「夏の騎士」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|百田尚樹

「夏の騎士」

【ネタバレ有り】夏の騎士 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:百田尚樹 2019年7月に新潮社から出版

夏の騎士の主要登場人物

遠藤 宏志(えんどう ひろし)
この物語の主人公(ぼく)。騎士団結成の提唱者。

木島 陽介(きじま ようすけ)
騎士団のメンバー。家は貧しく、生活保護を受けている。

高頭 健太(たかとう けんた)
騎士団のメンバー。学力が伸びず、親に見放されたことから吃音を患う。

有村 由布子(ありむら ゆうこ)
騎士団のレディ。控え目な性格だが、常に取り巻きを従えている。

壬生 紀子(みぶ のりこ)
遠藤たちのクラスメイト。けんかっ早い性格でクラスから疎まれている。

夏の騎士 の見どころ!

・騎士団を結成した三人のひと夏の成長

・少年の淡い恋愛模様

・少年たちの熱い友情

夏の騎士 の簡単なあらすじ

6年生の夏。

弱虫の主人公・宏志は友人の陽介と健太と共に、騎士団を結成します。

騎士団には守るべき女性・レディの存在が必要でした。

そのレディには、クラスのマドンナ的存在の有村を指名します。

クラスのみんなからは馬鹿にされながらも、宏志たちは騎士団の名誉を守るために、勉強に、文化祭の練習に、さらには殺人事件の犯人捜しにまで乗り出します。

ひと夏の冒険が、少年たちに自信と勇気をもたらすのです。

夏の騎士 の起承転結

【起】夏の騎士 のあらすじ①

騎士団結成

主人公・宏志は、「アーサー王物語」に登場する騎士団に感銘を受け、自分も騎士団を結成しようと思い立ちます。

秘密基地を共有する友人・陽介と健太に声をかけ、小学六年生の六月に、騎士団は結成されました。

騎士団には、守るべき女性・レディが必要でした。

誰をレディにするか三人で相談した結果、クラスのマドンナ的存在・有村をレディに任命します。

後日、有村をレディとすることを有村自身に報告すると、驚きながらも好意的な反応を示してくれます。

しかし、その話を聞いていたクラスメイトたちの反応は良くありませんでした。

彼らは騎士団のことを笑いものにして、からかい始めます。

騎士団の最終目標は、去年起きた児童殺人事件の犯人を見つけることでした。

宏志は怪しい人物を三人ピックアップします。

一人目は悪趣味なエロ本ばかり売っている書店の主人なのですが、この主人は足が悪く、犯行はほぼ不可能に思えました。

二人目は、妖怪ババアと呼ばれる近所の老婆なのですが、この老婆は家からほぼ出てこないので、三人は調査に手間取っていました。

外で妖怪ババアを捕まえることは不可能だったので、アンケートと称してチャイムを鳴らしますが、そこに出てきたのは恐ろしい顔をした男性でした。

恐怖を覚えた三人は逃げ帰ります。

三人目は新聞配達員の男でした。

この男を尾行している途中に、健太は誤って自転車で転んでしまいます。

健太たちの存在に気付いた配達員の男は、健太の怪我を手当てし、パンクしてしまった自転車の応急処置を行います。

優しい男の行動に、騎士団の三人は「この人が犯人のはずはない」と、あっさりと疑惑を取り払うのでした。

【承】夏の騎士 のあらすじ②

闘いの始まり

殺人事件の犯人捜しはとん挫している中、騎士団の三人はレディの有村に呼び出されます。

取り巻きもいる中、聞かされたのは、有村の代わりに騎士団の三人に外部模試を受けてほしい、というものでした。

これは、中学受験を目指す生徒が受験するもので、もちろん勉強なんてからきしの騎士団は受験するつもりはありませんでした。

有村から提示された条件は、一人でも模試の順位が100位以内に入れば騎士団のことを認めてあげる、というものでした。

マドンナに頼まれては断れない三人は模試を受けることになります。

受験までの猶予は一か月半ほどしか残されていません。

三人の勉強漬けの日々が始まりました。

しかし、三人とも普段勉強をする習慣がありません。

勉強すると決意をして家に帰るも、教科書すら開けないという日々が続きます。

いい加減に自己嫌悪を覚えた三人は、一緒に勉強をすることにします。

クラスメイトも、三人の挑戦を面白がっています。

けんかっ早くてクラスから疎まれている壬生も同じでした。

ことあるごとにちょっかいをかけてくる壬生ですが、案外勉強ができることがわかり、騎士団の三人は壬生に勉強を教わることになります。

壬生は母親が病気なので、あまり放課後の勉強会に長居できませんでしたが、壬生のお陰で三人は勉強の習慣が出来上がります。

【転】夏の騎士 のあらすじ③

文化祭の踊り

模試の勉強も続く中、宏志たちのクラスでは文化祭の練習が始まりました。

クラスの出し物は、「眠れる森の美女」の劇です。

王子と姫の配役は推薦で決めることになりました。

どうせ姫の役は有村だろうと宏志たちは思っていましたが、意に反して、クラスの女子は壬生を推薦しました。

けんかっ早くて「おとこおんな」と呼ばれている壬生に対する嫌がらせでした。

いつもは勝気な壬生も、この配役には反対できず、不本意ながらも姫役に決定してしまいました。

宏志は、いつも勉強を教えてくれている壬生への助け舟として、自分が王子役に立候補します。

「眠れる森の美女」には、王子と姫のダンスが大きな見せ場でした。

キスをしているかのような演出もあるため、練習のたびに壬生と宏志はクラスメイトに冷やかされます。

しかし、練習を重ねるうちに、宏志は壬生の美しさに気付きます。

そんな中、模試の日が近づいてきました。

模試の前日、騎士団の三人と壬生は、健太が見たというスッポンを探しに川に出かけます。

スッポンは見つかりませんでしたが、宏志は綺麗な河原でボタンを拾います。

そのボタンを、模試のお守りとして壬生にプレゼントします。

そして模試の当日を迎え、四人は無事に受験を終え、あとは結果を待つだけになりました。

そんな時、町内で小学生が行方不明になったとのニュースが飛び込みます。

すぐに騎士団の三人は勢い込んで調査を再開しました。

もう一度妖怪ババアの家を訪ねると、老婆は三人を家に迎え入れます。

そこで、三人は老婆が戦争で三人の息子を失った話を聞かされます。

予想もしていなかった悲しい老婆の過去に、騎士団は胸を打たれ、何も知らずに妖怪ババアなどとあだ名をつけていたことを反省します。

すると、家に一人の男性が入ってきました。

その男は以前老婆の家で遭遇した強面の男性でした。

その男性は、老婆の唯一生き残った息子だったのです。

【結】夏の騎士 のあらすじ④

ひと夏の冒険

模試の結果発表の日がやってきました。

順位は、健太が六十二位、壬生がなんと一位でした。

宏志と陽介は百位以内には入りませんでしたが、十分達成感を得ることができた模試でした。

しかし、その結果を聞いたクラスメイトたちは、健太と壬生に対してカンニングではないかと疑いの目を向けます。

宏志は有村に結果報告をしに行こうとしますが、その途中で、騎士団に模試を受けさせたのは有村の意思ではなく、取り巻きたちが企んだことだという話を聞いてしまいます。

どうせ百位以内には入れない騎士団の三人を笑いものにしようとしたのです。

有村が騎士団の三人に試練を与えることで、勉強の楽しさを教えてくれたのだと思っていた宏志たちは落胆します。

そして、宏志たちの頑張りを労ってくれた有村に対して、宏志は騎士団の解散を有村に告げます。

突然の解散宣言に対して驚く陽介と健太に対して宏志は、騎士団がなくなっても三人の友情はなくならないと諭します。

そして、いよいよ文化祭の日がやってきました。

宏志と壬生は練習の成果を遺憾なく発揮し、完璧なダンスを披露します。

姫のウイッグをつけ、ドレスを着た壬生は、いつもとは違ってとても美人に見えました。

学園祭が終わり、宏志はお世話になった壬生に秘密基地を紹介することを思い立ちます。

宏志と壬生が二人で自転車を取りに家に向かっていると、そこに車に乗った新聞配達員の男が声をかけます。

以前優しく接してくれた男に対して警戒心を持っていなかった宏志は、男の車で家まで送ってもらうことにします。

しかし、車の中の雑談で、壬生が以前宏志にもらった綺麗なボタンの話を始めると、男の様子がおかしくなります。

男が着ている服には同じボタンがついていました。

その時、車で流れるラジオから、行方不明になっていた女の子が、河原で発見されたというニュースが流れてきました。

その河原は、宏志がボタンを拾った場所でした。

危機感を覚えた宏志は慌てて車から飛び降り、壬生を連れて秘密基地に飛び込みます。

男も宏志たちを追いかけて秘密基地に乗り込んできました。

秘密基地には陽介と健太がいました。

四人は必死に抵抗しましたが、男はナイフを持っており絶体絶命です。

殺される、そう思った矢先、一人の男性が助けに来てくれました。

それは、妖怪ババアの息子でした。

彼は強面ながらも、自分の母親に対して優しくしてくれた騎士団の三人に好意を持っていて、定期的に秘密基地を修理してくれていたのです。

彼のお陰で四人は助かり、新聞配達の男も二人の殺人と傷害罪で逮捕されたのでした。

騎士団の三人と壬生は、その夏、ちょっとした英雄になったのでした。

夏の騎士 を読んだ読書感想

冴えない少年が町の英雄となるまでの物語です。

殺人事件を追いかけたり、必死に勉強したり、恋をしたりと、物語はひっきりなしに展開しますが、とてもさわやかで読みやすい小説でした。

キャラクターも一人一人が個性的で親しみやすかったです。

スクールカーストや、いじめ的な要素もありましたが、軽快なテンポで描かれているので、重苦しくならずに読めました。

百田尚樹が青春小説を書くイメージがなかったので、最初は違和感がありましたが、読み終えた後の絶妙な爽快感が最高です。

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