【承】モンスター のあらすじ②

醜女の狂気と執念

東京に出てからも和子は悲惨でした。

男子学生たちは和子のあまりの醜さに珍獣扱いをし、和子の心はさらにすさんでゆきました。

東京に来たことで和子は女の価値は顔の美しさで決まるという思いを強くし、美への憧れを募らせてゆきます。

短大を卒業した和子は製本工場のライン工の仕事に就きます。

そこでも和子はさんざんな扱いを受けました。

心が荒んでゆく和子は職場でもトラブルを起こすようになり顔を美しくする美容整形へとのめりこんでゆきます。

美容整形には多額のお金が必要となるので、和子は夜の世界へと足を踏み入れて体を売ってお金を稼ぐようになります。

SMクラブやホストルなどでお金を稼ぎ、そのお金を美容整形につぎ込んで自分の顔を次々に整形していきます。

風俗の世界に足を踏み入れてから、工場での稼ぎがバカらしくなった京子は美容整形の費用をより多く稼ぐために、風俗の世界へとのめりこんでゆきました。

【転】モンスター のあらすじ③

英介に会いたい

美貌を手に入れた和子は自分を踏みにじってきた者たちに復讐を始めます。

学生時代に和子の気持ちを踏みにじった男や、和子をバカにしていた女を散々な扱いをし、復讐を遂げてゆくのでした。

和子は初恋の男英介の行方を追います..和子は自分が美しくなりたかった本当の理由は英介を手に入れたかったためだということに気が付きました。

探偵を雇って調査した結果..英介はアメリカに渡ってすでに結婚し子供まで設けていました。

和子は遅すぎたのだと絶望してしまいます。

そんな和子に追い打ちをかけるかのように、31歳の時に和子は肝臓を悪くしてしまい、風俗の仕事を引退せざるを得なくなってしまいました。

その後に大橋という男と結婚しますが、大橋は美しい和子を棄てて他の女と不倫してしまいます。

美が全てだと思っていた和子にとって自分より醜い女に男を奪われることが到底理解できるモノではありませんでした。

離婚し、心身ともにボロボロになり死期を悟った和子は英介に会いたいと心の底から渇望するようになります。

【結】モンスター のあらすじ④

それでもあなたは私を愛してくれる?

英介が日本に戻ってくると言う知らせを探偵から受けた和子は、英介が戻ってくる郷里に戻ることを決意します。

レストランを開いたのは英介に会うためでした。

とても美しい容姿をした女が経営するレストランなら、一度食べてみようと英介が来るに違いない..和子はそう思い英介がやってくるのをひたすら待ち続け、ついにその日がやってきました。

英介は和子の美貌にあてられて、店に通い詰めるようになります。

徐々に距離を縮めた2人はついに男と女の関係になりました。

英介と会ううちに和子は美しい美貌を持つ美帆ではなく、本来の自分..和子を愛してほしいと願うようになります。

英介は和子に惚れ込んでゆき、妻と離婚するとまで言い出しました。

和子の体調はどんどんと悪化していき、死が迫ってくるのを感じ、英介とケンカをしている最中に倒れてしまいます。

驚いた英介の腕の中で和子は自分の正体を明かし、本当の自分を愛してくれるか..と英介に問い、英介がああ、ああ..と返事をしてくれたことに満足して事切れました

モンスター を読んだ読書感想

この話を読んでいて、誰にも相手にされずに蔑まれてきた女の怨念と執念が、私の心に入ってくるのを感じました。

自分の人生がうまくいかないのは醜いからだ..美しい顔さえあれば..と願う和子の執念と狂気が綿密に描かれています。

美容整形を続ける和子の心に根づいていたモノは初恋の男を自分のモノにしたいという幼き日の純粋で歪んだ感情でした。

私は一人の男のためにここまでしてしまう和子に対して戦慄を覚え、人間の負のエネルギーを強烈に感じましたあらすじだけでは到底伝えきれないような、どす黒いエネルギーを感じることができるので、人間の心の闇に興味がある人はぜひとも読んでみることをおすすめします。

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